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「ん~……、なんかちげえな……? 衣がサクサクしすぎてる気がする」
「うう~、また失敗かぁ……!」
――数日後。セインとヒイロは、セインの祖母の唐揚げを再現するべく、何度目かの試作品を食べているところだった。
幾度かのトライアンドエラーを繰り返し、少しずつ、セインの記憶にあるものに近づいていっている気がするのだが……それでもまだ、完全再現には遠いようである。
また失敗かと落ち込むヒイロを、慌てて、セインはフォローする。
「い、いやでも、美味いぜコレ! 婆さんの唐揚げより、こっちのほうが好みかもな」
「本当!? へへっ……、僕の唐揚げが、セインの好物かあ……! 嬉しいなあ……!」
「うわキッショ! すぐそーゆーこと言うの、やめろよな……。ハズいし、イケメンが台無しだろ」
ふん、とそっぽを向くセインだが、ヒイロも、彼のこうしたリアクションには慣れたもの。にまにまと嬉しそうな笑みを浮かべ、セインを軽く小突いて言う。
「ふふっ。さすがにもうわかってきたよ? セインがそういうことを言うときは、照れてるとき……だよね?」
「うっ……、う、う、うるせぇ……!!」
図星を突かれ、セインの顔が真っ赤になる。こんなやりとりも、すっかり二人の日常となっていた。
セインがヒイロの元に匿われてから、約三週間。ハリネズミのようだったセインは、すっかりヒイロの愚直な愛情表現にほだされ、ただのツンデレと化していたのである。
「まあ、それはそれとして、せっかくだからお婆さんのカラアゲも再現したいなあ」
「いまんとこわかったのは……肉は胸肉。牛乳はぜってー使ってねえ。味付けはだいたいあってる……はず……」
「衣がもっとフワフワしてたんだっけ? 今日の試作品は卵抜きだったけど……、卵を入れて、片栗粉で作ってみる、とか?」
「おう。まあ、また……鶏肉食いたくなった時でいいぜ? 毎日だと飽きるだろ」
「セインがそう言うなら! あ、僕は毎日でも構わないけど……」
「おいおい、勘弁してくれっての……」
凝り性なヒイロは、レシピ研究のためならば、数日同じ料理が続くのも苦にならないタイプらしい。
セインがやめろ、といえば聞いてくれるのが救いだろうか。
しばらく他愛のない雑談を続けながら、昼食の試作品唐揚げを頬張っていた二人だったが……ふと、セインが気になった様子で口を開く。
「……そーいや、今日だっけ? 街に買い出しに行くの」
「うん……ごめんね、一人にさせて……。そろそろ食料も減ってきたから、市場に調達に行きたくて。本当は自給自足がいいんだけど、畑の野菜が採れるまで半年以上あるし……お肉も、野生の獣の肉はあんまりおいしくないから……」
「ガキじゃねえんだから留守番くらいできるっつーの! ……薪割りと、畑の水やりはやっとくから。さっさと帰ってこいよ」
「う、うん……! ありがとう、セイン!!」
今日は、共同生活が始まってから二度目の、ヒイロが家を空ける予定の日だった。一度目は30分足らずで帰ってきた唐揚げおつかい事件のときなので、実質初めてと言っても良いだろう。
数週間分の買い出しをまとめて、となると、いくら転移魔法が使えるヒイロでも、数時間はかかってしまう見込みだった。
心配性のヒイロは、セインを一人にしておくのが不安なようだが、彼も立派な成人男性である。
衰弱しきった体も今はすっかり元気になり、以前のように冒険者として戦うには足らずとも、日常生活を送るには不自由しない程度にはなっている。ヒイロの過保護ぶりに呆れるのも当然だ。
結局、呆れ混じりのセインに見送られながら、ヒイロは転移で買い出しに向かっていった。
共に祖母の唐揚げを再現しよう、ということになったあの日以降、セインは、少しずつだが家の用事を手伝うようになっていた。
この小屋を囲む森は、危険な魔物が闊歩している。ヒイロは、それを狩って収入源にする予定でいるようだが、病み上がりのセインはまだ魔物と戦えるだけの自信がなく、家の外にはほとんど出ていない。出歩くのはヒイロが張った結界の中――家の中と、庭と、畑くらいのものである。
