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第六章 エルメス奴隷商会と獣人奴隷
第79話 人族のたくらみ
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ジュードから得た情報をシリウスとサイモンと話し合うため、先ほどまでいた客間に戻ることにした。
シリウスは、客間に戻る途中で何度も俺に礼を述べ、「あれほどの魔法をお使いになった後ですが、お休みにならなくてよろしいのでしょうか?身体を癒すことに特化した性奴隷を2,3名お呼びいたしましょうか?」と心配してくれた。
そんなお方たちを用意されたら、逆に疲れ切って動けなくなりそう...。
俺が「シリウスさん、そこまでしてもらう必要はないよ」とやんわり断ると、シリウスは真剣な表情で「本当によろしいのですか、太郎様?それと私の事はシリウスとお呼び下さい!私はあなたに忠誠を誓いました!主人が下僕に対して「様」を付けるのはおかしいです!」と言ってきた。
下僕扱したつもりなど一度も無いし、するつもりもないのだが...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ジュードにかけた鑑定魔法から得た情報について、サイモンとシリウスに尋ねたかった。特にヒメール王国の宰相ジュウメイと、ガーナッド奴隷商会の二代目会長ドリウスについてのことを...。
二人の態度からして、明らかに思い当たる節があるようだ。ジュードから得た鑑定結果と、シリウスやサイモンが知っている情報を照らし合わせることで、現状がより明確になるだろう。
一人で思案にふけっていると、紅茶を淹れてくれた給仕係や使用人たちは、「何かございましたら、このベルをお鳴らし下さい」と言い残し、静かに部屋を後にした。
使用人や給仕係が静かに部屋を後にすると、新たに淹れられた紅茶を一口飲んだ。その温もりが、心に小さな安らぎをもたらしてくれる。ふと息を吐くと、わずかな蒸気が空気の中に溶けていった。
気持ちを引き締め、ジュードから得た鑑定結果をシリウスとサイモンに伝える覚悟を静かに胸に刻んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今回の黒幕が判明しました。ヒメール王国の宰相ジュウメイと、ガーナッド奴隷商会二代目のドリウスです」
重々しい空気の中、シリウスとサイモンの目をしっかりと見据えながら、確かな口調で二人に伝えた。
「ガーナッド奴隷商会が関与しているのは何となく予感していましたが、ヒメール王国のジュウメイ宰相まで関わっているとは...」
俺の言葉を聞いたシリウスは、まるで全身の力が抜けたかのように項垂れ、そのままの姿勢で辛そうに声を振り絞った。
「私の責任でしょう。ヒルメス奴隷商会を陥れようとした結果、ジュード様が私たちを擁護して下さりました。そのせいで、ガーナッド奴隷商会は取り潰しとなったのですから...。初代ガーナッドや二代目ドリウスは私やジュード様の事を恨んでいて当然でしょう」とシリウスは声を震わせ、苦悩が浮かぶ表情で語った。
シリウスは困惑と疑念を抱えたまま、しばらくの沈黙の後、「やはり、これはガーナッド奴隷商会の先代、ガーナッドの復讐...なのでしょうか?」と、震える声で呟いた。
シリウスの目は遠くを見つめ、その背中は重い責任感に押し潰されそうだった。しかし、すぐにその視線を俺に戻して、「なぜ...ジュウメイ宰相まで関わっているのでしょうか?」と、深い困惑の色を滲ませながら尋ねてきた。
まあ、そうだよな。俺もそこが気になった。だからこそ...。
「今回の鑑定では、精度を可能な限り高めることに努めました。その結果、シリウスの推測通り、先代ガーナッドの復讐が目的の一つであることが明らかになりました。そして驚くべきことに、ガーナッド奴隷商会は名前を変え、ドリウス奴隷商会としてその活動を続けているのです」
俺の言葉を聞いた瞬間、シリウスの顔は怒りで真っ赤に染まり、勢いよくソファーから立ち上がった。その動きは、抑えきれない感情が彼の身体を突き動かしているようだった。震える拳と、その瞳に宿る怒りの炎が、彼の心中を物語っていた。
「そんな...馬鹿な!どういうことなんでしょうか⁉あんなことがあったのに!それに、あいつらの奴隷商会は確か取り潰しになったはずです!」
彼の声は部屋中に響き渡り、その怒りは空気を震わせるほどだった。シリウスの激しい感情が、まるで嵐のように部屋を包み込んでいく。
