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84.鳥を囲む
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時刻は午後2時、僕らは徒歩で数十分歩くと、すぐにそれを見つけた。
「私が首を落とす!」
現れた巨鳥に機械仕掛けの槍を振り下ろすのは、我らが神槍、カリンである。
カリンのアサルト・ヘヴンは高純度の黒魔石で作られた2メートルの槍、黒魔石は魔力を通すことにより増幅効果が得られるらしい。
機械に電気を流す感覚で槍を変形させる、カリンは「黒魔石は魔力によるプログラミングができる」と言っていた。
かなり貴重な物質故に、あの槍はECFでもトップの人間しか持てないだろう。
「外したか……ッ!」
すぐに槍に魔力を流す、槍は赤い光を放ち始め、刃が炎とは似て非なるものに包まれ拡張された。
青の剣閃に似ている。
それを巨鳥に放つが、PEなんじゃないかってくらいに素早く避ける。
「なにやってるカリン、射線に入るな!」
彼はサイケン、アサルトライフルを構えている。
万能の化身と言われるように、剣と銃も魔術も卒なくこなす、その力はもちろんどれをとっても素晴らしい。
ツルギ隊長に憧れをもつ。
「カリンずるい、ボクもやる!」
「俺にも任せろって感じじゃい!」
ガラスとカワセミ、仲の良さは兄弟のよう。
ガラスは内に強大な魔力を秘めるがそれゆえに暴走しやすく、名前に封印をかけられている。
今はある程度制御できるようだ、魔術に期待したい。
カワセミは白兵戦において、相手がPEでない限り、負けることはほとんどない程に成長した。
天性の回避センスと速さの才能がある。
そして、あまり頭は良くないようだ。
「二人とも避けられてるね」
「……(射撃の時黙っちゃう)」
100メートル離れた所からスナイピングするのはカエデとミセット。
ミセットは回復魔術に長けるアリエさんの弟子的存在。
そして状況判断に才能があり銃が上手い。
カエデはタクティカルストレージという特殊なストレージをもつ戦闘のプロ。
アンチマテリエルスナイパーライフルを扱い、2キロ先を当てる。
「コイツなんで銃弾避けるの!」
白兵戦をしているのはもう1人、シロカミのキリカ。
ECFの黒い刀ではなく、自前の白い刀を使い、お得意のスキルで何でも断ち切る。
銃は下手くそと、ツルギ隊長に言われた。
逸材である。
「……(え?)」
一歩引いて状況を見ているのが僕、オトメだ。
イノセントという白い片手剣を握ったまま突っ立ているが、僕が介入するスキが少しもない。本当にない。
キョウスケというPEの相棒がいるが、その上で何も出来ない、いや、しないほうが上手くいくと結論。
思えば僕の武器多すぎ、片手剣二本、ナイフ18本、短剣二本、ハンドガン、フックショット、アサルトライフル、日常生活で使える程度の魔術。
これを使ってどこまで出来る?
