Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

文字の大きさ
2 / 75
第一章 Exスキル「能力100万倍」と副作用

第2話 三体のお地蔵様

しおりを挟む
 お地蔵様たちの周囲は、今もなおぼんやりとした優しい光に包まれている。その光は、穏やかな海の波のように心を和ませる。

 そして突然、その光の中から声が聞こえてきた。俺に向かって話しかけてきたのだ。

 「心優しき青年よ。我々が探していた者であろう。奥の扉を開け、不遇な扱いを受け苦しんでいる者たちを救って欲しい。その扉の先は異世界じゃ。気をつけるのじゃぞ...」

 「其方が異世界で、力を発揮しやすいように三巻の巻物を用意した。其方に力を授けよう!」

 「巻物を開くとき、強力な力が手に入るだろう。その力を使って、ナイメール星で苦境に立たされている者達を、一人でも多く助けてやるのじゃぞ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 お地蔵様たちの話が終わると、不思議な光が消えてしまい、俺がいくら話しかけても反応は返ってこなかった。仕方なく、頂いた巻物を開いてみることにした。

 巻物には「言語能力」、「鑑定(ON/OFF)機能付き」とが記されており、最後の巻物には「能力100万倍」との記載がある。この「言語能力」は、仲間にも分け与えることが可能なようだ。

 驚くべきことに、巻物に記された文字が空中を舞い、俺の体内に入り込んでしまった。そして俺の側には、何も記されていない巻物が三巻残された。

 ど、どう言う事だ?

 驚いていても状況は変わらない。だから、お地蔵様たちの言葉に従い、ゆっくりと扉を開けてみることにした。

 するとそこは、先ほどの洞窟と同じような空間が広がっていた。空気も同じくひんやりとしていた。一体全体、これは何なのだろう?この山の別の出口に繋がっているのか?それともまた同じ場所に戻ってしまったのだろうか? 

 う~ん、訳が分からないなぁ...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ほっとしたのか、がっかりしたのか、複雑な感情に包まれていると、背後から異様な気配を感じ取った。

 本当にそれは直観的なものだった。不穏なざわめきを感じ取り、斜め後ろを振り向くと、自分よりも一回り小さい何かが木の棒を振り下ろそうとしているのが見えた。

 「おわ!」と反射的に出た大声に、驚いた茶色い子供の様な汚らしい者は、一瞬怯んで動きが止めた。その一瞬の隙を突いて、俺はその振り下ろす力を利用して、背負い投げをくらわした。

 俺はなめられない様に、十年間柔道で体を鍛えたんだ。外見で判断するなよ。

 うちの裏山におかしなYouTuberでも入って来たのか?そう思って、スマホから警察に電話を試みたが、つながらなかった。

 しょうが無く地面に投げつけた相手をよく見てみると、驚いた。どう見ても人間じゃない。鼻が尖っており、眼が異様にデカい。体臭と口臭が異常にきつく、気持ちが悪くなる。しかも洋服は汚れたボロキレしか身にまとっていない。

 「そ、それにここは何処なんだ?本当に裏山なのか?」俺は驚き、独り言を呟いた。 すると、俺の呟きに答えるかの様に、声が聞こえた。

 「鑑定結果。ナイメール星、ケインズ村の外れ」

 どうやら俺の「ここは何処だ?」の声に、「鑑定」が勝手に反応した様だ。

 超便利な機能だな。
 
 この「鑑定」能力を使ってみると、様々な物についての情報を得ることができた。

 例えば、この草は「ファイアリーフ」と呼ばれ、赤く燃えるような葉を持つ野草で、食べると辛い味がする。また、「スターベリー」という星型の実をつける野草もあり、その実は甘くて食べられるようだ。

 また面白半分で、異世界と地球をつなぐ扉を鑑定してみたところ、なんと取り外しが可能であった。

 つまり、扉さえ持って帰れば、自分の部屋からこの異世界の洞窟に来ることも出来る様だ。すごく便利。でもお地蔵様には、なかなか会えなくなるのかな?寂しいな。

 あと横たわっている人?を鑑定してみた。鑑定結果はゴブリンと出た。

 「ゴ、ゴブリン...」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 本当に小説の様な世界に来てしまったのか?呆然と足元のゴブリンを眺めていると、突然ゴブリンが霧状になり、黒い球体を残して消えてしまった。

 「き、消えた?」

 「落ちつくのじゃ、少年よ。地球と異世界側の洞窟に結界をはった影響で、ゴブリンが消滅したのじゃ。これで二つの洞窟は其方と仲間たち以外、入ることも認識することもできない。安心して使うがよい。我々は少し休む。またいつの日か会おうぞ、少年」

 色々とありがとう。お地蔵様たち。

 ただ、何だかんだしていたら、洞窟の外はもう真っ暗だった。

 知らない土地で、暗闇をうろつくのは危険すぎる。それに火もない。

 今、無茶をして洞窟の外に出たところで、たいした武器も持っていない。村までの行き方も分からない。つまり危険極まりないってことだ。準備をしっかりして、もう一度来ることにしよう。

 はやる気持ちを抑えて、いつもうろついている裏山側の洞窟に戻ってきた。こっちの世界も真っ暗だった。

時間の流れはほぼ同じ...のようだな。

 もうテントを張るのも面倒になったので、キャンプ用具を洞窟まで運び、そこで眠ることに決めた。おやつに買ったどら焼きを三体の地蔵に供えたら、なんとなく喜んでいるように見えたのだが、それは俺だけだろうか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 結局次の日も、異世界への扉を開けることはなかった。ケインズ村まで行く準備が全然できていないからだ。準備を怠ると、怪我をしたり最悪の場合は命を落とすことになる。そんなことになったら、元も子もないからね。

 ちゃんと準備を整えてから、ケインズ村に向かうことに決めた。四月からは東京の大学に通うことになっているが、引っ越しの準備もまだ全く手つかずだ。やらなければならないことが山のようにある...。

 ため息をつきながら、智也はやるべきことの多さに圧倒されていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

男女比5対1の女尊男卑の世界で子供の頃、少女を助けたら「お嫁さんになりたい!」と言って来た。まさか、それが王女様だったなんて……。

楽園
恋愛
「将来、あなたのお嫁さんになりたい」 10年前、俺は魔法の力で一人の少女を救った。 ……そして現在。ここは男女比5:1の女尊男卑の世界。 男は女に「選ばれる」ためだけの存在する。   俺、アルトは、前世の記憶と女でさえ持っていない無限の魔力を隠し、父と静かに暮らす「モブ」になるはずだった。 「待っていましたわ、アルト」 学園で再会したあの時の少女は、驚くべきことにリリアーナ王女だった。 どうやら彼女、あの日の「約束」を本気で果たしに来たらしい。 (俺の平穏なモブ生活が……!) 最強を隠したい男と、その秘密ごと彼を手に入れたい王女の、すれ違い学園ファンタジー!

処理中です...