出来損ないの召喚魔法

ウツ。

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カルと使い魔

魔法科高等学園

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ねえ、兄さん

この子のためなら死ねるよね?

ふふっ。そうだと思った



さよなら兄さん



「                 」







               ********



黒板に書かれているクラスメイトの名前。
その中でも一際大きく書かれているのは私の名前である。
そしてその名前の右側には100という数字…
「またクラス1位カルかよ!しかも満点って…」
どこからかそんな声が聞こえてくる。
そう、今黒板に書かれているのは今回の魔唱学テストの成績順名簿。右側の数字はその人の点数である。
「カル」という名前の右側に書かれた3桁の数字をしっかり確認し、心の中でガッツポーズをする。これで今回のテスト教科6科目のうち4科目は満点をとったことになる。
私は教材を持ち直すと、上機嫌で次の授業へ向かった。

ここは人間界と魔界の間にある半下界と呼ばれる世界。
そして私が通っているのは魔法科高等学園という魔法の学校である。
この世界では大きく二種類の人種にわけられる。
生まれつき魔法が得意な者と、生まれつき体術が得意な者。

例外としてどちらも得意な者と、逆にどちらも不得意な者もいるが…

「カル!いつになったらこの初級魔法が発動できるのですか?!」
その例外というのがカルだった。カルは頭脳成績では並ぶ者のいない優秀者でありながら、どれだけ簡単な魔法でも何故か発動させることができないという過去にない例外中の例外であった。
この学校では頭脳成績よりも実践成績が大きく反映されるため、カルの総合成績は中の下となっていた。
「カルってほんとに実践術学だめだよね」
「もともと魔力がないんじゃないの?」
「体術学園に行けばよかったのに…」
実践術学という実践専門の授業になると、周りからはそんな声が決まって聞こえていた。
体術学園とは魔法科高等学園の姉妹校である体術科高等学園のことである。名前の通り、体術を専門とした学園であった。

…そこに入学出来てたらこんなことになってないって…。

この世界にはその二つの学校しか存在しない。なぜなら、人口もそこまで多くない上、例外の者も片手で数える程しかいない。そのため、この世界に生まれた者はどちらかの学園を選ばざるを得ないのだ。
カルが体術学園に行かなかったのは、体力が平均よりもかなり劣っていたからだ。
「この偏差値で入学すれば即死しますね」
と、学長に余命宣告までされた始末である。

「カル!明日の使い魔召喚テスト、楽しみですわね。ついに私たちも使い魔を従えることができるのよ!まぁ…カルは召喚魔法なんて無理でしょうけど?」
「うざ」
世界の三大富豪であるクルシュト家の成績トップわがまま長女、ミレーナ・ド・クルシュトレを、私はばっさりと跳ね除ける。
二つに結われた綺麗な白髪にルビーのような瞳。外見は絶世の美少女なのに中身が物凄く残念な人である。
口が悪いとよく言われる私が偉そうに言える立場ではないが。
ロングの黄髪に同じく黄色の瞳。長い前髪は一部が顔を横断している。目つきが悪いせいかまともな友達も出来たことがない。それが私。
自分の容姿を見直すと悲しくなってくるのでここでやめることにする。
「わーん!カルにうざいって言われたー!」
そう言いながら滑りそうな廊下を駆けていくミレーナを見つめ…あ、転んだ。
彼女の元に心配するクラスメイトがちらほら見える。
特に羨ましいとも思わず、私は次の教室へと足を進めた。




明日使い魔召喚か…
出来るわけない…能無しの私が…


学校の終わり、そんなことを思っていた。
全寮制のため、自分の部屋への廊下を歩く。
使い魔って確か自分の性格を写したような者が召喚されるんだよね。じゃあ私の場合は…。
「考えるのやめとこ」
こうであってほしくない性格しか浮かんでこないため、思考を無理やり停止させた。そもそも召喚なんて私には無理だ。



「だからと言って諦めたりしないけどね!」
部屋に着くと早速教科書類を机に巻き散らかす。実践特訓をした方がいいのはわかっているが、そのためには実践室を借りる許可が必要となるため、諦めた。
とりあえず今できる復習をしていくことにした。
まず、魔唱学。これは呪文を学ぶ教科だ。召喚の呪文とアクセントの位置をしっかり暗記する。一文字でも呪文を間違えたり、アクセントがずれたりするとその魔法は無効となってしまう。
次に魔数学。魔法はそれぞれ発動させる時間が決まっている。魔数学とはその時間を計算する教科で、苦手としている生徒が最も多い。杖で魔法陣を描く時間、呪文を唱える時間、魔力をこめる時間、全てを0.1秒のずれもなく計算しなければならない。
「召喚魔法は3.20秒か…」
しかし私にはなんてことない教科だった。
最後は魔杖術。杖の動かし方や魔法陣の描き方、描き順を覚える教科だ。
全てをなんなくこなし、私はベッドに横になる。
「どうして発動しないんだろ。完璧だって言えるほどしっかり出来てるはずなのに…」
そう呟き、不意に襲ってきた眠気に逆らうことなく私は目を閉じたのだった。
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