シリウスの怒りが部屋の空気を震わせる中、俺は冷静さを保ちながら彼に向き直り、「まずは話を進めましょう」と静かに促した。
その言葉にハッとしたように、シリウスは「す、すみません」と小さく呟きながらソファーに腰を下ろした。その姿には、彼の心中の葛藤が滲み出ていた。だが...まだ話は始まったばかりだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ドリウスとジュウメイ宰相の関係は、奴隷の斡旋を通じて築かれたものでした。ジュウメイ宰相は無類の女好きで、その欲望を満たすためにドリウスの手を借り、次々と自分好みの性奴隷を手に入れました」
地球でもいるよな、風俗にお金をつぎ込んでしまう者って。男性に限らず、ホストに大金を貢いでしまう女性も同じだな。
「資金が尽き、負債が膨らむ状況の中で、目をつけたのがドリウスでした。最初は奴隷の斡旋だけでしたが、自分に協力すればジュウメイ宰相の気に入る性奴隷を、ほとんどタダ同然で提供するようになりました」
ドリウスは狙っていたのだろう。ジュウメイ宰相との関係を築く機会を...。
「ドリウス奴隷商会は、次第に違法行為をエスカレートさせ、奴隷の密猟や密売に手を染めていきました。その背後には、ジュウメイ宰相が後ろ盾として深く関与しています。二人の関係は、もはや切っても切り離せないものとなり、互いに依存し合うようになっていきました」
まさに”類は友を呼ぶ”だな。そして裏の”win-winの関係”...だな。
「これが今回の鑑定で、分かったことの一つ目です」
そう、まだ一つ目だ。更なる驚くべき事実が明らかになったのだ。ジュードを鑑定した結果、ここまでの事実が判明するとは...。俺自身、鑑定能力の性能の高さに驚いている。
二つ目の事実を二人に伝えれば、驚愕のあまり言葉を失うだろう。しかし、話さなければ問題は解決しない。覚悟を決めて告げよう。そして、解決に向けて進もう。
話し終えた後、紅茶を一口含み、静かに呼吸を整えた。その温もりが、心に小さな安らぎをもたらしてくれる。
「さらにもう一つ驚くべき事柄が判明しました。ハラス獣人王国のお家騒動には、ジュウメイ宰相とドリウスのみならず、ヒメール王国全体、ヒメール国王を含めた王宮全体が関与しているようです」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その事実を二人に伝えた後、俺は少し落ち着かない気持ちを抱えながらソファーの上で座り直し、前かがみになって話し始めた。何だか体の中に緊張が走り、どっしりと構えて話す気分にはなれなかった。
俺の発した言葉があまりにも衝撃的だったのか、普段は冷静で無表情なサイモンでさえ、目を大きく見開き、驚愕の表情を浮かべて俺を見つめた。
シリウスは驚愕の表情を浮かべ、その目は大きく見開かれたまま、「な、なんとも、どういうことでしょうか⁉」と震える声で問いかけてきた。その視線は俺を捉えたまま、まるで現実を受け入れることを拒むかのようだった。
「今回の件に関して、ヒメール国王も承認したという事ですよ」と、俺は重々しい口調でシリウスに向けて伝えた。その言葉が部屋の空気をさらに重くし、沈黙が一瞬訪れる。
サイモンは驚きと疑念が入り混じった表情で、眉をひそめながら俺を見つめ、「なぜこのようなことを、国をあげて行うのでしょうか⁉」と声を上げた。その声には、怒りと困惑が滲み出ていた。
シリウスもサイモンも、半信半疑のような表情を浮かべている。いや、むしろ信じたくないという思いが、その表情に現れているのかもしれない...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「獣人王国が内部から崩壊すれば、人族は容易に獣人国を手に入れることができると考えたからです。ヒメール王国に住む人族の多くは獣人を軽蔑し、自分たちよりも下の存在と思っています」と、俺は少し憤りを感じながら説明した。
いやだね。同じ思考を持った者同士なのに...。種族⁉容姿⁉力⁉外見⁉上とか下とか... 。反吐が出る...。
「獣人王国内部を崩壊させることで、その後の侵略が容易になり、土地や多くの奴隷を安価で手に入れることができると考えたのです。そのため、獣人国の頭脳であるジュードの暗殺と、ハラス獣人国内での内乱を画策したというわけです」
俺が静かに言葉を紡ぐと、部屋の空気が一瞬で張り詰めた。シリウスは、まるで雷に打たれたかのように目を見開き、息を呑んだ。その表情には驚きと困惑が入り混じり、彼の視線が鋭く俺に向けられる。