「オトメ君、そっち行ったよ!」
「え」
気づくのが遅れたが、PEのおかげで巨鳥の嘴を回避できた。
頬を掠めたのは空気だったが、当たっていると思うと怖い、平気で腹に風穴空くぞ。
「キョウスケ、どう思う」
「速いのなら、動きを封じるのがいいと。それと、どんなに回避上手でも必ず止まる瞬間があります」
「……よし」
巨鳥は戦闘する気満々に感じる、怒ってるだろうな。
一応僕はPEだ、多分一人で勝てる……はず。
その上で、PEなのに、今回のパーティ戦に致命的向いていない、ここは頑張って上手く仲間と連携を。
「ミセット、カエデは鳥が逃げないようにけん制射撃、足も破壊出来れば上等。ガラスは魔術を使うな、肉が食えなくなるかもしれない、刀で応戦。カワセミもだ。サイケンとカリンは最後の仕上げがある。最高の一撃のために少し休んで。キリカ」
「……?」
「キリカは二人の攻撃が外れたらそこに頼む」
「う、うん」
サイケンは少し茶化すように怒る。
「おいおい、俺が外すとでも?」
「次は当てるからなオトメ!」
僕は苦笑で返してキリカに旨を伝えた。
「アイツは回避こそ速いが連続回避が少し遅い、僕が動きを鈍くするから、そこに……」
「分かった」
返事が速く、僕もすぐに準備する。
ガラスとカワセミが奮闘している外でサイケンとカリンが武器を構えている。
僕は『愁と絶叫』を装備して魔糸を作る。
キョウスケ頼む、一撃だけ。
「了解しました」
僕の意識が少し乗っ取られ、投げた短剣は翼に刺さった。
羽が厚いだろう肉には達していないが、そこに固定できた。
羽が硬すぎる。
僕の仕事は終わった。
後は頼む。
「ガラス、カワセミ、交代!」
「おう!」
「了解!」
二人が一歩引くと、ジャストタイミングでサイケンとカリンが渾身の一撃を放った。
真っ赤に光った魔導槍の一閃、ヒット後追撃ダメージの期待できる『抜刀術:桜花』、サイケンの抜刀術とカリンの高速突き、どちらも素晴らしい攻撃だが、巨鳥はそれすらも回避……だが、そこにこそ真打を持ってきた。
「何!はずし……」
「私の高速……」
「今だ、キリカ!」
「……ッ落とす!」
キリカの抜刀術は数メートル離れた所から抜かれた。
手に握られた刀からは青の剣閃が伸びて視界に納めた頃には巨鳥の首が落とされていた。
「やったな」
「ちぇー、美味しいところもってかれちゃった」
カリンは拗ねて槍を折りたたんだ(え、折りたためるの?)。
連携としてはかなりよかったと思う。やっぱり僕は何かして黙ってるのが一番だ。正直動く鳥に腕が持っていかれると思った。兜割り・天よりはマシだった。
僕たちは巨鳥を回収するための荷車を手配し、本部に持ち帰ると、シェフキリカさんとエイル、食堂の皆さんに調理してもらった。
夕食は豪華なものになった気がした。
ギンジさんは悔しそうだったが、ツルギさんは「美味い」と言っていたし、よかった。
「ねぇねぇオトメ君」
「ん……何なに!」
食堂で騒がしいどさくさに紛れてカリンが僕の隣にいた。
近いよ。
「話は色々聞いてるよ!キリカといい感じなんね!」
「は?そりゃずっと一緒に戦ってきたし、戦闘の癖とか分かるけど」
「ほー、で?」
「で、とは?」
「……はぁキョウスケさん、この人ダメですか」
「そうです、ダメです。かなり」
「おいキョウスケ!」
カリンがなぜキョウスケのことを知っている!というかキョウスケも勝手に人の聴覚使うな。
「まぁいいよ、あのキリカが楽しそうだからね。いいかいオトメ君、これは一応の人生の先輩として言うよ。キリカはね、君ありきなんだ。だからキリカ自身を守るのはあの剣術かもしれないけど、最後は君だからね」
