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第4章 国の発展
城内案内
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「ロゼ、ちょっといいかしら」
その日の夜、仕事終わりにロゼはメイド長に呼ばれた。
「はい。なんでしょう?」
「明日の事、もう噂では聞いているかもしれないけれど、新兵が配属されることになったの。その城内案内役を任せられないかしら?」
ロゼはそういえばと今朝の朝礼を思い出した。新兵が明日来るから掃除は念入りにとのことだった。
「本当は城内案内はアル様の担当だったのだけれど、あの方急に隣国入りを決めてしまわれるから案内役が不在になってしまって。代わりにロゼが担当になってくれないかってことになったの」
ロゼは隣国入りを決めた時のイザベラの反応を思い出した。確かにアルは少し物事を簡単に決めすぎる節がある。それはいい意味でも悪い意味でも。しかしエドが日程を確認していたはずだ。この仕事を考えていなかったわけではないだろう。
「どうして私なんですか?」
「他にも候補はいたのだけど、中でも最近城に入ったロゼが一番初心をわかっているんじゃないかって話になってね。お願い出来るかしら?」
ロゼはそれを聞いてアルが隣国入りを決めた理由を理解した。きっと他に安心して仕事を任せられる人物が何人かいたからだろう。補助金政策も話が出てから早くも一ヶ月が経ってしまっているし、エリスとの相談の場を早く持ちたかったに違いない。
「わかりました。私に任せてください」
ロゼははっきりと頷いた。
「そう言ってくれると思ってたわ。じゃあ明日朝8時にエントランスに待ち合わせになってるからよろしくね」
「はい」
ロゼはメイド長に挨拶をすると自室へと向かっていった。
****************
翌朝、エントランスへ向かうと緊張したように立っている一人の衛兵がいた。
「おはようございます」
ロゼが声をかけるとその衛兵は少しびっくりしたように振り向いた。
「おはようございます!案内役をしてくださるロゼさんですか?今日からこの城に所属になりましたギルと申します」
ギルは初々しく敬礼をした。まだ随分と若い笑顔が眩しい青年だ。
「ロゼと申します。よろしくお願いしますギルさん」
ロゼはギルを連れ早速城内を案内するべく歩き出した。
「ここは大広間。すごく広いでしょう?私も城に入った当初は見惚れたのを覚えてます」
ロゼは大広間を見渡して微笑んだ。今日は使用される予定はなく、昨日の掃除の甲斐もあってかとても綺麗に保たれている。
「ここが会議室。会議室の隣が罪人裁判などを行う第二の会議室になっているから間違わないようにしてくださいね」
「わかりました」
ロゼは第二会議室を見ると一瞬だけ悪い記憶を思い出した。しかしそれを振り払うように首を振ると長い廊下を歩き続けた。
令嬢たちの部屋。王族の部屋。その他の場所を巡り、ロゼたちは書物部屋にたどり着いていた。
「ここが書物部屋。本がすごく沢山あるんですよ」
ロゼはそう言って書物部屋の扉を開けて見せた。
「ゲーテルおじさん、おはようございます」
「おお。おはようロゼくん。今日は新兵さんのようない案内だったかね」
「はい。こちらが今日から所属のギルさんです」
ロゼは軽くゲーテルおじさんにギルを紹介した。
「わしはここの管理をしているゲーテルじゃ。よろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
ギルはキリッと敬礼をした。
「こうしてみるとロゼくんが初めてここを見に来た時のことを思い出すのぉ」
ゲーテルおじさんは微笑ましくロゼを見つめていった。
「わぁ。本当に本が沢山あるんですね。私こう見えて本を読むのが好きなんです。特にローカル・メイデンさんの小説が好きで。ここにもあるんでしょうか?」
ロゼはそれを聞いて驚いた。
「あの、ローカル・メイデンさんの本、私が今全部借りてるんです。まだ孤島のシンデレラの途中までしか読んでいないんですけど、私もあの世界観の虜になってしまって」
「本当ですか?!まさかローカル・メイデンさんの話がここでできるとは思っていませんでした!いつか時間のあるときに話しましょうよ!是非他の作品も読んでみてください!」
ギルは興奮気味にそう話した。衛兵の制服やギルの元気さからは読書をしているようには思わなかったが、やはり人を見た目で判断してはいけない。ロゼはローカル・メイデンさんの小説の感想が語り合える相手ができたと思うととても嬉しかった。
「はい!感想語り合いましょう!」
ロゼはそう笑顔で答えた。
****************
広い城内案内を終え、ロゼとギルは待ち合わせのエントランスに戻ってきていた。
「今日はありがとうございました。私は今から本格的に衛兵としての仕事を先輩たちに教わってきます。ロゼさんもお仕事頑張ってください」
ギルはそういうと次の待ち合わせ場所に向かって歩いて行った。ロゼはその背中を見送ると自分も持ち場に戻るべくギルとは逆の方向へ足を進めた。新しく知り合いが増えたからか、偶然にも知ったローカル・メイデンの作品の話をできる人が見つかったからか、その足取りはとても軽かった。