俺はその視線をしっかりと受け止めるように、シリウスの瞳をじっと見つめた。彼の瞳には、言葉にできない複雑な感情が渦巻いているのが見て取れた。俺は静かに頷き、そして...ゆっくりと口を開いた。
「これはドリウスにとって、願ってもない状況です。殺したい相手を、自国も同じように思っているのですから。そして、何とかこの作戦に絡んで、復讐の機会を得ようとしました。その上で、あわよくば奴隷の独占販売を実現したいとも考えたのです」
シリウスは、いら立ちを隠しきれず、親指の爪をしきりに噛んでいた。
一方、サイモンは目を閉じ、ゆっくりと首を上に向けた。その姿は、俺の言葉に全神経を集中させ、深い思索に沈んでいるようだった。
二人の対照的な姿を見届けた後、俺は話の核心に触れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そこでドリウスは、先代から受け継ぐ秘薬、精神を支配する薬を、ヒメール国王に献上しました。『この品はハラス獣人国を内部から崩壊する、劇薬となるでしょう』と。そしてこの薬は、すぐに悪用されました」
精神を支配する薬...。俺の鑑定によれば、その名の通りの薬。繰り返し服用させることで、相手を意のままに操ることが可能となる。まさに劇薬中の劇薬と言える。
俺の言葉が静かに響く中、シリウスの表情はさらに険しくなり、親指の爪を噛む動作が一層激しくなった。サイモンの眉間には深い皺が刻まれ、視線は天井に固定されたまま動かない。
静寂の中で、俺は深い悲しみを感じた。人族の国が腐り果てている。同じ人族として、本当に悲しい...。
「ハラス獣人国王の御抱え医は、ヒメール国の者によって家族を人質に取られ、毎日少しずつ毒薬を国王に投与している状況です。そして、第二王子と第三王子には、ドリウスが献上した精神を支配する薬が使用されています」
こういうことに関しては、本当に頭の回転がいいみたいだな。今の人国のトップたちは。
「その結果、第二王子と第三王子はこの御抱え医の意に沿った行動、すなわちヒメール国が望む通り、第一王子と敵対するようになりました」
俺の言葉が響くと、重々しい沈黙がその場を支配した。冷たい刃のように、シリウスとサイモンの胸に突き刺さる。
「以上が今回の鑑定で分かった二つの事です」と、俺は覚悟をもって二人に告げた。
シリウスは目を見開き、興奮した様子で「ジュード様が目を覚ましたら、すぐにお知らせしましょう!」と声を上げた。その声には、真実を急いで伝えたいという強い意志が感じられる。
この話を聞いて、ジュードがどのような行動を取るにせよ、俺は全力で彼を支えるつもりだ。そして、いずれ俺は獣人国へ向かうことになるだろう。
ハラス国王に使用されている毒薬や、第二王子、第三王子に投与されてい◇精神を支配する薬も、俺なら治療できるはずだ。
俺は怒りを覚えている。ジュードをここまで追い詰めた者たちに対して。そして、彼を長期間苦しめるために毒を用いるという卑劣な行為に対して。
ジュードの問題に縛られることなく、一人でもハラス獣人国で国王と王子を救い、その後、ヒメール王国に乗り込む覚悟だ。
しかし、その想いを彼らに伝えれば、「私も共に参ります!」と言い出しかねない。だからこそ、その心の揺らぎを抑え、表情には滲ませないよう静かに努めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、ジュードが目を覚ますまで、どう過ごすべきか」そう呟きながら、ソファーの上で足を組み替えた。その瞬間、ふと脳裏に浮かんだのは、ジュードの元へ向かう途中に見かけた他の奴隷たちの姿であった。あの時は急いでいたが、彼らの視線には何かを訴えかけるような切実さがあった気がする。
紅茶を飲みながら静かな時間を過ごすのも悪くない。しかし、心の奥底で引っかかるものがある。他の奴隷たちのことが気になって仕方がない。特に、戦争で傷ついた者たちの状態を思うと、その気持ちは一層強くなる。
ジュードが目を覚ますまでの間、彼らの状態をこの目で確かめ、治療が必要な者がどれ程いるのかを見て回るべきだろう。そう決意した俺は、シリウスにその旨を伝えた。
シリウスは、俺の言葉に即座に反応し、「承知しました、太郎様。すぐにお部屋へご案内いたします!」と言いながら、ソファーから勢いよく立ち上がった。
しかし、シリウスの態度にはどこか違和感がある。鑑定結果を伝える前から、彼は「さん付け」を頑なに拒み、さらには忠誠を誓うとまで言ってきた。
