Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

文字の大きさ
28 / 75
第二章 回復系魔法使い クラリス

第28話 急襲

しおりを挟む
 俺たち三人は和気あいあいと話しながら、俺の住むマンションへと続く洞窟に向かって、ケインズ村の外れを歩いていた。

 夜の空は深い紺色に染まり、星がちらほらと輝いている。遠くからは虫の音が聞こえ、足元には小さな石ころが転がっている。時折、風が木々を揺らし、葉っぱが舞い落ちる。そんな静かな夜の雰囲気の中、俺たちは笑い声を響かせながら歩いていた。

 しかし、突然、空気が一変した。どこからともなく現れた黒装束を身にまとった多数の者たちが、無言で俺たちを取り囲んだ。

 メルやクラリスの顔にも緊張が走り、笑顔が一瞬で消え去った。

 大勢の敵に囲まれた。そう、異世界版の忍者集団のような者たちに。ただ、何というか、その...想像した忍者たちとはちょっと違う...。いや大分違うか...。

 な、なんだ、この集団は?お笑いの軍団か何かか?

 もう新喜劇や劇場で行うコントのような状態。俺の知っている忍者とは、真逆のような連中たち。丸々と太ったり筋肉質だったり、ビッグハムのように肉の塊のような者、逆にマッチ棒のような細長い者など等、総勢30人ほどの黒装束の集団に囲まれてしまった。

 ただ、こんな滑稽な集団に囲まれるまで気づかないものだろうか...?

 というか、あんな体型の者達が、何で俊敏な動きができるんだ?やっぱり変わっているな。異世界って...。

 おっと感心している場合ではない。何なんだ、この連中は...。「メル。何なんだ、こいつらは...。知っているか?」

 メルは俺を「美男子様抱っこ」で持ち上げて、自分の胸に抱き寄せた。彼女は俺を守るためなら自分の身をも犠牲にする覚悟だ。

そんなメルが、「あの胸元についている猪マークは、昨日私たちを襲ってきた「ドラリル一味」の残党に間違いありません!彼女らは今回、マリンたちとは異なり、一味の正装を身にまとっています。これは彼女らが本気で私たちに挑んできた証だと思われます!」と、教えてくれた。

 メルが俺を抱きしめる手に力がこもる。体術スキルの進化と、それにより身体能力が100万倍に増したメルなら、俺とクラリスを守るのは容易だろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「あんたたち!ちょっと私たちに付き合ってもらうよ。ここだと目立つからね。それと、あなたたちが待ち焦がれている者たちは、どれだけ待っても現れいよ。ひひひひひ!」

 超巨大なおデブちゃんが、高らかに笑った。もしかしたら、「ドラリル一味」のボスなのか?

 マリンたちはお揃いの外套を身にまとっていたが、こいつらは統一された黒装束を着用している。そして、マリンたちと同じく、多くの者たちが顔をマスクで隠している。容姿を他人に見せたくない者も、きっと多いに違いない。

 おいおい、それにしても役人たちどうしたんだ?買収されたんか?

 俺の想いを読み取ったかの様に、超巨大なおデブちゃんが「私たちの部下が役人を足止めしているからね。どれだけ待ってもこないよ。さあ、私たちについて来な!」と、吐き捨てるように俺たちに向かって吠えた。

 メルは「行きましょう!ここでは一般の人たちにも迷惑がかかるかもしれません。大丈夫ですよ、ご主人様!メルが命に代えてでもあなた様をお守りします。それにご主人様がいて下されば...メルは無敵です!」

 そうメルは言った後、更に俺を強く抱きしめた。ただ周りには黒装束を身にまとった者達が30人程。そして暗闇に目が慣れてきたから分かるが、手には様々な武器が握られている。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「メ、メルどういうことなの?」

 メルに庇われるように立つクラリスが、メルに状況を聞こうとする。表情は冷静さを装うとしているが、クラリスの声は震えている。

 「昨日、私とご主人様はこの一味の襲撃を受けました。しかし、その時にメルの能力が目覚めまたのです!メルはご主人様が傍にいて下さると、能力が大幅に上昇するのです!クラリスお姉様!安心して下さい。お姉様もメルがお守りします!」

 そうメルが力強く宣言した。

 しかし、メルだけが戦うというのは、明らかに不利だ。周围を見渡すと、仮面越しに見える目はギラギラと血走らせ、俺達を見つめている。怖い。捕まったら終わりだ。

 それならば...。「メルちょっといいか」と俺はメルの耳元で囁き、あることを彼女に伝えた。

 俺の話を聞いた後メルは、 「可能ですが...ご主人様、お二人を同時にお運びするのなら、不安定ですよ⁉それにだいぶ揺れると思います。それでもよろしいのでしょうか...?」とメルは、心配そうな表情で俺を見つめる。

 「いい!それでいいから頼む。メル頼んだぞ」

 もう、この手でいくしかない。

 頷いたメルは、俺を一回地面におろして、両脇に俺とクラリスを抱えた。

 「きゃっ」

 クラリスが叫び声をあげると、周りの悪党たちの視線が一気にこちらを向いた。

 「逃げるぞ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 そう叫んだ後、メルは洞窟がある方向へと、俺とクラリスを両腕で抱えつつ走り始めた。

 メルは、俺たちを抱きかかえているとは思えないほどの、すごいスピードで縦横無尽な動きをした。そして、行く手を阻む者達を長い足でけり倒した。

 「な、何なんだい?あのブサイクは!や、やっぱり!!マリンが帰ってこないからおかしいと思ったが、あんたがやったんだね!ゆるさないよ!」

 超巨大なおデブちゃん、いや、ボスらしき人物が怒り狂ったような表情をしながら大声をあげた。

 「許さないとか、こっちも死にそうな目にあったんだ!お互い様だ!悪いが逃げさせてもらうよ。「メルいいぞ!もう少しだ。逃げ切るぞ!」

 ただ...。

 「ご、ご主人様、す、すみませ...ん。ご主人様...だけでも...」

 神のいたずらか、死神に愛されているのか知らないが、事態は最悪な方向へと導かれて行く様だ。

 メルの足が...止まってしまった...。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...