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第二章 回復系魔法使い クラリス
第19話 波乱の予感
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ファッションセンターシロクマから出た後、俺は周囲からの視線をますます感じるようになった。洋服を新調し、ボディラインが際立つ服装に変わったメルは、男女問わず注目される存在となった。
駅前の大型ショッピングモールに行くまでに、俺のメンタルが崩壊しそうだ。でもシロクマの店員さんに言われた様に、下着くらいはいい物を買ってあげたい。そう思って、商店街を駅に向かってメルと歩いている。
メルが新しい服に着替えた時、「こんな素敵な服、私にはもったいないです!」と初めはすごく謙遜していたが、「私に似合いますか?おかしくないですか?」に変わり、俺が「すごく似合ってるよ、可愛いよ」と答えると、本当に嬉しそうに俺の手を強く強く握った。
しかし、メルが俺に合わせてあまりにも身を屈めると、腰が痛くならないか心配になる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
商店街の終わりが近づき、駅前のショッピングモールまであと一息という所で、「智ちゃん!智ちゃん!」と呼ばれた。その声の主は、俺が毎日のように足を運ぶ、肉屋のおばちゃん、八尾さんだった。
また...面倒な人が声をかけてきた。商店街の情報屋だからな。
ただ「智ちゃん!蕎麦屋のかつ丼は絶対に智ちゃんの舌にあうよ」や「ラーメン屋は商店街の裏路地の店「豚骨亭」が良いよ!」等、俺の好みを短期間で見抜き、色々とアドバイスをしてくれる。無下にするわけにはいかない存在だ。
そんな俺の大切な人、肉屋の八尾さんが声をかけてきた。
「智ちゃん、どうしたんだい?その美人さんは?彼女さんかい?」と早速、興味津々な表情で俺に尋ねてきた。
「違うよ。遠い親戚だよ。今、日本に留学しているの」とごまかした。
すると八尾さんは、「嘘おっしゃい!そんな風には見えないよ!あんたにベタ惚れじゃないかい!コロッケ5個で本当のことを言いな!」とすごんできた。
鋭い目で俺を見つめる八尾さん。一瞬怯んでしまう。5個か...太っ腹だけど「メルの国では、こういう接し方が当たり前なの。じゃあね。八尾さん!」と言い、最大の敵からメルの手を引いて何とか逃げ切った。
「ちょ、ちょっとお待ち。春巻きも5個付けるから!」
ふ~。強敵だった...。
それからは、表立って話しかけてくる人はいなかったけど、遠巻きにひそひそと話される雰囲気を感じた。何にも悪いことはしていないんだけどなぁ...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふと横を向くと、メルがしゅんとしている。「どうしたの?」と聞くと、俺の顔を真直ぐ見つめてきた。心臓が高鳴る。相変わらず可愛い。
「先程の肉屋のおばさん...知り合いなんですか?とても親しそうに話されていました。そして、すごく美人でスタイルも良い方です。ご主人様はやはり、あのようなお方が好きなのですか?」
何だか泣きそうな表情で俺に聞いてきた。さっきのお方って、八尾さんの事か⁉八尾さん...ナイメール星に行けばモテモテなのね...。
「メル。それは違うよ。いつもお肉を買うだけだよ。それにメル、俺たちは美的感覚が違うんだ。俺にとっては、八尾さんよりもメルの方がずっと可愛いんだ。いや、何千倍も可愛いと思ってるよ!」と、俺はメルに自分の気持ちをしっかりと伝えた。
ごめんね。八尾さん。
「ほ、本当ですか...。ごめんなさい...。ご主人様。あまりにもお二人が親しそうに話されていたもので...。メルは、メルは心配になってしまいました」
メルは身を屈めて、俺を抱きしめて泣いてしまった。
周囲の視線が気になるが、俺にできることは何もない。メルが強く抱きしめてくる。身動きが取れず、身体全体が少々痛い。いや大分痛い。俺はペンギンの様に手を後ろにしたポーズで固定されている。
だけど、こんなに可愛い子が、俺が自分から離れてしまうかもしれないと思って泣いてくれるなんて...。それは本当に幸せなことだよな。
それにしても...。八尾さんが美人だなんて、本当に美的感覚の違いって恐ろしい。まあメルに美男子に見られている俺が言うのもなんだけど。
商店街の中で注目を一身に浴びている。周囲の人々が遠巻きで俺たち見ている。もちろん肉屋の八尾さんも、きっとどこかで見ているだろう。
ただ、俺は気づいていなかった。その人だかりの中に、同じ大学に通う看護科の学生が紛れていたことを...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねえ?あのちびちゃん、志保が狙っているブーちゃんじゃない?うわ!外人さんに抱きしめられている!それもあの外人さん、めっちゃ美人!あー!あんな美人さんを泣かしている!信じられない!」
「あ、本当だ、ブーちゃんだ!な、なに、相手の外人さん...。すごく綺麗だし、脚長!胸もすごく大きい...。やばいって志保、胸が大きな人に対して異様に嫉妬するから...。でも...面白くなりそうだから、志保に報告だね♡」