今では俺の事をまるで神を見るかのように、深い敬意を抱いているようにすら感じられる。
「シリウス、頼むからそんな堅苦しい態度はやめてくれ。もっとフランクに接して欲しいんだ」と告げたが、シリウスは静かに首を横に振り、真剣な表情でこう言った。
「いえ、ジュード様に対するあなた様の行いを目の当たりにした以上、とても馴れ馴れしい口調など使えません。本当に驚きました。ジュード様は部下に裏切られ、精神も身体も深く傷ついていました。それを癒し、生きる気力まで取り戻させたあなたの姿は、私にとってどんな神よりも神聖に映ります。私が初めて神を信じるという感覚を抱いた瞬間でした...!」
シリウスは陶酔するような眼差しでこちらを見つめ、熱を込めて語り続けた。
「私は、ジュード様の身体を治せば、それで全てが元通りになると信じておりました。しかし、身体が癒えても心が追いつかなければ、ジュード様は空虚な存在となってしまっていたかもしれません」
シリウスは深く息を吐き、視線を床に落とした。その肩はわずかに震え、言葉を紡ぐたびに後悔の色が深くなっていく。彼の声は低く、まるで自分を責めるような響きだった。
「そう考えると、これまでの自分の行動がいかに浅はかであったか、恥ずかしく思えてなりません」
彼はゆっくりと顔を上げ、真摯な眼差しをこちらに向けた。その瞳には、悔恨と決意が入り混じり、まるで自らの過ちを償おうとする強い意志が宿っているようだった。部屋の静寂が二人の間に漂い、シリウスの言葉が心に深く響いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
奴隷商会の廊下は、静寂そのものだった。薄暗い灯りが壁に揺らめき、冷たい石畳が足元に広がる。シリウスと俺、そしてサイモンの靴音が、規則正しく響き渡り、その音が廊下の奥深くへと吸い込まれていく。
源さんの小さな足音が、時折リズムを崩しながらも、どこか愛嬌を添えている。
「これから太郎様にご案内する、希望を失った戦争奴隷たちも、身体だけでなく心も救って頂けると確信しております。当初、サイモンから奴隷購入の条件について話を頂いた際は、変態か頭がおかしな人物かと思っていました。本当に申し訳ございませんでした」
シリウスは立ち止まり、俺に対して深々と頭を下げた。うわー、ここでも腰を直角にしてお辞儀をする人物が現れた。その姿は、数時間前にも同じようにお辞儀をした人物を思い出させる光景だ。
ただ...シリウス、それが普通だよ。君の考えは間違っていない。だから謝る必要はないんだよ。普通、誰が好んで腕や脚が無く、死期が近い者の購入を希望するというんだ?
危険な人物に見えるのも無理はない。シリウスの「ヤバイ奴が奴隷を買いに来た」という思考の方が、むしろ自然なのだ。
「シリウス、それでいいんだ。俺は、皆が幸せであって欲しいと願っている。一緒に働くのは、心から共に俺と歩みたいと望む者だけで十分だ。無理に働かせるつもりはない。それ以外の者には、身体を癒した後に“幻影の指輪”を渡し、自由を与えるつもりだ」
それは、偽らざる本心だった。誰かを無理に従わせることなど、考えてもいない。
「なんたって、身を挺して自国を守った、歴戦の戦士たち...だからな。国王の下でまた働きたいと願う者もいるだろうし」
私はシリウスに笑顔を見せながら、本心を伝えた。
「太郎様、あなたというお方は...」
シリウスは俺を見つめ、その瞳に驚きと感嘆の色を宿しながら、呟くように言った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シリウスの言葉が静かに消えた後、廊下に響くのは、俺たちの足音だけだった。冷たい石畳の感触が靴越しに伝わり、空気には微かな湿り気が漂っている。やがて、重厚な木製の扉の前でシリウスが立ち止まり、振り返った。
「先ほどは通り過ぎましたが、ここから先は戦争奴隷たちの区画です」とシリウスは静かに語った。その顔には悲しみと憂いが浮かび、沈痛な表情が窺えた。
「戦争によって身体に欠損や障害を抱えた者たちが集められています。彼らは皆、生きる希望を失い、精神も身体も深く傷ついています。どうか、慎重にお入り下さい」
どんな奴隷がいるのかは、分からない。しかし、もし可能であれば、彼ら全員の傷ついた身体と心を癒したい。そして、彼ら自身が望むなら、共に新たな道を歩みたい。
その決意を胸に、俺はサイモンとシリウス、そして源さんと共に、重厚な扉の前に立った。扉の向こうからは、微かに人々の息遣いや、どこか沈んだ空気が漂ってくる。使用人たちが静かに扉を押し開けると、冷たい空気が流れ込み、部屋の中の光景が目の前に広がった。
シリウスは、客間に戻る途中で何度も俺に礼を述べ、「あれほどの魔法をお使いになった後ですが、お休みにならなくてよろしいのでしょうか?身体を癒すことに特化した性奴隷を2,3名お呼びいたしましょうか?」と心配してくれた。
そんなお方たちを用意されたら、逆に疲れ切って動けなくなりそう...。
俺が「シリウスさん、そこまでしてもらう必要はないよ」とやんわり断ると、シリウスは真剣な表情で「本当によろしいのですか、太郎様?それと私の事はシリウスとお呼び下さい!私はあなたに忠誠を誓いました!主人が下僕に対して「様」を付けるのはおかしいです!」と言ってきた。
下僕扱したつもりなど一度も無いし、するつもりもないのだが...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ジュードにかけた鑑定魔法から得た情報について、サイモンとシリウスに尋ねたかった。特にヒメール王国の宰相ジュウメイと、ガーナッド奴隷商会の二代目会長ドリウスについてのことを...。
二人の態度からして、明らかに思い当たる節があるようだ。ジュードから得た鑑定結果と、シリウスやサイモンが知っている情報を照らし合わせることで、現状がより明確になるだろう。
一人で思案にふけっていると、紅茶を淹れてくれた給仕係や使用人たちは、「何かございましたら、このベルをお鳴らし下さい」と言い残し、静かに部屋を後にした。
使用人や給仕係が静かに部屋を後にすると、新たに淹れられた紅茶を一口飲んだ。その温もりが、心に小さな安らぎをもたらしてくれる。ふと息を吐くと、わずかな蒸気が空気の中に溶けていった。
気持ちを引き締め、ジュードから得た鑑定結果をシリウスとサイモンに伝える覚悟を静かに胸に刻んだ。
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「今回の黒幕が判明しました。ヒメール王国の宰相ジュウメイと、ガーナッド奴隷商会二代目のドリウスです」
重々しい空気の中、シリウスとサイモンの目をしっかりと見据えながら、確かな口調で二人に伝えた。
「ガーナッド奴隷商会が関与しているのは何となく予感していましたが、ヒメール王国のジュウメイ宰相まで関わっているとは...」
俺の言葉を聞いたシリウスは、まるで全身の力が抜けたかのように項垂れ、そのままの姿勢で辛そうに声を振り絞った。
「私の責任でしょう。ヒルメス奴隷商会を陥れようとした結果、ジュード様が私たちを擁護して下さりました。そのせいで、ガーナッド奴隷商会は取り潰しとなったのですから...。初代ガーナッドや二代目ドリウスは私やジュード様の事を恨んでいて当然でしょう」とシリウスは声を震わせ、苦悩が浮かぶ表情で語った。
シリウスは困惑と疑念を抱えたまま、しばらくの沈黙の後、「やはり、これはガーナッド奴隷商会の先代、ガーナッドの復讐...なのでしょうか?」と、震える声で呟いた。
シリウスの目は遠くを見つめ、その背中は重い責任感に押し潰されそうだった。しかし、すぐにその視線を俺に戻して、「なぜ...ジュウメイ宰相まで関わっているのでしょうか?」と、深い困惑の色を滲ませながら尋ねてきた。
まあ、そうだよな。俺もそこが気になった。だからこそ...。
「今回の鑑定では、精度を可能な限り高めることに努めました。その結果、シリウスの推測通り、先代ガーナッドの復讐が目的の一つであることが明らかになりました。そして驚くべきことに、ガーナッド奴隷商会は名前を変え、ドリウス奴隷商会としてその活動を続けているのです」
俺の言葉を聞いた瞬間、シリウスの顔は怒りで真っ赤に染まり、勢いよくソファーから立ち上がった。その動きは、抑えきれない感情が彼の身体を突き動かしているようだった。震える拳と、その瞳に宿る怒りの炎が、彼の心中を物語っていた。
「そんな...馬鹿な!どういうことなんでしょうか⁉あんなことがあったのに!それに、あいつらの奴隷商会は確か取り潰しになったはずです!」
彼の声は部屋中に響き渡り、その怒りは空気を震わせるほどだった。シリウスの激しい感情が、まるで嵐のように部屋を包み込んでいく。
シリウスの怒りが部屋の空気を震わせる中、俺は冷静さを保ちながら彼に向き直り、「まずは話を進めましょう」と静かに促した。
その言葉にハッとしたように、シリウスは「す、すみません」と小さく呟きながらソファーに腰を下ろした。その姿には、彼の心中の葛藤が滲み出ていた。だが...まだ話は始まったばかりだ。
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「ドリウスとジュウメイ宰相の関係は、奴隷の斡旋を通じて築かれたものでした。ジュウメイ宰相は無類の女好きで、その欲望を満たすためにドリウスの手を借り、次々と自分好みの性奴隷を手に入れました」
地球でもいるよな、風俗にお金をつぎ込んでしまう者って。男性に限らず、ホストに大金を貢いでしまう女性も同じだな。
「資金が尽き、負債が膨らむ状況の中で、目をつけたのがドリウスでした。最初は奴隷の斡旋だけでしたが、自分に協力すればジュウメイ宰相の気に入る性奴隷を、ほとんどタダ同然で提供するようになりました」
ドリウスは狙っていたのだろう。ジュウメイ宰相との関係を築く機会を...。
「ドリウス奴隷商会は、次第に違法行為をエスカレートさせ、奴隷の密猟や密売に手を染めていきました。その背後には、ジュウメイ宰相が後ろ盾として深く関与しています。二人の関係は、もはや切っても切り離せないものとなり、互いに依存し合うようになっていきました」
まさに”類は友を呼ぶ”だな。そして裏の”win-winの関係”...だな。
「これが今回の鑑定で、分かったことの一つ目です」
そう、まだ一つ目だ。更なる驚くべき事実が明らかになったのだ。ジュードを鑑定した結果、ここまでの事実が判明するとは...。俺自身、鑑定能力の性能の高さに驚いている。
二つ目の事実を二人に伝えれば、驚愕のあまり言葉を失うだろう。しかし、話さなければ問題は解決しない。覚悟を決めて告げよう。そして、解決に向けて進もう。
話し終えた後、紅茶を一口含み、静かに呼吸を整えた。その温もりが、心に小さな安らぎをもたらしてくれる。
「さらにもう一つ驚くべき事柄が判明しました。ハラス獣人王国のお家騒動には、ジュウメイ宰相とドリウスのみならず、ヒメール王国全体、ヒメール国王を含めた王宮全体が関与しているようです」
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その事実を二人に伝えた後、俺は少し落ち着かない気持ちを抱えながらソファーの上で座り直し、前かがみになって話し始めた。何だか体の中に緊張が走り、どっしりと構えて話す気分にはなれなかった。
俺の発した言葉があまりにも衝撃的だったのか、普段は冷静で無表情なサイモンでさえ、目を大きく見開き、驚愕の表情を浮かべて俺を見つめた。
シリウスは驚愕の表情を浮かべ、その目は大きく見開かれたまま、「な、なんとも、どういうことでしょうか⁉」と震える声で問いかけてきた。その視線は俺を捉えたまま、まるで現実を受け入れることを拒むかのようだった。
「今回の件に関して、ヒメール国王も承認したという事ですよ」と、俺は重々しい口調でシリウスに向けて伝えた。その言葉が部屋の空気をさらに重くし、沈黙が一瞬訪れる。
サイモンは驚きと疑念が入り混じった表情で、眉をひそめながら俺を見つめ、「なぜこのようなことを、国をあげて行うのでしょうか⁉」と声を上げた。その声には、怒りと困惑が滲み出ていた。
シリウスもサイモンも、半信半疑のような表情を浮かべている。いや、むしろ信じたくないという思いが、その表情に現れているのかもしれない...。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「獣人王国が内部から崩壊すれば、人族は容易に獣人国を手に入れることができると考えたからです。ヒメール王国に住む人族の多くは獣人を軽蔑し、自分たちよりも下の存在と思っています」と、俺は少し憤りを感じながら説明した。
いやだね。同じ思考を持った者同士なのに...。種族⁉容姿⁉力⁉外見⁉上とか下とか... 。反吐が出る...。
「獣人王国内部を崩壊させることで、その後の侵略が容易になり、土地や多くの奴隷を安価で手に入れることができると考えたのです。そのため、獣人国の頭脳であるジュードの暗殺と、ハラス獣人国内での内乱を画策したというわけです」
俺が静かに言葉を紡ぐと、部屋の空気が一瞬で張り詰めた。シリウスは、まるで雷に打たれたかのように目を見開き、息を呑んだ。その表情には驚きと困惑が入り混じり、彼の視線が鋭く俺に向けられる。
俺はその視線をしっかりと受け止めるように、シリウスの瞳をじっと見つめた。彼の瞳には、言葉にできない複雑な感情が渦巻いているのが見て取れた。俺は静かに頷き、そして...ゆっくりと口を開いた。
「これはドリウスにとって、願ってもない状況です。殺したい相手を、自国も同じように思っているのですから。そして、何とかこの作戦に絡んで、復讐の機会を得ようとしました。その上で、あわよくば奴隷の独占販売を実現したいとも考えたのです」
シリウスは、いら立ちを隠しきれず、親指の爪をしきりに噛んでいた。
一方、サイモンは目を閉じ、ゆっくりと首を上に向けた。その姿は、俺の言葉に全神経を集中させ、深い思索に沈んでいるようだった。
二人の対照的な姿を見届けた後、俺は話の核心に触れた。
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「そこでドリウスは、先代から受け継ぐ秘薬、精神を支配する薬を、ヒメール国王に献上しました。『この品はハラス獣人国を内部から崩壊する、劇薬となるでしょう』と。そしてこの薬は、すぐに悪用されました」
精神を支配する薬...。俺の鑑定によれば、その名の通りの薬。繰り返し服用させることで、相手を意のままに操ることが可能となる。まさに劇薬中の劇薬と言える。
俺の言葉が静かに響く中、シリウスの表情はさらに険しくなり、親指の爪を噛む動作が一層激しくなった。サイモンの眉間には深い皺が刻まれ、視線は天井に固定されたまま動かない。
静寂の中で、俺は深い悲しみを感じた。人族の国が腐り果てている。同じ人族として、本当に悲しい...。
「ハラス獣人国王の御抱え医は、ヒメール国の者によって家族を人質に取られ、毎日少しずつ毒薬を国王に投与している状況です。そして、第二王子と第三王子には、ドリウスが献上した精神を支配する薬が使用されています」
こういうことに関しては、本当に頭の回転がいいみたいだな。今の人国のトップたちは。
「その結果、第二王子と第三王子はこの御抱え医の意に沿った行動、すなわちヒメール国が望む通り、第一王子と敵対するようになりました」
俺の言葉が響くと、重々しい沈黙がその場を支配した。冷たい刃のように、シリウスとサイモンの胸に突き刺さる。
「以上が今回の鑑定で分かった二つの事です」と、俺は覚悟をもって二人に告げた。
シリウスは目を見開き、興奮した様子で「ジュード様が目を覚ましたら、すぐにお知らせしましょう!」と声を上げた。その声には、真実を急いで伝えたいという強い意志が感じられる。
この話を聞いて、ジュードがどのような行動を取るにせよ、俺は全力で彼を支えるつもりだ。そして、いずれ俺は獣人国へ向かうことになるだろう。
ハラス国王に使用されている毒薬や、第二王子、第三王子に投与されてい◇精神を支配する薬も、俺なら治療できるはずだ。
俺は怒りを覚えている。ジュードをここまで追い詰めた者たちに対して。そして、彼を長期間苦しめるために毒を用いるという卑劣な行為に対して。
ジュードの問題に縛られることなく、一人でもハラス獣人国で国王と王子を救い、その後、ヒメール王国に乗り込む覚悟だ。
しかし、その想いを彼らに伝えれば、「私も共に参ります!」と言い出しかねない。だからこそ、その心の揺らぎを抑え、表情には滲ませないよう静かに努めた。
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「さて、ジュードが目を覚ますまで、どう過ごすべきか」そう呟きながら、ソファーの上で足を組み替えた。その瞬間、ふと脳裏に浮かんだのは、ジュードの元へ向かう途中に見かけた他の奴隷たちの姿であった。あの時は急いでいたが、彼らの視線には何かを訴えかけるような切実さがあった気がする。
紅茶を飲みながら静かな時間を過ごすのも悪くない。しかし、心の奥底で引っかかるものがある。他の奴隷たちのことが気になって仕方がない。特に、戦争で傷ついた者たちの状態を思うと、その気持ちは一層強くなる。
ジュードが目を覚ますまでの間、彼らの状態をこの目で確かめ、治療が必要な者がどれ程いるのかを見て回るべきだろう。そう決意した俺は、シリウスにその旨を伝えた。
シリウスは、俺の言葉に即座に反応し、「承知しました、太郎様。すぐにお部屋へご案内いたします!」と言いながら、ソファーから勢いよく立ち上がった。
しかし、シリウスの態度にはどこか違和感がある。鑑定結果を伝える前から、彼は「さん付け」を頑なに拒み、さらには忠誠を誓うとまで言ってきた。
今では俺の事をまるで神を見るかのように、深い敬意を抱いているようにすら感じられる。
「シリウス、頼むからそんな堅苦しい態度はやめてくれ。もっとフランクに接して欲しいんだ」と告げたが、シリウスは静かに首を横に振り、真剣な表情でこう言った。
