転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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王都

立ち退き

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何も知らない亜人達は運ばれてくる料理を美味しそうに喰らっていた。
セリは手酌で何も話さずにグラスを空けていた。
虎丸はリザを背中に乗せたまま、運ばれてきた肉を食べていた。
何で来てしまったんだろう……。
聞かない訳には行かず、いつ閉店するのかを聞いてみた。
一週間後に立ち退きらしいので、出来ても2、3日くらいだろうって。
その後、どうするかは聞けなかった。
だが、時間が進むと、やはり飲ませ過ぎた様だ。
セリは急にグラスをテーブルに置き。
「で、ここ閉めた後……どうすんの?」
急に聞かれて、テンパるお母さん……いゃ、分かりにくいので、女将さんって呼ぶか。
「えっ、、特には決めてないんですよ。」
セリは今にも掴み掛かりそうになりながら。 
「借金、残るんだろ?返すアテは?むしろ、幾らあるの?」
女将さんはその迫力に押され、片手を出した。
そのやりとりを見て……つい。
「金貨50枚かぁ………。」
「いぇ、そんなにはないです。20枚です。」
ただセリの迫力に負けて、片方の手を出しただけらしい。
確かにセリは筋肉質でタッパもあり、普通の男でもたじろぐであろう。
「で、アンタはあるの?」
セリはこちらを向いていた。
「えっ?」
セリは拳を握っていた。
急いで袋を見たが、20枚もある訳もなく……。
「10枚くらいしかないです。」
セリは少し驚いた表情をしながら。
「意外と持ってるんだね。」
女将さんはやり取りを見ながら。
「立て替えて戴く訳には……。」
「アンタ、この子を抱えたまま、どうすんの?」
セリは熱くなってた。
そんな中、ふと冷静になって、ある事を考えた。
【おぃ、先生………なんか妙案ないかな?】
そう、あの文字に聞いてみれば、いい案が提示されるかもしれない。
〈あるけど?簡単な話だぞ。〉
【えっ?簡単な話?】
話をまとめると。
・基本、他人の債権を買うのに、損して買う奴は居ない。
・それだけ美味しいなら、他に店を出せば、儲かるだろ。
・借金減額と評判を上げるには騎士団を巻き込めばいい。
・その母娘の店とかは虎丸を信仰してるあの老翁も頼ればいい。見返りは虎丸に払ってもらえばいい。

確かになんとかなりそうな気がする答えだ。
だが、最後の一文にチラッと虎丸を見たら。
肉を口からポロッと落としながら。
「だ、大丈夫……ここの料理の為なら。」
健気な虎丸は少し不安そうであったが。
後は騎士団かぁ……明日、もう一度行ってみるか。
〈その件は……今回の討伐の報告早く行けよ。〉
あっ、そうだ。報告行ってないわ。
急いでセリに話し、ギルドへ向かった。
ギルドの受付に討伐の証である頭部を置くと。
「ソロで討伐されたんですか?」
戸惑いながら、頷くと。
頭部を持って、奥へ下がり、しばらくすると。
「確かに隊長アリに間違いありません。被害の報告もありませんので。」
よく依頼書を見てなかったが、色々追加項目があったらしい。
そういうやりとりをしてると、後ろから声をかけられた。
「この前は門番が申し訳なかった。」
そこに立っていたのはティーロであった。
何でもオレがギルドに来たら、報せてくれとギルドの人に頼んでいたらしい。
「あの、報酬はどうしましょうか?プレートに入れときますか?」
受付の人は申し訳なさそうに問いかけてきた。
盗難や追い剥ぎ等の対策の為にギルドが管理する銀行らしき組織も有り、そこに預ける事も出来るらしい。
今まで聞いた事もなかったが。
「じゃあ、それで。」
ティーロを待たせる訳にも行かず、そう切り上げた。
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