いつまでもヒモでいるのは落ち着かない、と思ったセインは、自主的に家の中でもできる仕事を探し始めた。
とはいえ、炊事や洗濯といった家事全般はヒイロがやりたがるので、主に薪割りと畑の世話がセインの担当のようになっていたのだ。
ヒイロを待ちつつ、セインは黙々と薪を割る。転生者として得た身体能力チートのおかげなのか、慣れないはずの力仕事もサクサク進められるのが少し、楽しい。
(……しかし、異世界でやることが、山奥引きこもって畑の世話と薪割り……とか。前世の頃はもちろん、冒険者時代も考えすらしなかったな……。人生、何があるかわかんねえよな)
まったく予想だにしていなかった、成り行き上でのスローライフ。この生活を、存外セインは楽しんでいた。
ヒイロの暴走ぶりには呆れることもあるが、どんなにそっけない態度をとっても変わらない愛情アピールは、正直言って心地良い。
家事に関しては至れり尽くせりだし、二人で協力して料理をしたり、畑を作ったり、というのんびりした暮らしも、今まで経験したことがないもので、セインの心を満たしてくれる。
(神様からもらった肉体チートはまだ現役っぽいな……。一日中力仕事しても疲れねーし。そういや前世のラノベでも、スローライフもの? っつーの? 一時期流行ってたよな~……)
予想とは全く違う未来だが――こんな暮らしも、悪くはない。成り上がり願望の強いセインがそう思ってしまうほどには、ヒイロとの二人暮らしは快適なものだった。
(つっても……ラノベのスローライフものって、なんやかんや、トラブルに巻き込まれちまう話も多いんだよな。俺は犯罪者だし……ヒイロもトップ冒険者だったのにいきなり辞めて、変なやっかみとか買ってそうだし。物語なら、ぜってートラブルに巻き込まれるパターンだろ。……ま、王都に近づかなけりゃあ平気だろうけど……)
……などとセインが、フラグでしかないことを考えていた、そのとき。
ズドンッッ!! と、大きな音がしたかと思うと、ほんの一瞬、ヒイロの作った結界が綻んだ。
「ッ……!? な、なな、なんだ……ッ!?」
セインは、突然の出来事に慄きつつも、これが結界を破られた衝撃であることだけは理解できた。
周囲に渦巻く魔法の気配からするに、結界自体はすぐに自己修復機能によって元の形を取り戻したようだが――破られた、ということは、そこに侵入者がいるということでもある。
「……やーっと見つけた!! ヒイロのやつ……こんなとこに隠れてただなんて!!」
「うーん、やっぱりセインさんもいるのかなあ?」
「お二方! あちらに人の気配がするでござるよ!」
ヒイロの張った結界内、つまり、本来ならばセインとヒイロしか立ち入れないはずのエリア。二人が暮らす小屋の庭へと侵入し、セインのいる薪置き場に近づいてくるのは、三人組の男女だった。
「ッ……!? お、おまえらは……っ、」
目の前に現れた侵入者。勝ち気そうな少女と、それに付き従う少年と青年。見覚えのある彼らの姿に、セインは、その身を強張らせる。
「……へえ。まさか、あのセイン・シャーテが呑気に薪割りだなんて。珍しいモン見ちゃったわね?」
「こんにちは~。お邪魔するね、セインさん」
「失礼致す。拙者らは、ヒイロ殿と以前、パーティーを組んでいた者でござる。決して、怪しい者ではござらん!」
(マジカ、リョウ、シノブ……! レアキャラ中のレアキャラじゃねえか!! そういやこいつら、ヒイロの元パーティーなんだっけ……)
侵入者は――ヒイロの元パーティーであった三人組。マジカは好戦的に、他の二人はそんな彼女を宥めるような様子だが、三人揃ってしっかりとセインを観察している。
(こ、こいつら、なんでいきなり結界破って入ってきたんだよ!? ヒイロに用があるのか!? ……つか、ひ、ヒイロ以外と話すの久々すぎるっ!! い、今までどんな感じでやってたっけ……!? ゲームではさんざんお世話になったキャラだけど、転生してからは喋ったこともねえし……!)