その日の夜、仕事終わりにロゼはメイド長に呼ばれた。
「はい。なんでしょう?」
「明日の事、もう噂では聞いているかもしれないけれど、新兵が配属されることになったの。その城内案内役を任せられないかしら?」
ロゼはそういえばと今朝の朝礼を思い出した。新兵が明日来るから掃除は念入りにとのことだった。
「本当は城内案内はアル様の担当だったのだけれど、あの方急に隣国入りを決めてしまわれるから案内役が不在になってしまって。代わりにロゼが担当になってくれないかってことになったの」
ロゼは隣国入りを決めた時のイザベラの反応を思い出した。確かにアルは少し物事を簡単に決めすぎる節がある。それはいい意味でも悪い意味でも。しかしエドが日程を確認していたはずだ。この仕事を考えていなかったわけではないだろう。
「どうして私なんですか?」
「他にも候補はいたのだけど、中でも最近城に入ったロゼが一番初心をわかっているんじゃないかって話になってね。お願い出来るかしら?」
ロゼはそれを聞いてアルが隣国入りを決めた理由を理解した。きっと他に安心して仕事を任せられる人物が何人かいたからだろう。補助金政策も話が出てから早くも一ヶ月が経ってしまっているし、エリスとの相談の場を早く持ちたかったに違いない。
「わかりました。私に任せてください」
ロゼははっきりと頷いた。
「そう言ってくれると思ってたわ。じゃあ明日朝8時にエントランスに待ち合わせになってるからよろしくね」
「はい」
ロゼはメイド長に挨拶をすると自室へと向かっていった。
****************
翌朝、エントランスへ向かうと緊張したように立っている一人の衛兵がいた。
「おはようございます」
ロゼが声をかけるとその衛兵は少しびっくりしたように振り向いた。
「おはようございます!案内役をしてくださるロゼさんですか?今日からこの城に所属になりましたギルと申します」
ギルは初々しく敬礼をした。まだ随分と若い笑顔が眩しい青年だ。
「ロゼと申します。よろしくお願いしますギルさん」
ロゼはギルを連れ早速城内を案内するべく歩き出した。
「ここは大広間。すごく広いでしょう?私も城に入った当初は見惚れたのを覚えてます」
ロゼは大広間を見渡して微笑んだ。今日は使用される予定はなく、昨日の掃除の甲斐もあってかとても綺麗に保たれている。
「ここが会議室。会議室の隣が罪人裁判などを行う第二の会議室になっているから間違わないようにしてくださいね」
「わかりました」
ロゼは第二会議室を見ると一瞬だけ悪い記憶を思い出した。しかしそれを振り払うように首を振ると長い廊下を歩き続けた。
令嬢たちの部屋。王族の部屋。その他の場所を巡り、ロゼたちは書物部屋にたどり着いていた。
「ここが書物部屋。本がすごく沢山あるんですよ」
ロゼはそう言って書物部屋の扉を開けて見せた。
「ゲーテルおじさん、おはようございます」
「おお。おはようロゼくん。今日は新兵さんのようない案内だったかね」
「はい。こちらが今日から所属のギルさんです」
ロゼは軽くゲーテルおじさんにギルを紹介した。
「わしはここの管理をしているゲーテルじゃ。よろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
ギルはキリッと敬礼をした。
「こうしてみるとロゼくんが初めてここを見に来た時のことを思い出すのぉ」
ゲーテルおじさんは微笑ましくロゼを見つめていった。
「わぁ。本当に本が沢山あるんですね。私こう見えて本を読むのが好きなんです。特にローカル・メイデンさんの小説が好きで。ここにもあるんでしょうか?」
ロゼはそれを聞いて驚いた。
「あの、ローカル・メイデンさんの本、私が今全部借りてるんです。まだ孤島のシンデレラの途中までしか読んでいないんですけど、私もあの世界観の虜になってしまって」
「本当ですか?!まさかローカル・メイデンさんの話がここでできるとは思っていませんでした!いつか時間のあるときに話しましょうよ!是非他の作品も読んでみてください!」
ギルは興奮気味にそう話した。衛兵の制服やギルの元気さからは読書をしているようには思わなかったが、やはり人を見た目で判断してはいけない。ロゼはローカル・メイデンさんの小説の感想が語り合える相手ができたと思うととても嬉しかった。
「はい!感想語り合いましょう!」
ロゼはそう笑顔で答えた。
****************
広い城内案内を終え、ロゼとギルは待ち合わせのエントランスに戻ってきていた。
「今日はありがとうございました。私は今から本格的に衛兵としての仕事を先輩たちに教わってきます。ロゼさんもお仕事頑張ってください」
ギルはそういうと次の待ち合わせ場所に向かって歩いて行った。ロゼはその背中を見送ると自分も持ち場に戻るべくギルとは逆の方向へ足を進めた。新しく知り合いが増えたからか、偶然にも知ったローカル・メイデンの作品の話をできる人が見つかったからか、その足取りはとても軽かった。
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