20 / 230
王都
虎丸
しおりを挟む
そこにあるのはボロボロになった屋敷。
随分、長い間……誰も住んでいないのだろう。
はっきり言えば、ここには用はない。
デュポンに住まいを構えるつもりはなかったし、家など買う金もなかった。
どの位で買えるのか知らないけど。
だが、立ち去ろうとリードを引っ張っても、虎丸は伏せて、動こうとしない。
虎丸と格闘してると、後ろから声を掛けられた。
「こんな所に客人とは珍しい。」
振り返ると、そこには小柄な老翁が立っていた。
「すいません、うちのが動こうとしなくて。」
老翁はしゃがみこんで、虎丸をジッと見つめながら。
「こ、これは………。」
老翁は虎丸の前に座り込み、手を合わせて、拝みだした。
戸惑ってると、老翁は立ち上がり、耳元で小声で。
「この御方がどなたかを言えば、マズイのは分かっておりますから、言いませぬ。もし、ココをお気に入りなら、御自由にお使い下さい。」
えっ??ここ、自由に住めんの?一瞬、喜んだが、ボロボロの屋敷を見ながら……。
〈リフォームすれば?王都なんだから、探せばしてくれるだろ。〉
虎丸を見ると、伏せたまま…チラッとこちらを見ていた。
「はぁ……ここに住みたいのか?」
虎丸は短く、吠えた。
老翁にリフォームをしても良いかを聞くと、「どうぞ、お気に召すままに。」との返答。
虎丸を見ながら、コイツ……凄いんだなって。
まぁ、改装を頼む前に腹が減った。
町中を歩きながら、小さな食堂を見つけた。
店の前を通ると、すげぇいい香りが漂っていた。
店の戸を開くと、そこには母娘が食事していた。
「あっ、もしかして……お客様ですか?」
娘らしき女の子が慌てて。
「もしかして、営業終わってる?」
母親は慌てて、片付けながら。
「いえ、営業してますよ。直ぐに致しますから。」
「この子も良い?」
虎丸を見せると、女の子は嬉しそうに。
「あっ、ワンワンだ。」
そう言いながら、ギュッと抱きついた。
「他にお客さんもいないので、どうぞ。」
適当にオススメを頼むと、厨房からは凄くイイ香りが漂ってきた。
女の子は虎丸に抱きついたままだった。
「ほら、リザ……お客さんに迷惑かけないの。」
厨房からお母さんはたしなめる。
「だって、このワンワン……フワフワなんだよ。ワンワン、迷惑じゃないよね?」
リザは虎丸に問いかけた。
虎丸は目を細めていた。
「まぁ、良いですよ。虎丸も嫌じゃないみたいだし。」
「すいません……。お待たせしました。」
そう言いながら、テーブルに料理が置かれた。
そこには久々に見る美味しそうな料理が。
「ほら、リザ………これ、持っていって。」
虎丸用に盛られた器を置き。
たっぷりの野菜と肉が煮込まれた料理を一口、口に運ぶと……。
「美味しい………。」
心からあふれ出した感想だった。
この店に来るまでいくつも店があったが、そこは何処も客が入っていた。
この店も立地が悪いとかはなく、客がいないのが理解出来なかった。
「そうだよ、ママの料理は美味しいんだよ。王都一なんだから。」
リザは焼かれた肉に食らいつく虎丸の隣で立ち上がり、胸を張っていた。
お母さんを見ると、やや表情が曇っていた。
何かあるんだろうなって思いながら、食事を終え、店を出る事にした。
虎丸用の料理はリザの相手をしてくれたお礼だと言われたので、お礼を言い、店を後にした。
「ワンワン、また来てね。」
リザは手を左右に振りながら。
さて、あの屋敷直してくれる大工探すか……。
だが、何も分からないココではどう探していいかも分からない。
〈はぁ……、商業ギルドに行けば、情報集まるんじゃないか?〉
あっ、それもそうだよな。
早速、商業ギルドに行き、聞くと。
「大工?その様な職は聞いた事が……。」
説明すると。
「あぁ、石工ですね?」
この世界には大工という職はないようだ。数年暮らしてるが、人とあんまり関わってないからな。
「今すぐに何とか出来る石工は……残念ながらいないと思われます……。あっ、一人だけおられますが……やはり難しいかと。」
受付の人は何とも言いにくそうに言葉を選びながら。
「えっと、その人に一度、会えますか?交渉してみますから。」
受付の人は何度も少し待てば、他の方も手が空きますからと。
その石工って、そんなに何か問題あるのかと不安になりながらも……無理に教えてもらった。
「多分、酒場にいらっしゃると思います。」
随分、長い間……誰も住んでいないのだろう。
はっきり言えば、ここには用はない。
デュポンに住まいを構えるつもりはなかったし、家など買う金もなかった。
どの位で買えるのか知らないけど。
だが、立ち去ろうとリードを引っ張っても、虎丸は伏せて、動こうとしない。
虎丸と格闘してると、後ろから声を掛けられた。
「こんな所に客人とは珍しい。」
振り返ると、そこには小柄な老翁が立っていた。
「すいません、うちのが動こうとしなくて。」
老翁はしゃがみこんで、虎丸をジッと見つめながら。