「うんうん♡」
この二人組の存在が、後に大きな問題を引き起こすこととなる。しかし、この時点で智也はまだ、その事実を知らなかった。
駅前の大型ショッピングモールに行くまでに、俺のメンタルが崩壊しそうだ。でもシロクマの店員さんに言われた様に、下着くらいはいい物を買ってあげたい。そう思って、商店街を駅に向かってメルと歩いている。
メルが新しい服に着替えた時、「こんな素敵な服、私にはもったいないです!」と初めはすごく謙遜していたが、「私に似合いますか?おかしくないですか?」に変わり、俺が「すごく似合ってるよ、可愛いよ」と答えると、本当に嬉しそうに俺の手を強く強く握った。
しかし、メルが俺に合わせてあまりにも身を屈めると、腰が痛くならないか心配になる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
商店街の終わりが近づき、駅前のショッピングモールまであと一息という所で、「智ちゃん!智ちゃん!」と呼ばれた。その声の主は、俺が毎日のように足を運ぶ、肉屋のおばちゃん、八尾さんだった。
また...面倒な人が声をかけてきた。商店街の情報屋だからな。
ただ「智ちゃん!蕎麦屋のかつ丼は絶対に智ちゃんの舌にあうよ」や「ラーメン屋は商店街の裏路地の店「豚骨亭」が良いよ!」等、俺の好みを短期間で見抜き、色々とアドバイスをしてくれる。無下にするわけにはいかない存在だ。
そんな俺の大切な人、肉屋の八尾さんが声をかけてきた。
「智ちゃん、どうしたんだい?その美人さんは?彼女さんかい?」と早速、興味津々な表情で俺に尋ねてきた。
「違うよ。遠い親戚だよ。今、日本に留学しているの」とごまかした。
すると八尾さんは、「嘘おっしゃい!そんな風には見えないよ!あんたにベタ惚れじゃないかい!コロッケ5個で本当のことを言いな!」とすごんできた。
鋭い目で俺を見つめる八尾さん。一瞬怯んでしまう。5個か...太っ腹だけど「メルの国では、こういう接し方が当たり前なの。じゃあね。八尾さん!」と言い、最大の敵からメルの手を引いて何とか逃げ切った。
「ちょ、ちょっとお待ち。春巻きも5個付けるから!」
ふ~。強敵だった...。
それからは、表立って話しかけてくる人はいなかったけど、遠巻きにひそひそと話される雰囲気を感じた。何にも悪いことはしていないんだけどなぁ...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ふと横を向くと、メルがしゅんとしている。「どうしたの?」と聞くと、俺の顔を真直ぐ見つめてきた。心臓が高鳴る。相変わらず可愛い。
「先程の肉屋のおばさん...知り合いなんですか?とても親しそうに話されていました。そして、すごく美人でスタイルも良い方です。ご主人様はやはり、あのようなお方が好きなのですか?」
何だか泣きそうな表情で俺に聞いてきた。さっきのお方って、八尾さんの事か⁉八尾さん...ナイメール星に行けばモテモテなのね...。
「メル。それは違うよ。いつもお肉を買うだけだよ。それにメル、俺たちは美的感覚が違うんだ。俺にとっては、八尾さんよりもメルの方がずっと可愛いんだ。いや、何千倍も可愛いと思ってるよ!」と、俺はメルに自分の気持ちをしっかりと伝えた。
ごめんね。八尾さん。
「ほ、本当ですか...。ごめんなさい...。ご主人様。あまりにもお二人が親しそうに話されていたもので...。メルは、メルは心配になってしまいました」
メルは身を屈めて、俺を抱きしめて泣いてしまった。
周囲の視線が気になるが、俺にできることは何もない。メルが強く抱きしめてくる。身動きが取れず、身体全体が少々痛い。いや大分痛い。俺はペンギンの様に手を後ろにしたポーズで固定されている。
だけど、こんなに可愛い子が、俺が自分から離れてしまうかもしれないと思って泣いてくれるなんて...。それは本当に幸せなことだよな。
それにしても...。八尾さんが美人だなんて、本当に美的感覚の違いって恐ろしい。まあメルに美男子に見られている俺が言うのもなんだけど。
商店街の中で注目を一身に浴びている。周囲の人々が遠巻きで俺たち見ている。もちろん肉屋の八尾さんも、きっとどこかで見ているだろう。
ただ、俺は気づいていなかった。その人だかりの中に、同じ大学に通う看護科の学生が紛れていたことを...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねえ?あのちびちゃん、志保が狙っているブーちゃんじゃない?うわ!外人さんに抱きしめられている!それもあの外人さん、めっちゃ美人!あー!あんな美人さんを泣かしている!信じられない!」
「あ、本当だ、ブーちゃんだ!な、なに、相手の外人さん...。すごく綺麗だし、脚長!胸もすごく大きい...。やばいって志保、胸が大きな人に対して異様に嫉妬するから...。でも...面白くなりそうだから、志保に報告だね♡」
「うんうん♡」
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