転生チートのおかげか、表情には出ていないものの、セインの内心は大慌てだった。なんとか外面を取り繕い、『セイン・シャーテ』としての笑みを浮かべて語りかける。
「……やあ。いきなり何の用だい? ヒイロの結界を破るほどだ……よほど急ぎの用事でもあったのかな」
皮肉のつもりはなかったのだが、マジカには、どうも煽りに聞こえたらしい。彼女は顔を真っ赤にして声を上げる。
「し、仕方がないじゃない!! ヒイロのやつ、魔物どころか人間すら入れない、中も見えない、バカみたいに強い結界張ってんのよ!? 魔法で連絡しても無視するし!! だからっ、こうして突撃するしかなかったのよ!!」
「いやぁ、ごめんねえ……。僕たちはマジカちゃんを止めたんだけど……」
「セイン殿に危害を加えるつもりは毛頭ない故、どうか、ここは勘弁してくださらぬか!?」
三人の様子は、嘘をついている風には見えなかった。そもそも害意があるならば、出会い頭に攻撃をかまされていてもおかしくはない。少なくとも、すぐさまセインに攻撃する意図はなさそうで――ヒイロに用があるだけらしい、と、セインは判断する。
「……つまり、ヒイロに用がある、ってこと? それなら悪いけど……あいつは今、出かけてるんだ。日を改めてくれ」
「!!」
外面モードを維持しながら、ありのままの事実を伝えれば、マジカの表情がわずかに変わる。
真剣な面持ちで息を呑むと、静かに、しかし確固たる意思を感じさせる声で言う。
「……なら、好都合だわ。ねえ、セイン・シャーテ。あんた……この家を出るつもりはないかしら?」
「ッ……!?」
「うう~、また失敗かぁ……!」
――数日後。セインとヒイロは、セインの祖母の唐揚げを再現するべく、何度目かの試作品を食べているところだった。
幾度かのトライアンドエラーを繰り返し、少しずつ、セインの記憶にあるものに近づいていっている気がするのだが……それでもまだ、完全再現には遠いようである。
また失敗かと落ち込むヒイロを、慌てて、セインはフォローする。
「い、いやでも、美味いぜコレ! 婆さんの唐揚げより、こっちのほうが好みかもな」
「本当!? へへっ……、僕の唐揚げが、セインの好物かあ……! 嬉しいなあ……!」
「うわキッショ! すぐそーゆーこと言うの、やめろよな……。ハズいし、イケメンが台無しだろ」
ふん、とそっぽを向くセインだが、ヒイロも、彼のこうしたリアクションには慣れたもの。にまにまと嬉しそうな笑みを浮かべ、セインを軽く小突いて言う。
「ふふっ。さすがにもうわかってきたよ? セインがそういうことを言うときは、照れてるとき……だよね?」
「うっ……、う、う、うるせぇ……!!」
図星を突かれ、セインの顔が真っ赤になる。こんなやりとりも、すっかり二人の日常となっていた。
セインがヒイロの元に匿われてから、約三週間。ハリネズミのようだったセインは、すっかりヒイロの愚直な愛情表現にほだされ、ただのツンデレと化していたのである。
「まあ、それはそれとして、せっかくだからお婆さんのカラアゲも再現したいなあ」
「いまんとこわかったのは……肉は胸肉。牛乳はぜってー使ってねえ。味付けはだいたいあってる……はず……」
「衣がもっとフワフワしてたんだっけ? 今日の試作品は卵抜きだったけど……、卵を入れて、片栗粉で作ってみる、とか?」
「おう。まあ、また……鶏肉食いたくなった時でいいぜ? 毎日だと飽きるだろ」
「セインがそう言うなら! あ、僕は毎日でも構わないけど……」
「おいおい、勘弁してくれっての……」
凝り性なヒイロは、レシピ研究のためならば、数日同じ料理が続くのも苦にならないタイプらしい。
セインがやめろ、といえば聞いてくれるのが救いだろうか。
しばらく他愛のない雑談を続けながら、昼食の試作品唐揚げを頬張っていた二人だったが……ふと、セインが気になった様子で口を開く。
「……そーいや、今日だっけ? 街に買い出しに行くの」
「うん……ごめんね、一人にさせて……。そろそろ食料も減ってきたから、市場に調達に行きたくて。本当は自給自足がいいんだけど、畑の野菜が採れるまで半年以上あるし……お肉も、野生の獣の肉はあんまりおいしくないから……」
「ガキじゃねえんだから留守番くらいできるっつーの! ……薪割りと、畑の水やりはやっとくから。さっさと帰ってこいよ」
「う、うん……! ありがとう、セイン!!」
今日は、共同生活が始まってから二度目の、ヒイロが家を空ける予定の日だった。一度目は30分足らずで帰ってきた唐揚げおつかい事件のときなので、実質初めてと言っても良いだろう。
数週間分の買い出しをまとめて、となると、いくら転移魔法が使えるヒイロでも、数時間はかかってしまう見込みだった。
心配性のヒイロは、セインを一人にしておくのが不安なようだが、彼も立派な成人男性である。
衰弱しきった体も今はすっかり元気になり、以前のように冒険者として戦うには足らずとも、日常生活を送るには不自由しない程度にはなっている。ヒイロの過保護ぶりに呆れるのも当然だ。
結局、呆れ混じりのセインに見送られながら、ヒイロは転移で買い出しに向かっていった。
共に祖母の唐揚げを再現しよう、ということになったあの日以降、セインは、少しずつだが家の用事を手伝うようになっていた。
この小屋を囲む森は、危険な魔物が闊歩している。ヒイロは、それを狩って収入源にする予定でいるようだが、病み上がりのセインはまだ魔物と戦えるだけの自信がなく、家の外にはほとんど出ていない。出歩くのはヒイロが張った結界の中――家の中と、庭と、畑くらいのものである。
いつまでもヒモでいるのは落ち着かない、と思ったセインは、自主的に家の中でもできる仕事を探し始めた。
とはいえ、炊事や洗濯といった家事全般はヒイロがやりたがるので、主に薪割りと畑の世話がセインの担当のようになっていたのだ。
ヒイロを待ちつつ、セインは黙々と薪を割る。転生者として得た身体能力チートのおかげなのか、慣れないはずの力仕事もサクサク進められるのが少し、楽しい。
(……しかし、異世界でやることが、山奥引きこもって畑の世話と薪割り……とか。前世の頃はもちろん、冒険者時代も考えすらしなかったな……。人生、何があるかわかんねえよな)
まったく予想だにしていなかった、成り行き上でのスローライフ。この生活を、存外セインは楽しんでいた。
ヒイロの暴走ぶりには呆れることもあるが、どんなにそっけない態度をとっても変わらない愛情アピールは、正直言って心地良い。
家事に関しては至れり尽くせりだし、二人で協力して料理をしたり、畑を作ったり、というのんびりした暮らしも、今まで経験したことがないもので、セインの心を満たしてくれる。
(神様からもらった肉体チートはまだ現役っぽいな……。一日中力仕事しても疲れねーし。そういや前世のラノベでも、スローライフもの? っつーの? 一時期流行ってたよな~……)
予想とは全く違う未来だが――こんな暮らしも、悪くはない。成り上がり願望の強いセインがそう思ってしまうほどには、ヒイロとの二人暮らしは快適なものだった。
(つっても……ラノベのスローライフものって、なんやかんや、トラブルに巻き込まれちまう話も多いんだよな。俺は犯罪者だし……ヒイロもトップ冒険者だったのにいきなり辞めて、変なやっかみとか買ってそうだし。物語なら、ぜってートラブルに巻き込まれるパターンだろ。……ま、王都に近づかなけりゃあ平気だろうけど……)
……などとセインが、フラグでしかないことを考えていた、そのとき。
ズドンッッ!! と、大きな音がしたかと思うと、ほんの一瞬、ヒイロの作った結界が綻んだ。
「ッ……!? な、なな、なんだ……ッ!?」
セインは、突然の出来事に慄きつつも、これが結界を破られた衝撃であることだけは理解できた。
周囲に渦巻く魔法の気配からするに、結界自体はすぐに自己修復機能によって元の形を取り戻したようだが――破られた、ということは、そこに侵入者がいるということでもある。
「……やーっと見つけた!! ヒイロのやつ……こんなとこに隠れてただなんて!!」
「うーん、やっぱりセインさんもいるのかなあ?」
「お二方! あちらに人の気配がするでござるよ!」
ヒイロの張った結界内、つまり、本来ならばセインとヒイロしか立ち入れないはずのエリア。二人が暮らす小屋の庭へと侵入し、セインのいる薪置き場に近づいてくるのは、三人組の男女だった。
「ッ……!? お、おまえらは……っ、」
目の前に現れた侵入者。勝ち気そうな少女と、それに付き従う少年と青年。見覚えのある彼らの姿に、セインは、その身を強張らせる。
「……へえ。まさか、あのセイン・シャーテが呑気に薪割りだなんて。珍しいモン見ちゃったわね?」
「こんにちは~。お邪魔するね、セインさん」
「失礼致す。拙者らは、ヒイロ殿と以前、パーティーを組んでいた者でござる。決して、怪しい者ではござらん!」
(マジカ、リョウ、シノブ……! レアキャラ中のレアキャラじゃねえか!! そういやこいつら、ヒイロの元パーティーなんだっけ……)
侵入者は――ヒイロの元パーティーであった三人組。マジカは好戦的に、他の二人はそんな彼女を宥めるような様子だが、三人揃ってしっかりとセインを観察している。
(こ、こいつら、なんでいきなり結界破って入ってきたんだよ!? ヒイロに用があるのか!? ……つか、ひ、ヒイロ以外と話すの久々すぎるっ!! い、今までどんな感じでやってたっけ……!? ゲームではさんざんお世話になったキャラだけど、転生してからは喋ったこともねえし……!)
転生チートのおかげか、表情には出ていないものの、セインの内心は大慌てだった。なんとか外面を取り繕い、『セイン・シャーテ』としての笑みを浮かべて語りかける。
「……やあ。いきなり何の用だい? ヒイロの結界を破るほどだ……よほど急ぎの用事でもあったのかな」
皮肉のつもりはなかったのだが、マジカには、どうも煽りに聞こえたらしい。彼女は顔を真っ赤にして声を上げる。
「し、仕方がないじゃない!! ヒイロのやつ、魔物どころか人間すら入れない、中も見えない、バカみたいに強い結界張ってんのよ!? 魔法で連絡しても無視するし!! だからっ、こうして突撃するしかなかったのよ!!」
「いやぁ、ごめんねえ……。僕たちはマジカちゃんを止めたんだけど……」
「セイン殿に危害を加えるつもりは毛頭ない故、どうか、ここは勘弁してくださらぬか!?」
三人の様子は、嘘をついている風には見えなかった。そもそも害意があるならば、出会い頭に攻撃をかまされていてもおかしくはない。少なくとも、すぐさまセインに攻撃する意図はなさそうで――ヒイロに用があるだけらしい、と、セインは判断する。
「……つまり、ヒイロに用がある、ってこと? それなら悪いけど……あいつは今、出かけてるんだ。日を改めてくれ」
「!!」
外面モードを維持しながら、ありのままの事実を伝えれば、マジカの表情がわずかに変わる。
真剣な面持ちで息を呑むと、静かに、しかし確固たる意思を感じさせる声で言う。
「……なら、好都合だわ。ねえ、セイン・シャーテ。あんた……この家を出るつもりはないかしら?」
「ッ……!?」
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