「いえ、ジュード様に対するあなた様の行いを目の当たりにした以上、とても馴れ馴れしい口調など使えません。本当に驚きました。ジュード様は部下に裏切られ、精神も身体も深く傷ついていました。それを癒し、生きる気力まで取り戻させたあなたの姿は、私にとってどんな神よりも神聖に映ります。私が初めて神を信じるという感覚を抱いた瞬間でした...!」
シリウスは陶酔するような眼差しでこちらを見つめ、熱を込めて語り続けた。
「私は、ジュード様の身体を治せば、それで全てが元通りになると信じておりました。しかし、身体が癒えても心が追いつかなければ、ジュード様は空虚な存在となってしまっていたかもしれません」
シリウスは深く息を吐き、視線を床に落とした。その肩はわずかに震え、言葉を紡ぐたびに後悔の色が深くなっていく。彼の声は低く、まるで自分を責めるような響きだった。
「そう考えると、これまでの自分の行動がいかに浅はかであったか、恥ずかしく思えてなりません」
彼はゆっくりと顔を上げ、真摯な眼差しをこちらに向けた。その瞳には、悔恨と決意が入り混じり、まるで自らの過ちを償おうとする強い意志が宿っているようだった。部屋の静寂が二人の間に漂い、シリウスの言葉が心に深く響いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
奴隷商会の廊下は、静寂そのものだった。薄暗い灯りが壁に揺らめき、冷たい石畳が足元に広がる。シリウスと俺、そしてサイモンの靴音が、規則正しく響き渡り、その音が廊下の奥深くへと吸い込まれていく。
源さんの小さな足音が、時折リズムを崩しながらも、どこか愛嬌を添えている。
「これから太郎様にご案内する、希望を失った戦争奴隷たちも、身体だけでなく心も救って頂けると確信しております。当初、サイモンから奴隷購入の条件について話を頂いた際は、変態か頭がおかしな人物かと思っていました。本当に申し訳ございませんでした」
シリウスは立ち止まり、俺に対して深々と頭を下げた。うわー、ここでも腰を直角にしてお辞儀をする人物が現れた。その姿は、数時間前にも同じようにお辞儀をした人物を思い出させる光景だ。
ただ...シリウス、それが普通だよ。君の考えは間違っていない。だから謝る必要はないんだよ。普通、誰が好んで腕や脚が無く、死期が近い者の購入を希望するというんだ?
危険な人物に見えるのも無理はない。シリウスの「ヤバイ奴が奴隷を買いに来た」という思考の方が、むしろ自然なのだ。
「シリウス、それでいいんだ。俺は、皆が幸せであって欲しいと願っている。一緒に働くのは、心から共に俺と歩みたいと望む者だけで十分だ。無理に働かせるつもりはない。それ以外の者には、身体を癒した後に“幻影の指輪”を渡し、自由を与えるつもりだ」
それは、偽らざる本心だった。誰かを無理に従わせることなど、考えてもいない。
「なんたって、身を挺して自国を守った、歴戦の戦士たち...だからな。国王の下でまた働きたいと願う者もいるだろうし」
私はシリウスに笑顔を見せながら、本心を伝えた。
「太郎様、あなたというお方は...」
シリウスは俺を見つめ、その瞳に驚きと感嘆の色を宿しながら、呟くように言った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シリウスの言葉が静かに消えた後、廊下に響くのは、俺たちの足音だけだった。冷たい石畳の感触が靴越しに伝わり、空気には微かな湿り気が漂っている。やがて、重厚な木製の扉の前でシリウスが立ち止まり、振り返った。
「先ほどは通り過ぎましたが、ここから先は戦争奴隷たちの区画です」とシリウスは静かに語った。その顔には悲しみと憂いが浮かび、沈痛な表情が窺えた。
「戦争によって身体に欠損や障害を抱えた者たちが集められています。彼らは皆、生きる希望を失い、精神も身体も深く傷ついています。どうか、慎重にお入り下さい」
どんな奴隷がいるのかは、分からない。しかし、もし可能であれば、彼ら全員の傷ついた身体と心を癒したい。そして、彼ら自身が望むなら、共に新たな道を歩みたい。
その決意を胸に、俺はサイモンとシリウス、そして源さんと共に、重厚な扉の前に立った。扉の向こうからは、微かに人々の息遣いや、どこか沈んだ空気が漂ってくる。使用人たちが静かに扉を押し開けると、冷たい空気が流れ込み、部屋の中の光景が目の前に広がった。
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