「……わかりました」
「よろしー、じゃあたらふく食べようぜ」
「分かったよカリン」
「何いまの、サイケンの真似?」
「当たりです、敬語は使わないのが流儀です、僕らの」
「ははは、他所では考えられない話だよな」
「まったく。意味あるのかな」
僕がナイフを握るとキリカが僕を呼んでいた。
「おーい、オトメ君」
「なんだぁ?」
「ホレ行ってきな」
「……ああ」
「私は死んでもキリカは守る覚悟があるよ、君は……どうなんだい?」
ーーーーーー
話ているとホールに到着した、既に大勢が集まっていた。
「じゃここで」
「うん、また」
僕らはいつもの場所に着いて待機、すぐにナオヒト本部長が前置きの後に話を始めた。
「……先日のプリズン戦の後、調査隊の報告により、ECFの最大目標である管理者達……つまりはその戦闘部隊ライヴの居場所、敵本部が分かった!!」
鼓動が聞こえた気がした。
決戦はすぐそこにいるようだった。
「私が首を落とす!」
現れた巨鳥に機械仕掛けの槍を振り下ろすのは、我らが神槍、カリンである。
カリンのアサルト・ヘヴンは高純度の黒魔石で作られた2メートルの槍、黒魔石は魔力を通すことにより増幅効果が得られるらしい。
機械に電気を流す感覚で槍を変形させる、カリンは「黒魔石は魔力によるプログラミングができる」と言っていた。
かなり貴重な物質故に、あの槍はECFでもトップの人間しか持てないだろう。
「外したか……ッ!」
すぐに槍に魔力を流す、槍は赤い光を放ち始め、刃が炎とは似て非なるものに包まれ拡張された。
青の剣閃に似ている。
それを巨鳥に放つが、PEなんじゃないかってくらいに素早く避ける。
「なにやってるカリン、射線に入るな!」
彼はサイケン、アサルトライフルを構えている。
万能の化身と言われるように、剣と銃も魔術も卒なくこなす、その力はもちろんどれをとっても素晴らしい。
ツルギ隊長に憧れをもつ。
「カリンずるい、ボクもやる!」
「俺にも任せろって感じじゃい!」
ガラスとカワセミ、仲の良さは兄弟のよう。
ガラスは内に強大な魔力を秘めるがそれゆえに暴走しやすく、名前に封印をかけられている。
今はある程度制御できるようだ、魔術に期待したい。
カワセミは白兵戦において、相手がPEでない限り、負けることはほとんどない程に成長した。
天性の回避センスと速さの才能がある。
そして、あまり頭は良くないようだ。
「二人とも避けられてるね」
「……(射撃の時黙っちゃう)」
100メートル離れた所からスナイピングするのはカエデとミセット。
ミセットは回復魔術に長けるアリエさんの弟子的存在。
そして状況判断に才能があり銃が上手い。
カエデはタクティカルストレージという特殊なストレージをもつ戦闘のプロ。
アンチマテリエルスナイパーライフルを扱い、2キロ先を当てる。
「コイツなんで銃弾避けるの!」
白兵戦をしているのはもう1人、シロカミのキリカ。
ECFの黒い刀ではなく、自前の白い刀を使い、お得意のスキルで何でも断ち切る。
銃は下手くそと、ツルギ隊長に言われた。
逸材である。
「……(え?)」
一歩引いて状況を見ているのが僕、オトメだ。
イノセントという白い片手剣を握ったまま突っ立ているが、僕が介入するスキが少しもない。本当にない。
キョウスケというPEの相棒がいるが、その上で何も出来ない、いや、しないほうが上手くいくと結論。
思えば僕の武器多すぎ、片手剣二本、ナイフ18本、短剣二本、ハンドガン、フックショット、アサルトライフル、日常生活で使える程度の魔術。
これを使ってどこまで出来る?
