転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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育成

火種

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リンは青ざめながら、クルルを問い詰めるように。
「話が違うじゃないの。回復出来る人間は居ないって……。」
確かにあの頃はクルル以外に回復魔法が使える者は居なかった。
だが、鍛錬のおかげか、初歩的な回復魔法を使える者も増えた。
ルドラは再び二人に視線を向け。
「それでは失礼する。」
リンとクルルはその後ろ姿をただ黙って見送るしかなかった。

しばらくした後、リョーは立ち止まり、少し困った顔である人物に尋ねた。
「えっと、何か用でも?」
シュラはリョーを見ながら。
「オレの悪友しりあいがさ……本家と揉めて、イグランド家の募集に応募したみたいなんだ。」
リョーは返答に困ってると。
「別に手心を加えてくれとかじゃなくて、何て言うのか…その態度とかは真面目さとか感じられないタイプなんだ。」
リョーがシュラの勢いに押されていると、ルドラが間に入る様にしながら。
「まぁ、少し落ち着いて下され。ボスが困っておられる。」
シュラはようやく我に返り、リョーから少し離れた。
リョーは苦笑いを浮かべながら。
「誰かの知り合いだから、優遇したりはしません。……もし、何かで縁がなかった場合は見る目がなかったのかもしれません。それよりも本家と関係修復された方が……。」
リョーは心の中で厄介事の匂いを感じ、そう提案してみた。
だが、シュラは首を横に振った。
「本家との一件があり、既に実家から縁が切られてる。腕は間違いなく保証する。何もなければ、うちのグランに誘うのだが……。」
そういうシュラの表情は何とも言えない悲哀が漂っていた。
「事情は分かりましたが………。現段階では何とも言えません。家柄とか抜きにして、その人物が推薦に値するかどうかを判断するつもりです……。」
シュラはまだ何かを言いたそうであったが、それを止めて、立ち去った。
シュラの友人がどんな人物なのかは分からないし、シュラ自身の事もあまり知らないが、悪い印象は全く無かった。
直感的には敵にはしたくないのがリョーの本音であった。
だが、それとイグランド家の問題は別であった。
シュラと別れた後、ある疑問がリョーの脳裏に浮かんだ。
本家と揉めてる上に家から勘当された人間を近衛騎士に推薦したら、更に反感を買う事になるのは明らかじゃないかって事が。
そんな風に悩んでるリョーに。
「主、どうするの?ギルドに入るの?」
虎丸とルドラはギルドの入口で立ち止まっていた。
リョーはその時に考えればいいかと思う事にした。
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