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38.嫉妬
しおりを挟む――朝、通学路を歩いていたら偶然にも目撃してしまった。
目の前で大地と矢島さんが楽しそうにヘッドホンをやりとりしている姿を。
こうなるのが嫌だったから、美術室で話し合ったあの日大地に気持ちを叩きつけたのに。
二人の背中は、最後の瞬間まで足掻き続けていたのが無意味だと思わせてくる。
「なんなの、あの女……。純情ぶってるけどやってることが卑劣過ぎる」
私は今にも砕けそうなほど力強く歯を食いしばって身を震わせた。
もう、嫉妬で片付けられるような問題ではない。
先日大地が言ってた”純粋な子”とは、矢島さんのことだったの?
矢島さんと新しい恋をしたいから私と別れたの?
ありえない……。
好きだと言ってくれていたのに、少し責めたら簡単に手のひらを返してきた。私達の恋愛ってその程度だったなんて。
矢島さんなんて元は地味子だし、少し可愛くなったからって純情ぶってるだけ。
それに、あの子には朝陽がいるじゃない。大地だって二人の交際を知ってるはず。
それなのに、どうして矢島さんなの?
どうして私の周りの男はあの女の虜になるのよ。
どこまで私を惨めにすれば気が済むの?
イライラするし、頭がおかしくなりそう。
いまから大地に何を言っても変わらないだろうから、彼女にも惨めな想いをさせないと気が済まない。
どうしたらこの鬱憤を晴らせるかな。
いまは朝陽と付き合ってるから、あの子から朝陽を奪えば――。
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