転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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越国

湖の住人

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脱兎の如く、二人は走り去った。
高く売れそうだから、近付いたって言って、逆に許してもらえると思ったのかと疑問に思ったが、不思議であった。
そんな事を考えてると、遠くから複数の足音が。
虎丸は食事を終え、満足げであった。
その足音はリョーを取り囲んで、止まった。
先程のリザードマンの仲間らしく、比べようにない屈強な戦士達であった。
「コイツに間違いないか?」
二人は隠れながら、頷いていた。
「貴様、コイツらに危害加えたのか?」
あぁ、厄介事に巻き込まれるのか。
「だったら?」
顔を強ばらせて、槍を抜いた。
「なら、罰を与えるしかない。」
降りかかる火の粉を払うしかない。
剣を抜き、対峙した。
予想に反して、取り囲まれては居たが、相手になるのは対峙した一人だけらしい。
「一斉に襲って来ないんだ?」
更に顔を真っ赤にし。
「馬鹿にするな?戦士の誇りにかけて、そんな卑怯な真似なんてするか。」
そう言いながら、槍が突き出された。
その槍の速度は思ってた以上に早く、一瞬焦った。
何とか剣で払い、後ろに下がった。
呼吸を一度、大きくして、地面を蹴った。
だが、槍の柄で薙ぎ払われた。
なかなかやる様だ………それからしばらくお互いに決定打はなく、剣と槍を交え続けた。
最初は体格の差から生じる力の差を感じながら、相手の槍の扱いが単調なのに気付いた。

剣で受け止めずに避け、首元を思いっきり峰打ちで叩いた。
それなりの衝撃があったが、耐えたようだ。
だから、連続で何度も殴ってみた。
流石に複数回殴ると、片膝をついて、崩れた。
その瞬間、周りで見てた他のリザードマンが一瞬で臨戦態勢に。
やっぱりそうなるのかと内心で思いながら、再度気合を入れた。
「おぃ、手を出すな。ワシの戦士の誇りを傷付けるつもりか。」
ちょっと安心しながらも、気を抜かずに剣先を向けたまま。
「見かけと違って、なかなかやりよるの。何故、それだけの実力がありながら、略奪などするのだ。」

えっ?略奪?誰が?
「略奪って、何?そいつらがうちの虎丸を連れ去ろうとしたから、制裁を加えただけだ。」
その言葉を聞き、顔色を変えて、二人を睨みつけた。
だが、次の瞬間………予想外の展開が。
二人の近くにいた別のリザードマンが首をはねた。
「一族の恥さらしが。」
えっ?殺さなくても良いのに。
そう思ったが、これ程の人数を動かした本当の理由が、自分らの悪事が原因の逆恨みだった事なんて。
落とし所は原因の二人の命をもって、詫びるしかないのか。
「申し訳なかった。鵜呑みにして、其方を襲ってしまった事、心から詫びる。」
もう許すしかないよな、許さないとか言うと首をはねられた二人がただの犬死にだもんな。
許すと告げると、首をはねられた二人の亡骸は湖へと放り投げられた。
湖の主への供え物になるらしい。
リザードマンから湖には入らない方が良いって、忠告された。
虎丸の方を向き、少し顔を青くした。
リザードマン達は里へ帰ると、その場を後にした。
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