「こ、これは………。」
老翁は虎丸の前に座り込み、手を合わせて、拝みだした。
戸惑ってると、老翁は立ち上がり、耳元で小声で。
「この御方がどなたかを言えば、マズイのは分かっておりますから、言いませぬ。もし、ココをお気に入りなら、御自由にお使い下さい。」
えっ??ここ、自由に住めんの?一瞬、喜んだが、ボロボロの屋敷を見ながら……。
〈リフォームすれば?王都なんだから、探せばしてくれるだろ。〉
虎丸を見ると、伏せたまま…チラッとこちらを見ていた。
「はぁ……ここに住みたいのか?」
虎丸は短く、吠えた。
老翁にリフォームをしても良いかを聞くと、「どうぞ、お気に召すままに。」との返答。
虎丸を見ながら、コイツ……凄いんだなって。
まぁ、改装を頼む前に腹が減った。
町中を歩きながら、小さな食堂を見つけた。
店の前を通ると、すげぇいい香りが漂っていた。
店の戸を開くと、そこには母娘が食事していた。
「あっ、もしかして……お客様ですか?」
娘らしき女の子が慌てて。
「もしかして、営業終わってる?」
母親は慌てて、片付けながら。
「いえ、営業してますよ。直ぐに致しますから。」
「この子も良い?」
虎丸を見せると、女の子は嬉しそうに。
「あっ、ワンワンだ。」
そう言いながら、ギュッと抱きついた。
「他にお客さんもいないので、どうぞ。」
適当にオススメを頼むと、厨房からは凄くイイ香りが漂ってきた。
女の子は虎丸に抱きついたままだった。
「ほら、リザ……お客さんに迷惑かけないの。」
厨房からお母さんはたしなめる。
「だって、このワンワン……フワフワなんだよ。ワンワン、迷惑じゃないよね?」
リザは虎丸に問いかけた。
虎丸は目を細めていた。
「まぁ、良いですよ。虎丸も嫌じゃないみたいだし。」
「すいません……。お待たせしました。」
そう言いながら、テーブルに料理が置かれた。
そこには久々に見る美味しそうな料理が。
「ほら、リザ………これ、持っていって。」
虎丸用に盛られた器を置き。
たっぷりの野菜と肉が煮込まれた料理を一口、口に運ぶと……。
「美味しい………。」
心からあふれ出した感想だった。
この店に来るまでいくつも店があったが、そこは何処も客が入っていた。
この店も立地が悪いとかはなく、客がいないのが理解出来なかった。
「そうだよ、ママの料理は美味しいんだよ。王都一なんだから。」
リザは焼かれた肉に食らいつく虎丸の隣で立ち上がり、胸を張っていた。
お母さんを見ると、やや表情が曇っていた。
何かあるんだろうなって思いながら、食事を終え、店を出る事にした。
虎丸用の料理はリザの相手をしてくれたお礼だと言われたので、お礼を言い、店を後にした。
「ワンワン、また来てね。」
リザは手を左右に振りながら。
さて、あの屋敷直してくれる大工探すか……。
だが、何も分からないココではどう探していいかも分からない。
〈はぁ……、商業ギルドに行けば、情報集まるんじゃないか?〉
あっ、それもそうだよな。
早速、商業ギルドに行き、聞くと。
「大工?その様な職は聞いた事が……。」
説明すると。
「あぁ、石工ですね?」
この世界には大工という職はないようだ。数年暮らしてるが、人とあんまり関わってないからな。
「今すぐに何とか出来る石工は……残念ながらいないと思われます……。あっ、一人だけおられますが……やはり難しいかと。」
受付の人は何とも言いにくそうに言葉を選びながら。
「えっと、その人に一度、会えますか?交渉してみますから。」
受付の人は何度も少し待てば、他の方も手が空きますからと。
その石工って、そんなに何か問題あるのかと不安になりながらも……無理に教えてもらった。
「多分、酒場にいらっしゃると思います。」
0
あなたにおすすめの小説
役立たずだと追放された私が祈らなくなった結果、王国は滅びました
藤原遊
ファンタジー
王国で代々“祈り”を担ってきた聖女である私は、
ある日突然「役立たず」と断じられ、王都から追放された。
祈りの力は目に見えず、平和が続くほど軽んじられる。
それでも私は、国のために祈り続けてきた――追放される、その日まで。
王都を離れた私は、もう祈らなかった。
義務でも使命でもないものを、続ける理由はなかったから。
それから一年。
王国は、静かに、確実に滅びへ向かっていく。
これは、祈らなくなった“役立たず”と、
祈りを失った王国の、因果応報の物語。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
悪役令嬢の逆襲
すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る!
前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。
素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる