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救済
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ジェット機のような速さで肩からとび出している漆黒の翼を操る赤髪の美少女は不敵な笑みを浮かべていた。先程カズキという少年がドアの下敷きになっているのを見てからこの調子だ。何か企んでいるのだろう。
「見つけたわ」
急に止まり下を見るとカズキを殺したと勘違いしているヤクザの連中がいる。ヤクザにはふさわしい悪と思わせる漆黒の車で逃げていたのだ。赤髪の美少女の翼と全く同じであり、そちらも悪なのだろうか...
「俺ら実際やってなくないですか!」
「いや、俺らが壊した扉の下敷きになっていたんだぞ、俺らが殺したんだ...」
「借金取りに来ただけなのにどうしてこうなっちまったんだ...」
冷静に考えるものもいれば、後悔しているものも、嘆いているものもいる。
「...もしかして...自殺..じゃない...」
そのワードを聞いた瞬間、皆の顔は青ざめた。本職はヤクザを生業としている連中、今回は借金取りという依頼を受けて一ヶ月も押しかけていたのだ。その結果がこの様だ。自殺と考えてもおかしくない。それだとドアの下敷きになってもピクリとも動かない少年にも頷ける。自殺だとしてもそこまで追い詰めた彼らが罪に問われないとは考えられない。その思考が車を止めないのだ。
そうこうしているうちに赤髪の美少女は魔法を唱え、一瞬のうちに放ったのだ。魔法は車の前で円状に変形し、その中へと消えていった。
■ ■ ■ ■
——高速道路を走っていたはずなのに...
——何故ここに俺らがいる?
驚きのあまり口に出すよりも思考が優先されているのか、はたまた死ぬ前に辺りがスローモーションに見え思考が急激に速くなるというあれなのか...
正解は後者の方であろうと推測できる。何故ならば、高速道路で走っていた車は未だ運動エネルギーを持ったままだからだ。運動エネルギーを持っているということは、スピードは今もなお持続しているという事だ。
このスピードでもし何かに衝突することがあれば助かる確率は低いだろう。その被害もちょっとでは済まない。しかし今回の被害はその車だけなのだ。何故ならば、衝突先はあの少年しか住んでいないボロアパートなのだから。
ドォォォン
衝突した瞬間ボロアパートなだけあって崩落し、車は大爆発をおこし火の餌食となった。
それと同時に赤髪の美少女はテレポートしてきた。
「これで証拠隠滅できたわ」
魔法で殺してしまった少年だ。もし殺害方法不明とか、凶器不明とか思われると奴らが私のいる世界を特定してしまう。そのため証拠隠滅をしたのだ。
「【選ばれしもの】を探しに行かないと」
「まて.....よ」
崩落した建物の中から声がした。奇跡的に助かったヤクザのリーダー、グラサンのおっさんは腕やわき腹の骨が折れていて立つのもやっとだ。それでも立ったのはその男の性格上からであろう。
「おまえ...何者だ..空間から..急に現れやがって..」
「見られてたの..それならしょうがないよね」
赤髪の美少女は魔法を唱え初めた。それを見たグラサンのおっさんは奴が人間ではない、人外に見えたのだ。
「俺の人生..ここで終わりか...」
急に胸にぽかんと穴があいたような切ない思いに襲われた。ヤクザとはいえ自分の家族と同じ扱い、暮らしをしてきた連中だ。それを殺されては虚しさ、悲しさ、怒りが積もるのも無理はない。殺されるのならば一矢報いてやろうそうも思った。しかし目の前の神々しい《こうごうしい》光を見て気持ちは変わった。勝てるはずがない...と
「ほんと人間ってクズよね、死んだあなたの仲間も、もちろんあなたも」
その言葉を聞いた瞬間何か自分の中で弾ける音がした。勝てるはずがない、倒せるわけがない。そう思いながらもグラサンのおっさんは仲間を侮辱した目の前の奴が許せなく拳を握り、大地を踏みしめ殴りにかかった。
「その無意味な覚悟には感服しますわね。それでは...この世からそして皆の記憶からさようなら」
ローズ・エクシスト!!
無数の漆黒の手がグラサンのおっさんに向かって襲い掛かってきた。避ける術もなく捕まりそうになったが、急に身体が横に倒れ命は免れた。何故倒れたのか倒された方向を振り向くとそこには死んだはずの少年カズキがいたのだ。
「お、おまえ扉の下敷きになって死んだはずじゃ?」
「えッ扉? 違うよ俺はあの女に殺されたの、いや殺されたならここにいないな。まぁ全部あいつのせいなの!」
「私の魔法を撃っても生きてるじゃない。心肺停止してたようだったけれど」
カズキは絡む糸をほどくようにグラサンのおっさんに誤解をといていったのだ。
「そういうことか、俺たちはまんまとお前に騙されたわけだな。おかしいと思っていたんだよな。扉の下敷きになって即死なんてな」
自分が殺していないと分かりホッとした様子で語った。
「あなたが生きてるという事はやはり【選ばれもの】ではないですか!!」
興奮気味にむんむんとした様子でカズキに寄りかかってきた。
「だ~か~ら俺はその【選ばれしもの】じゃないって!!」
「ふふぅ~ん...ではこれでもかな」
「漆黒の闇よ我に力をかしたまえ!!」
「グラサンのおっさん、俺の後ろに隠れとけ!!」
いつもなら人の命令を聞かないがこの時は命の危険性があったので、少年カズキの後ろに隠れたのだ。
ダークネス・デモリッシュ!!
「そんな攻撃きかねぇ」
右手を前に出し、攻撃を吸い込むように防ぎ、左手で相手に向けて攻撃を放ったのだ。
ダークネス・デモリッシュ!!!
continue...
「見つけたわ」
急に止まり下を見るとカズキを殺したと勘違いしているヤクザの連中がいる。ヤクザにはふさわしい悪と思わせる漆黒の車で逃げていたのだ。赤髪の美少女の翼と全く同じであり、そちらも悪なのだろうか...
「俺ら実際やってなくないですか!」
「いや、俺らが壊した扉の下敷きになっていたんだぞ、俺らが殺したんだ...」
「借金取りに来ただけなのにどうしてこうなっちまったんだ...」
冷静に考えるものもいれば、後悔しているものも、嘆いているものもいる。
「...もしかして...自殺..じゃない...」
そのワードを聞いた瞬間、皆の顔は青ざめた。本職はヤクザを生業としている連中、今回は借金取りという依頼を受けて一ヶ月も押しかけていたのだ。その結果がこの様だ。自殺と考えてもおかしくない。それだとドアの下敷きになってもピクリとも動かない少年にも頷ける。自殺だとしてもそこまで追い詰めた彼らが罪に問われないとは考えられない。その思考が車を止めないのだ。
そうこうしているうちに赤髪の美少女は魔法を唱え、一瞬のうちに放ったのだ。魔法は車の前で円状に変形し、その中へと消えていった。
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——高速道路を走っていたはずなのに...
——何故ここに俺らがいる?
驚きのあまり口に出すよりも思考が優先されているのか、はたまた死ぬ前に辺りがスローモーションに見え思考が急激に速くなるというあれなのか...
正解は後者の方であろうと推測できる。何故ならば、高速道路で走っていた車は未だ運動エネルギーを持ったままだからだ。運動エネルギーを持っているということは、スピードは今もなお持続しているという事だ。
このスピードでもし何かに衝突することがあれば助かる確率は低いだろう。その被害もちょっとでは済まない。しかし今回の被害はその車だけなのだ。何故ならば、衝突先はあの少年しか住んでいないボロアパートなのだから。
ドォォォン
衝突した瞬間ボロアパートなだけあって崩落し、車は大爆発をおこし火の餌食となった。
それと同時に赤髪の美少女はテレポートしてきた。
「これで証拠隠滅できたわ」
魔法で殺してしまった少年だ。もし殺害方法不明とか、凶器不明とか思われると奴らが私のいる世界を特定してしまう。そのため証拠隠滅をしたのだ。
「【選ばれしもの】を探しに行かないと」
「まて.....よ」
崩落した建物の中から声がした。奇跡的に助かったヤクザのリーダー、グラサンのおっさんは腕やわき腹の骨が折れていて立つのもやっとだ。それでも立ったのはその男の性格上からであろう。
「おまえ...何者だ..空間から..急に現れやがって..」
「見られてたの..それならしょうがないよね」
赤髪の美少女は魔法を唱え初めた。それを見たグラサンのおっさんは奴が人間ではない、人外に見えたのだ。
「俺の人生..ここで終わりか...」
急に胸にぽかんと穴があいたような切ない思いに襲われた。ヤクザとはいえ自分の家族と同じ扱い、暮らしをしてきた連中だ。それを殺されては虚しさ、悲しさ、怒りが積もるのも無理はない。殺されるのならば一矢報いてやろうそうも思った。しかし目の前の神々しい《こうごうしい》光を見て気持ちは変わった。勝てるはずがない...と
「ほんと人間ってクズよね、死んだあなたの仲間も、もちろんあなたも」
その言葉を聞いた瞬間何か自分の中で弾ける音がした。勝てるはずがない、倒せるわけがない。そう思いながらもグラサンのおっさんは仲間を侮辱した目の前の奴が許せなく拳を握り、大地を踏みしめ殴りにかかった。
「その無意味な覚悟には感服しますわね。それでは...この世からそして皆の記憶からさようなら」
ローズ・エクシスト!!
無数の漆黒の手がグラサンのおっさんに向かって襲い掛かってきた。避ける術もなく捕まりそうになったが、急に身体が横に倒れ命は免れた。何故倒れたのか倒された方向を振り向くとそこには死んだはずの少年カズキがいたのだ。
「お、おまえ扉の下敷きになって死んだはずじゃ?」
「えッ扉? 違うよ俺はあの女に殺されたの、いや殺されたならここにいないな。まぁ全部あいつのせいなの!」
「私の魔法を撃っても生きてるじゃない。心肺停止してたようだったけれど」
カズキは絡む糸をほどくようにグラサンのおっさんに誤解をといていったのだ。
「そういうことか、俺たちはまんまとお前に騙されたわけだな。おかしいと思っていたんだよな。扉の下敷きになって即死なんてな」
自分が殺していないと分かりホッとした様子で語った。
「あなたが生きてるという事はやはり【選ばれもの】ではないですか!!」
興奮気味にむんむんとした様子でカズキに寄りかかってきた。
「だ~か~ら俺はその【選ばれしもの】じゃないって!!」
「ふふぅ~ん...ではこれでもかな」
「漆黒の闇よ我に力をかしたまえ!!」
「グラサンのおっさん、俺の後ろに隠れとけ!!」
いつもなら人の命令を聞かないがこの時は命の危険性があったので、少年カズキの後ろに隠れたのだ。
ダークネス・デモリッシュ!!
「そんな攻撃きかねぇ」
右手を前に出し、攻撃を吸い込むように防ぎ、左手で相手に向けて攻撃を放ったのだ。
ダークネス・デモリッシュ!!!
continue...
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