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反乱?

実行

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飯屋では他愛もない思い出話をしながら、がっついた。
二人共、腹一杯になると、表情を一変させた。
それからは2人とも、言葉を発さずに店を出て、黙々と歩いた。
ある立派な建物の前で立ち止まると、リョーは剣に手をかけた。
建物の前に立っていた鎧姿の男は身構えながら。
「ここが何処か分かってるのか?」
「反乱軍の黒幕が居るんだろ?」
鎧姿の男は一瞬、呆気に取られた表情を浮かべた後。
「冗談にしては笑えないぞ。」
リョーは剣から手を離し、踵を返した。
その背中に。
「何の罰ゲームか知らんが、そういう悪ふざけは止めておけ。今の状況では斬られても仕方ないぞ。」
リョーと虎丸はそれを無視して、その建物から離れて、人気ひとけの少ない方へ歩いて行く。
しばらくすると、二人の前に三人の男が立ち塞がった。
「お前か?ちょこまかと嗅ぎ回ってるのは?」
リョーは一度、深呼吸して。
「お前か?ルドラ等をやったのは?」
男は鼻で笑い。
「あのトカゲ共の知り合いか?お前もあぁなりに来たのか?」
「……そっか、お前らかぁ……。」
リョーは身体を震わせていた。
男はそれを見ながら。
「何だ、震えてるのか?だが、もう手遅れだ。余計な事に首を突っ込んだ事を後悔してもな。」
リョーと虎丸に襲いかかる。
自分達とは勝負になるはずもない………そう思っていたはずであった。
「虎丸、ごめんな……。冷静でいれないわ。」
リョーは剣を抜くと、一気に目の前の男を斬り捨てた。
リョーが斬り捨てたそれは自分の身に何が起こったのか理解出来てないであろう。
だが、もうそれを理解する事も出来ないであろう。
リョーの手に握られていた剣は刃を半分失っていた。
男の仲間らも笑っていたが、何が起こったのか理解出来てなかった。
一瞬の間を置いて、ようやく飛びかかったが、それより早く虎丸が動き、肢体の下に別の男を置いていた。
虎丸は躊躇なく、その男の首に噛みつき、引きちぎった。
真っ赤に口を染めながら。
「主、抑えなくていいなら言ってよ。」
残された一人は目の前で行われてる惨劇にへたり込んでいた。
「お前らじゃないだろ?ルドラ等がお前ら如きにやられる訳ない。」
男は震えながら。
「お、お、オレらはただの数集めなんだ。アイツらをやったヤツらは屋敷に居る……だから、助けてくれよ。」
だが、その願いは叶う事はなかった。
半分折れた剣が貫いていた。
「命乞いするなら、もっと早く言いなよ。」
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