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第4章 国の発展
知らないこと
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翌日。朝食の片付けを済ませた後の少しの休憩時間に、ロゼは他のメイドたちに囲まれていた。
「ロゼさん、隣国のお祭りはどうだった?!」
「エリス王子にお会いしたんでしょ?」
「わぁ!このクッキー可愛い!」
ロゼが持ち帰ったお土産とメイド長が淹れてくれた紅茶を手にロゼたちは昨日の話で盛り上がっていた。
「エリス王子ってどんな方なの?会議もほとんど欠席されてるから私見たことないんだよね」
そう話すのはおしゃべり好きのメイド、シェリーだ。
「エリス王子はすごく綺麗で優しい方だったよ」
「わー!私も会ってみたい!今度会議があった時お茶出し立候補してみようかな」
シェリーは紅茶を口に運びながらうっとりした表情で言った。
「シャリーはおっちょこちょいだからお茶出しは心配ね」
そう言ってシェリーに水を差したのは優秀メイドユリナだ。
「ユリナさんひどーい!私だってやればできるんです!」
そんなやり取りに他のメイドたちは楽しそうに笑った。
****************
その後休憩を終えたロゼたちはそれぞれの持ち場に分かれて行った。
今日ロゼの担当は廊下の窓拭きだ。ロゼはバケツと雑巾を持って指定された窓へ向かった。
「よいしょっと」
水の入ったバケツを置くと、早速ロゼは窓拭きに取り掛かった。ここの窓からは向かいの廊下が良く見える。
その時、向かいの廊下に見知った人物が現れた。
「アル!…とシャルロット?」
珍しい組み合わせにロゼは少し驚いた。アルとシャルロットはなにやら楽しそうに話をしながら歩いている。
「気づかないかなー…」
ロゼは手を振るかのように窓を拭く手を早めた。しかし向かいの一階廊下を歩いている二人は二階窓を拭いているロゼには気付かず一つの部屋に入っていった。
ロゼは少しだけ寂しい気持ちに襲われた。しかしそれをかき消すように窓拭きに力を入れた。
その直後、アルたちの入っていった部屋に小走りでイザベラとエドが入っていった。あの二人がいるということは何か大事な話をしているのだろう。明後日はアルが隣国に行く日だし、忙しいのかもしれない。シャルロットがいるのは少し引っかかるが…。
「ロゼ、手が止まってるわよ」
見回りに来たメイド長に指摘され、ロゼは呆然として止まっていた手を慌てて動かした。
****************
夜になり、仕事を終えたロゼは自室に戻っていた。お風呂を済ませ、着替えをしたロゼはスケジュール帳を手に取り、明日のページを開く。
「明日は書物部屋の掃除…」
そして続けてメモのページを開く。
ローカル・メイデン
そう書かれたページだ。明日は掃除を早く終わらせてローカル・メイデンさんの本を探してみようと思っていた。
ロゼはメイドになりたての時の城内案内を思い出した。書物部屋はすごくたくさんの本が置いてあった。見渡す限り本だらけ。一体何冊くらいの本が置かれているのだろう。その中からローカル・メイデンさんの本を探すのは時間がかかりそうだ。
でもそれが逆に宝探しのようで、ロゼはわくわくしていた。
スケジュールの次のページをめくる。そこには「アル隣国へ」と書かれていた。
当たり前のようにそばにいてくれて、正直会えない日というのは今回が初めてな気がする。
ロゼは何気なくアルと出会った時のことを思い出していた。単なる偶然とはいえ、自分の居場所を作ってくれたアルにはすごく感謝をしている。いつか恩返しもしたいと思っている。でもまだ自分はどうしたらいいのかわかっていない。
アルはどんな人なのか。何色が好きなのか。好きな食べ物は。将来の目標は。
考えてみれば身近にいてくれたものの、知らないことばかりだ。同時に自分もアルに伝えていないことが沢山ある。
