転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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王都

改装

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寝てる虎丸に小声で話しかけてみた。
もちろん、虎丸が起きる事も答える事もしなかった。
色々、考えてるうちに寝てしまっていた。

翌朝、ドアを激しく叩く音で目が覚めた。
ドアを開けると、そこにはセリと数人の亜人が立っていた。
セリは扱いが難しい石工と世間では評価されてるらしく、その仕事を受けようという人も限られている。
ましてや、この短期間で募集をかければ、他であぶれた者しか集まらないのは当然だ。
セリは亜人達に外壁を磨く様に指示すると、部屋にやって来た。
「改装って、何か欲しいものとかあるのか?ここ、普通に生活する上で困りそうにはないけど。」
確かにこの屋敷内は日常生活に必要なモノはほとんど揃っていた。
「隣の馬小屋を虎丸用にもっとしっかりした部屋にして欲しいんだ。後、鍛冶場も欲しいんだ。」

セリは話を聞き終えると。
「虎丸の部屋は分かったが、鍛冶場は要らないだろ。……あぁ、誰かに貸すのか?」
首を横に振り。
「オレが鍛冶するの。」
セリは一瞬、真顔になり、すぐに笑いだした。
「鍛冶なんかしてないで、お前はランク上げろって。Gランクなんだから。」
ちょっとイラッときて、プレートを差し出した。
セリは笑いながら、プレートを受け取り。
「Eランク?何で?アンタ、一昨日までGランク………騙したね?」
確かに前は口頭で言っただけだもんな。
鍛冶場も作ってくれるらしい………但し、鍛冶場や改装にかかる費用は別途貰うからって。

前に払ったのでは流石に足りないよなって、思いながらも幾ら請求されるのか、内心ビクビクさ。
外に出ると、屋敷の壁を懸命に磨いていた。
ただそれをぼんやりと眺めていた。
手伝おうかと思ったが……思っただけにした。
だって、水が冷たそうやから。
屋敷は漆黒で陽の光に映えて、美しいなって。
そんな風に思ってると、屋敷からセリが出てきた。
「こんな感じでどうだ?」
図面を見せられたが、何となくでしか分からない。
「任せるよ、セリさんに。」
下手にあれこれ言うよりも、任せた方がいいものになるに違いない。
決して面倒くさいなんて思って、丸投げした訳じゃないんだよ。………いゃ、マジで。
下手に口を出して、長くなっても(高額になっても)適わないので。
ここに長く居るかは分かんないし。
ほら、この国では厄と呼ばれてる訳だし、数は少ないが、ここ王都でもそんな風な目で見られるのには気付いている。
他の国にも興味はあるし、せっかくなんだから……放浪しようかなって。
まぁ、虎丸が付いてきてくれるかにもよるけど。
最悪、虎丸にはお留守番してもらってもいいしさ。
あのお爺さんも面倒くらい見てくれるだろうからさ。
この時は知らなかったんだよ、虎丸がそんなに凄い存在だなんて。
とりあえずセリには少し屋敷を空ける事を伝えた。
改装の追加費用が心配だから、少しは稼いどかないと。
虎丸を見に行くと、スヤスヤと眠っていた。
結構、外は騒がしいのに。
ギルドに向かうと、それなりに混雑していた。
Eランクの掲示板に行き、依頼書を見ると、グループ希望が多く、ソロ可の依頼は限られてしまう。
どうしても、討伐に目が行く。
虎丸のエサになるモンスターも手に入れたいし。

依頼書を厳選して、三件を選んで、引き受ける。
討伐の依頼は早い者勝ちなので、急ぐ必要がある。
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