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第一章 EXスキル本との出会い
第7話 ツンデレ...⁉
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EXスキル【混ぜるな危険!】の突然の提案により、俺はEXスキル本と共同作業を行うことになった。
まあ、【治療】と【知識】、そして、【炎の剣使い】のランクCになるために必要な【剣術】と【ファイア】のスキル本の場所まで案内してもらうとしよう。今は、この【混ぜるな危険!】に身を委ねるのが最も効率的だろう。
「じゃあ頼むぜ、【混ぜるな危険!】...」
何だかしっくりこないな。堅苦しい。そうだな...。あだ名でも考えてみるか。
こいつに合う名前は...どうだろう...?カトリーヌちゃんなんて言った日にゃあ、きっと怒られるだろうな。ここは真剣に考えなければ。
「混ぜるなだから、マゼールってのはどうだ?マゼール、頼んだぜ!」
『マゼールって、わた、私のことですか!す、すごくいいです!素敵です!...い、いえ。ま、まあ、デニットさんがどうしてもというなら、その名でいいですよ。しょうがないですね。デニットさんは!そんなに私の事を親しみやすく呼びたいのなら、呼ばせてあげますよ!!その代わり...特別ですからね!』
マゼールって、ツンデレ気質か⁉何がしょうがないのかはよく分からないが。気に入ってくれたのかな...?いや、確実に気に入ったな。
『さあ、デニットさん!どんどん混ぜ混ぜするためにも、張り切りますよ!デニットさん!2階の右奥にある宝箱まで全速力で走って下さい!宝箱の中には【治療】のスキル本が出現しています!あと2分で宝箱の中身が変わってしまいます!』
もっと早く言えよ!
そう思いながらも俺は、2階に続く階段に向かって急いで走りだした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マゼールの指示で、今日もダンジョンの1階から3階を行ったり来たりしている。40歳までの大半を冒険稼業を片手間に続けてきたこの身体には、正直かなりキツイ。まあ、それも全部自分のせいだけどな。
だが、マゼールのおかげで、【炎の剣使い】をランクに上げるためのスキル本を無事に集めることができた。それに加え、【混ぜるな危険!】の効果によって、ついに俺もランクCのスキル保有者となった。
ステータスを脳内で開いて、EX波及スキル欄の【炎の剣使い】を見ると、DからCへと変わっていた。はぁ~。何度見ても顔がにやついてしまう。
とはいえ、それを皆に言いふらすほど野暮な性格じゃない。それに、右腕の状態は依然このとおりだ。いくらランクCの【炎の剣使い】を手にしたとしても、この腕じゃ戦いを挑まれても、満足に戦える気はしない。
ここは我慢だ。まずは【先端医療】のスキルをCランクに上げて、右腕を万全な状態に戻すのが先決だろう。
そんな俺の心を見透かしたのか、マゼールがにこやかな声で話しかけてきた。
『おめでとうございます、デニットさん!あとは右腕さえ治れば、憎きジャッカル達を、いぶしながら処刑できますね』とにこやかな声で話しかけてきた。
こわ!
物騒なことをさらりと言うその様子に、思わず背筋がぞくりとする。こらこら、そういうのは冗談でも言わないの。
マゼールの声は、最初はただの機械音だった。それが、あだ名をつけて密に会話をするようになってから、やわらかく感情を持つ女性の声に変わった。
だからこそ、この発言は余計に恐ろしい。
でもそうだな。次は【先端医療】のスキル本集めだな。でも、一つ問題点がある。なかなか【知識】のスキル本が現れない。
2週間ほどかけて【先端医療】と【炎の剣使い】の作成に必要なスキル本を集めてきた。だが、【先端医療】作成に必要な【知識】のスキル本だけは、なかなか現れてくれない。
気がつけば、【先端医療】ランクCよりも先に、【炎の剣使い】ランクCが完成していた。
まあ、しょうがないよな。俺に似合わない言葉だが、地道にコツコツとやるしかない。そんなことを考えていると、マゼールから新たな指令が飛び込んできた。
『ほらほら、デニットさん!急いで3階に行きますよ!これから先、必ず必要になると思われるスキル、【譲渡】が出ましたよ。今回獲得できれば、6冊になります。急いで下さい!これ以上のんびりするつもりなら、脳神経細胞を数千個破壊しますよ!』
また恐ろしいことを...。本当にやろうと思えばできるから...怖い。
ただ、俺と違ってマゼールは、非常にしっかり者で頼りになる。そして、常に先を考えて俺を導いてくれる。本当にありがたい存在だ。
「マゼール、いつもありがとうな。それにしても、マゼールは寝なくていいのか?」と俺が尋ねると、いつもの口調から、少し早口に変わった。
『わ、私はEXスキルです!睡眠なんて必要ないんです!そ、それよりも、わ、私に感謝しているんですか?ふ~ん。そ、そうなのですね。まあ、引き続きアドバイスをしてあげますよ。か、感謝して下さいよね!』と、一気にまくしたてる。
最近、マゼールにもこんな可愛らしい一面があることに気がついた。だが、気を抜く暇はない。そんなことを思っていると突然...。
『デニットさん!ぼやぼやしている時間なんてありませんよ!このままボケっとしていると、本気で脳神経細胞を破壊しちゃいますからね!』
マゼールの声が再び響き、苦笑いを浮かべる間もなく、次のスキル本探しが始まった。
まあ、【治療】と【知識】、そして、【炎の剣使い】のランクCになるために必要な【剣術】と【ファイア】のスキル本の場所まで案内してもらうとしよう。今は、この【混ぜるな危険!】に身を委ねるのが最も効率的だろう。
「じゃあ頼むぜ、【混ぜるな危険!】...」
何だかしっくりこないな。堅苦しい。そうだな...。あだ名でも考えてみるか。
こいつに合う名前は...どうだろう...?カトリーヌちゃんなんて言った日にゃあ、きっと怒られるだろうな。ここは真剣に考えなければ。
「混ぜるなだから、マゼールってのはどうだ?マゼール、頼んだぜ!」
『マゼールって、わた、私のことですか!す、すごくいいです!素敵です!...い、いえ。ま、まあ、デニットさんがどうしてもというなら、その名でいいですよ。しょうがないですね。デニットさんは!そんなに私の事を親しみやすく呼びたいのなら、呼ばせてあげますよ!!その代わり...特別ですからね!』
マゼールって、ツンデレ気質か⁉何がしょうがないのかはよく分からないが。気に入ってくれたのかな...?いや、確実に気に入ったな。
『さあ、デニットさん!どんどん混ぜ混ぜするためにも、張り切りますよ!デニットさん!2階の右奥にある宝箱まで全速力で走って下さい!宝箱の中には【治療】のスキル本が出現しています!あと2分で宝箱の中身が変わってしまいます!』
もっと早く言えよ!
そう思いながらも俺は、2階に続く階段に向かって急いで走りだした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マゼールの指示で、今日もダンジョンの1階から3階を行ったり来たりしている。40歳までの大半を冒険稼業を片手間に続けてきたこの身体には、正直かなりキツイ。まあ、それも全部自分のせいだけどな。
だが、マゼールのおかげで、【炎の剣使い】をランクに上げるためのスキル本を無事に集めることができた。それに加え、【混ぜるな危険!】の効果によって、ついに俺もランクCのスキル保有者となった。
ステータスを脳内で開いて、EX波及スキル欄の【炎の剣使い】を見ると、DからCへと変わっていた。はぁ~。何度見ても顔がにやついてしまう。
とはいえ、それを皆に言いふらすほど野暮な性格じゃない。それに、右腕の状態は依然このとおりだ。いくらランクCの【炎の剣使い】を手にしたとしても、この腕じゃ戦いを挑まれても、満足に戦える気はしない。
ここは我慢だ。まずは【先端医療】のスキルをCランクに上げて、右腕を万全な状態に戻すのが先決だろう。
そんな俺の心を見透かしたのか、マゼールがにこやかな声で話しかけてきた。
『おめでとうございます、デニットさん!あとは右腕さえ治れば、憎きジャッカル達を、いぶしながら処刑できますね』とにこやかな声で話しかけてきた。
こわ!
物騒なことをさらりと言うその様子に、思わず背筋がぞくりとする。こらこら、そういうのは冗談でも言わないの。
マゼールの声は、最初はただの機械音だった。それが、あだ名をつけて密に会話をするようになってから、やわらかく感情を持つ女性の声に変わった。
だからこそ、この発言は余計に恐ろしい。
でもそうだな。次は【先端医療】のスキル本集めだな。でも、一つ問題点がある。なかなか【知識】のスキル本が現れない。
2週間ほどかけて【先端医療】と【炎の剣使い】の作成に必要なスキル本を集めてきた。だが、【先端医療】作成に必要な【知識】のスキル本だけは、なかなか現れてくれない。
気がつけば、【先端医療】ランクCよりも先に、【炎の剣使い】ランクCが完成していた。
まあ、しょうがないよな。俺に似合わない言葉だが、地道にコツコツとやるしかない。そんなことを考えていると、マゼールから新たな指令が飛び込んできた。
『ほらほら、デニットさん!急いで3階に行きますよ!これから先、必ず必要になると思われるスキル、【譲渡】が出ましたよ。今回獲得できれば、6冊になります。急いで下さい!これ以上のんびりするつもりなら、脳神経細胞を数千個破壊しますよ!』
また恐ろしいことを...。本当にやろうと思えばできるから...怖い。
ただ、俺と違ってマゼールは、非常にしっかり者で頼りになる。そして、常に先を考えて俺を導いてくれる。本当にありがたい存在だ。
「マゼール、いつもありがとうな。それにしても、マゼールは寝なくていいのか?」と俺が尋ねると、いつもの口調から、少し早口に変わった。
『わ、私はEXスキルです!睡眠なんて必要ないんです!そ、それよりも、わ、私に感謝しているんですか?ふ~ん。そ、そうなのですね。まあ、引き続きアドバイスをしてあげますよ。か、感謝して下さいよね!』と、一気にまくしたてる。
最近、マゼールにもこんな可愛らしい一面があることに気がついた。だが、気を抜く暇はない。そんなことを思っていると突然...。
『デニットさん!ぼやぼやしている時間なんてありませんよ!このままボケっとしていると、本気で脳神経細胞を破壊しちゃいますからね!』
マゼールの声が再び響き、苦笑いを浮かべる間もなく、次のスキル本探しが始まった。
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