アルが隣国から帰ってきてまた話す時間ができたなら、もっといろんなことを聞いてみよう。ロゼはそう心に決めて眠りについた。
「ロゼさん、隣国のお祭りはどうだった?!」
「エリス王子にお会いしたんでしょ?」
「わぁ!このクッキー可愛い!」
ロゼが持ち帰ったお土産とメイド長が淹れてくれた紅茶を手にロゼたちは昨日の話で盛り上がっていた。
「エリス王子ってどんな方なの?会議もほとんど欠席されてるから私見たことないんだよね」
そう話すのはおしゃべり好きのメイド、シェリーだ。
「エリス王子はすごく綺麗で優しい方だったよ」
「わー!私も会ってみたい!今度会議があった時お茶出し立候補してみようかな」
シェリーは紅茶を口に運びながらうっとりした表情で言った。
「シャリーはおっちょこちょいだからお茶出しは心配ね」
そう言ってシェリーに水を差したのは優秀メイドユリナだ。
「ユリナさんひどーい!私だってやればできるんです!」
そんなやり取りに他のメイドたちは楽しそうに笑った。
****************
その後休憩を終えたロゼたちはそれぞれの持ち場に分かれて行った。
今日ロゼの担当は廊下の窓拭きだ。ロゼはバケツと雑巾を持って指定された窓へ向かった。
「よいしょっと」
水の入ったバケツを置くと、早速ロゼは窓拭きに取り掛かった。ここの窓からは向かいの廊下が良く見える。
その時、向かいの廊下に見知った人物が現れた。
「アル!…とシャルロット?」
珍しい組み合わせにロゼは少し驚いた。アルとシャルロットはなにやら楽しそうに話をしながら歩いている。
「気づかないかなー…」
ロゼは手を振るかのように窓を拭く手を早めた。しかし向かいの一階廊下を歩いている二人は二階窓を拭いているロゼには気付かず一つの部屋に入っていった。
ロゼは少しだけ寂しい気持ちに襲われた。しかしそれをかき消すように窓拭きに力を入れた。
その直後、アルたちの入っていった部屋に小走りでイザベラとエドが入っていった。あの二人がいるということは何か大事な話をしているのだろう。明後日はアルが隣国に行く日だし、忙しいのかもしれない。シャルロットがいるのは少し引っかかるが…。
「ロゼ、手が止まってるわよ」
見回りに来たメイド長に指摘され、ロゼは呆然として止まっていた手を慌てて動かした。
****************
夜になり、仕事を終えたロゼは自室に戻っていた。お風呂を済ませ、着替えをしたロゼはスケジュール帳を手に取り、明日のページを開く。
「明日は書物部屋の掃除…」
そして続けてメモのページを開く。
ローカル・メイデン
そう書かれたページだ。明日は掃除を早く終わらせてローカル・メイデンさんの本を探してみようと思っていた。
ロゼはメイドになりたての時の城内案内を思い出した。書物部屋はすごくたくさんの本が置いてあった。見渡す限り本だらけ。一体何冊くらいの本が置かれているのだろう。その中からローカル・メイデンさんの本を探すのは時間がかかりそうだ。
でもそれが逆に宝探しのようで、ロゼはわくわくしていた。
スケジュールの次のページをめくる。そこには「アル隣国へ」と書かれていた。
当たり前のようにそばにいてくれて、正直会えない日というのは今回が初めてな気がする。
ロゼは何気なくアルと出会った時のことを思い出していた。単なる偶然とはいえ、自分の居場所を作ってくれたアルにはすごく感謝をしている。いつか恩返しもしたいと思っている。でもまだ自分はどうしたらいいのかわかっていない。
アルはどんな人なのか。何色が好きなのか。好きな食べ物は。将来の目標は。
考えてみれば身近にいてくれたものの、知らないことばかりだ。同時に自分もアルに伝えていないことが沢山ある。
アルが隣国から帰ってきてまた話す時間ができたなら、もっといろんなことを聞いてみよう。ロゼはそう心に決めて眠りについた。
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