「オトメ君、そっち行ったよ!」
「え」
気づくのが遅れたが、PEのおかげで巨鳥の嘴を回避できた。
頬を掠めたのは空気だったが、当たっていると思うと怖い、平気で腹に風穴空くぞ。
「キョウスケ、どう思う」
「速いのなら、動きを封じるのがいいと。それと、どんなに回避上手でも必ず止まる瞬間があります」
「……よし」
巨鳥は戦闘する気満々に感じる、怒ってるだろうな。
一応僕はPEだ、多分一人で勝てる……はず。
その上で、PEなのに、今回のパーティ戦に致命的向いていない、ここは頑張って上手く仲間と連携を。
「ミセット、カエデは鳥が逃げないようにけん制射撃、足も破壊出来れば上等。ガラスは魔術を使うな、肉が食えなくなるかもしれない、刀で応戦。カワセミもだ。サイケンとカリンは最後の仕上げがある。最高の一撃のために少し休んで。キリカ」
「……?」
「キリカは二人の攻撃が外れたらそこに頼む」
「う、うん」
サイケンは少し茶化すように怒る。
「おいおい、俺が外すとでも?」
「次は当てるからなオトメ!」
僕は苦笑で返してキリカに旨を伝えた。
「アイツは回避こそ速いが連続回避が少し遅い、僕が動きを鈍くするから、そこに……」
「分かった」
返事が速く、僕もすぐに準備する。
ガラスとカワセミが奮闘している外でサイケンとカリンが武器を構えている。
僕は『愁と絶叫』を装備して魔糸を作る。
キョウスケ頼む、一撃だけ。
「了解しました」
僕の意識が少し乗っ取られ、投げた短剣は翼に刺さった。
羽が厚いだろう肉には達していないが、そこに固定できた。
羽が硬すぎる。
僕の仕事は終わった。
後は頼む。
「ガラス、カワセミ、交代!」
「おう!」
「了解!」
二人が一歩引くと、ジャストタイミングでサイケンとカリンが渾身の一撃を放った。
真っ赤に光った魔導槍の一閃、ヒット後追撃ダメージの期待できる『抜刀術:桜花』、サイケンの抜刀術とカリンの高速突き、どちらも素晴らしい攻撃だが、巨鳥はそれすらも回避……だが、そこにこそ真打を持ってきた。
「何!はずし……」
「私の高速……」
「今だ、キリカ!」
「……ッ落とす!」
キリカの抜刀術は数メートル離れた所から抜かれた。
手に握られた刀からは青の剣閃が伸びて視界に納めた頃には巨鳥の首が落とされていた。
「やったな」
「ちぇー、美味しいところもってかれちゃった」
カリンは拗ねて槍を折りたたんだ(え、折りたためるの?)。
連携としてはかなりよかったと思う。やっぱり僕は何かして黙ってるのが一番だ。正直動く鳥に腕が持っていかれると思った。兜割り・天よりはマシだった。
僕たちは巨鳥を回収するための荷車を手配し、本部に持ち帰ると、シェフキリカさんとエイル、食堂の皆さんに調理してもらった。
夕食は豪華なものになった気がした。
ギンジさんは悔しそうだったが、ツルギさんは「美味い」と言っていたし、よかった。
「ねぇねぇオトメ君」
「ん……何なに!」
食堂で騒がしいどさくさに紛れてカリンが僕の隣にいた。
近いよ。
「話は色々聞いてるよ!キリカといい感じなんね!」
「は?そりゃずっと一緒に戦ってきたし、戦闘の癖とか分かるけど」
「ほー、で?」
「で、とは?」
「……はぁキョウスケさん、この人ダメですか」
「そうです、ダメです。かなり」
「おいキョウスケ!」
カリンがなぜキョウスケのことを知っている!というかキョウスケも勝手に人の聴覚使うな。
「まぁいいよ、あのキリカが楽しそうだからね。いいかいオトメ君、これは一応の人生の先輩として言うよ。キリカはね、君ありきなんだ。だからキリカ自身を守るのはあの剣術かもしれないけど、最後は君だからね」
「……わかりました」
「よろしー、じゃあたらふく食べようぜ」
「分かったよカリン」
「何いまの、サイケンの真似?」
「当たりです、敬語は使わないのが流儀です、僕らの」
「ははは、他所では考えられない話だよな」
「まったく。意味あるのかな」
僕がナイフを握るとキリカが僕を呼んでいた。
「おーい、オトメ君」
「なんだぁ?」
「ホレ行ってきな」
「……ああ」
「私は死んでもキリカは守る覚悟があるよ、君は……どうなんだい?」
ーーーーーー
話ているとホールに到着した、既に大勢が集まっていた。
「じゃここで」
「うん、また」
僕らはいつもの場所に着いて待機、すぐにナオヒト本部長が前置きの後に話を始めた。
「……先日のプリズン戦の後、調査隊の報告により、ECFの最大目標である管理者達……つまりはその戦闘部隊ライヴの居場所、敵本部が分かった!!」
鼓動が聞こえた気がした。
決戦はすぐそこにいるようだった。
応援ありがとうございます!
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