転生したら、HEROになれるはず

目的

継承？

アリスはこちらを全く振り向きもせずに一心不乱にスタスタと歩き続け、城を出るなり。
「あぁ～、緊張した。」
アリスは大きく息を吐き、こちらを向いた。
「で、引き継ぐグランって何？」
「その話はこんな所では出来ないって。分かってる？君達の事は殆どが機密情報になってんだよ。こんな所で話せると思う？」
少しアリスは怒っていた。
だが、リョーを筆頭にした三人にとっては全く実感も何もなく、むしろそんな大袈裟にされる意味さえ分からなかった。
「…何か機嫌悪い？予定もなくなった事だし、ちょっとカラダ動かしに行くか。」
リョーは何故か不機嫌なアリスから逃れようと、後ろの二人に話しかけた。
「ダメ。話があるから、ギルドについてきて。」
更に少し機嫌が悪くなったアリスがリョーを見ながら。
ルドラと虎丸の二人はついて行くしかないって表情でリョーを見ていた。
仕方ないので、リョーはアリスと共にギルドへ向かった。
アリスに誘導されるまま、ギルドの奥にある小さな部屋へと連れていかれた。
部屋に入ると、そこには見覚えのある顔が。
「とりあえず座って。」
そう、声を発した主は気が付くと居なくなっていたクルルであった。
「正式にギルドから任命されて、担当になるクルルです。」
そう言いながら、ペコリと頭を下げた。
状況が把握出来ないリョーを見ながら。
「ほら、預けられてる間に師匠……あっ、ミューゼさんのお手伝いしてたから、何となく手続きとか一通り、覚えて。それに各地を旅するだろうから、一緒に旅する私が担当になるのが良いだろうって。」
リョーはツッコミたかったが、それをグッと堪えた。
無言なのが不安なのか、クルルは必死に喋り続けようとしていた。
そんなクルルを見て、リョーは少し呆れた表情で。
「まぁ、約束だもんな。引き継ぐグランってのも教えて貰えるのかな？」
クルルは少し安心した表情を浮かべたが、リョーの質問は耳に届いて、いなかった。
リョーは再度、クルルに問いかけた。
ようやくクルルも落ち着いたのか、リョーの問いかけに応えようと笑顔を浮かべたが。
「……すいません。引き継ぐグランについてはＧＭとしての力量が出来次第って事で、まだ言えないんです。って言うより、まだ教えて貰えてないんです。」
えっ？力量が出来次第って……まだグラン持てる実力がないのは分かってるが、期待させといて……それはないよな。
そんなリョーを察したかの様にクルルは。
「グラン継承の日は……そんなに遠い未来じゃないと思います。後、先日の結果をどうぞ。」
クルルが差し出したカード状のプレートを受け取ると、リョーの目の前に幾つもの文字が浮かんで来た。