転生したら、HEROになれるはず

選考

はやる者

とりあえず文官の選考は訪ねて来る度にするとして、書類審査で数をある程度に抑えるつもりであった武官の選考方法をどうしようか迷っていた。
選考会を行う日は決定であるから、それまでに人数をある程度絞り込み必要があった。
元々、圧倒的な者がいない限りは選ぶ気はなかった。
護衛衆に関しては流石に全く置かない訳にもいかない。
いざとなれば、リョー自身が頭を下げるのも仕方ないかなと思っていた。
グランの雑務をこなしながら、色々と頭を悩ます日々を過ごしていた。
そんなある日、宿屋のドアを荒々しく開けて、中に入ってくる一団が。
｢いつになったら、選考会とやらをするのだ？｣

いかにも脳筋と思われる男を筆頭に数人が部屋の中に入ってきた。
ちゃんと送り返した文に日時は記載されていたはずで、まだ三日ほど時間がある。
それをやんわりと告げたが。
そもそも自分以上の者など居ないんだから、三日も待つ必要がないと。
興奮して、声を荒らげてる為、宿屋や他の客に迷惑がかかると思い、外へ出るように促すと、何を勘違いしてるのか分からないが、腰の得物に手を伸ばそうとしていた。
リョーは条件が甘過ぎたのかと後悔したが、自分が招いた事だから、処理するしかないとため息をついた。
｢騒がしいヤツらだな。丁度、暇してたから……応募者同士、どちらが強いかやろうじゃねぇか。｣
そう言いながら、部屋の入口に痩せ型の男が寄りかかっていた。
脳筋はそちらを見ると、笑い出した。
｢命は大切にしろ。何を勘違いして、応募したのか知らんが、そんな身体で勝ち抜けるはずないだろ。｣
｢とりあえず場所を移すぞ。｣
そう言うと、リョーは闘技場へ一団を連れていった。
一団の後から付いてくる者達を居た。
闘技場の前でリョーは立ち止まり。
｢期日まではまだ日があるが、集まってる者達も居る事だし……自信がある奴は闘技場で実戦の実技審査を行う。早かれ、遅かれ…刃を交えるんだ。だが、思わぬ怪我をしてしまう危険もある。三日後に行う実技審査の方はひどい怪我はしないだろう。強要はせん。我こそはと思う者のみ闘技場へ降りろ。｣
しばらくの間を置いた後。
｢見学したい者は入場料を払え。まぁ、見学する者の中に他の応募者がおるかもしれん。己の手の内を見られるかもしれないぞ。｣
先程の脳筋は今更引き下がる訳にもいかず、闘技場へと降りた。
勿論、痩せ型の男も闘技場へと降りていった。
他に10名近くが降りていった。
それ程高くない入場料に見学者もどんどん闘技場の中へ入っていった。
既に闘技場で鍛錬する者は殆ど居なかった。