転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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駆け引き

副業始めます

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ティーロを見送り、店に戻り。
「あの~?知らないうちに話進んでません?」
女将はキョトンとした顔をしながら。
「ごめんね、新しい店見つけるから、よろしくね。約束しちゃったし。」
女将はまだ理解出来てないのか、ぼんやりしていた。
「甘えたら良いんだよ、娘とここで暮らす為に。」
セリはグラスを傾けながら、女将にそう言っていた。
リザは相変わらず虎丸の背中でスヤスヤと眠っている。
店を出す為にはあの老翁と交渉しないと、ダメなんだよな。
その為には虎丸の力がなければ、キツいかもしれない。
女将は気付いたのか、リザを抱きかかえて、運んで行った。
亜人たちはお腹いっぱいになったようで、そのまま帰って行った。
セリはまだ飲み足りないらしく、先に帰れって言われた。
とりあえず屋敷に戻り、虎丸に確認した。
「なぁ、本当に大丈夫か?何を要求されるか分かんないのに。」
「頑張るよ、あの子………いい子だから。それにあそこの料理、好きだし。」
とりあえずギュッと抱きしめた。
何とか成功はさせたいと思ってるが、虎丸を守った上での話だ。

翌朝、虎丸を連れて、老翁を訪ねて行った。
老翁はにこやかな表情で迎えてくれた。
応接室に案内され、椅子に座る前に。
「あの……今日はお願いがあって。」
老翁は手を前に出し、制止した。
「店を貸して欲しいんですよね?」
一瞬、ビックリした。
「これでも、それなりの情報網はあるんで。」
「では……是非、お願いします。」
老翁は険しい表情になり。
「これは住む所をお貸しするのとは本質が全く違いますよ。」
老翁が言うには空いてる店はあるが、取引する相手はリョーであって、そこから誰に貸すかは自由である。
だが、その取引が問題であった。
賃貸ではなく、購入してもらうと言う話だった。
その金額は金貨百枚…………。
その年齢でその借金を背負う勇気があるのかと。
「商売は優しさだけでは出来ないんだよ。非情さがなければ、成功なんて無理だよ。」
金貨百枚は正直、払える自信はなかったが……それでも辞めますとは言えないのは明らかであった。
「それでお願いします。」
老翁は驚きながらも、再び優しい顔つきになり。
「なら、お譲りしましょう。支払いに関しては払える時に払えるだけでいいよ。その代わり、条件は出来る限り、週1くらい虎丸を連れて、顔を見せて欲しい。」
その後、付け足すように頭金は幾ら入れられるって。
女将の借金がどれだけ減額されるか分からないのに、払える分など全くない。
少し黙ってると。
「とりあえずは頭金を支払ってもらってからだね、この続きは。」
頭金を払えば、新しい店を出せる手筈は整った。
頭金をどうするかだな。
ギルドに向かい、依頼書を選び始めた。
高額な依頼は見当たらないが、数をこなすしかない。
素材集めに励もうと、街を出ようとギルドを出て、門へ向かった。

虎丸を連れて、素材集めに………。
ただの殺戮だよね、虎丸。
虎丸にも力の抑制を覚えて貰わないとな………辺り一面に飛び散ったモンスターの破片に囲まれながら。
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