オレ様黒王子のフクザツな恋愛事情 〜80億分の1のキセキ〜

伊咲 汐恩

文字の大きさ
49 / 115
第六章

48.彼の机に置かれていた新聞

しおりを挟む


「ミカちゃんは何処にいるのかな~?」



  扉からひょいと顔を覗き込むと、くすくす笑う声が漏れていた。

  レースカーテン越しから差し込む月夜の光。
  8畳ほどの部屋の左側にはデスクと本棚、正面の窓ぎわにはベッドが設置されていて、その右側にはクローゼットになっている。
  背後から浴びているリビングの照明が家具の色彩を映し出していて記憶に収まっていく。

  ベッドにこんもりと山になっている夏掛けが小さく揺れているのがわかったので、部屋に入って夏掛けをまくりあげて顔を傾けた。



「こっこだぁあああ~!  見つけたぞおぉぉお~!!」

「きゃあああああ!!」



  ミカちゃんは目が合うときゃあきゃあ叫びながら夏掛けの隙間を脱出してリビングへと走って行く。
  子どもらしさが全開になっていてやれやれと思いながら振り返ると、机の上のものに目が止まった。

  乱雑に置かれているのはテレビドラマの台本。
  その隣には新聞と写真立てに収まっている家族写真が飾られていた。
  思わず手に取って家族写真を眺める。
  そこに写ってるのは、父親と母親らしき人と彼とミカちゃん。
  ミカちゃんの成長具合からして、わりと最近に撮られたものだと思われる。



「へぇ、これが阿久津ファミリーかぁ。渋い雰囲気のお父さんに、日向そっくりのお母さん。ミカちゃんはお父さん似なんだね」



  初めて見る家族写真にほっこりしていたが、手前にある新聞が目に入って、写真と新聞を持ち替えた。



「日付は8月21日。……あれ?  新聞をよく見たら去年のものだ。どうして古い新聞をとってあるんだろう」


  四つ折りに畳まれている新聞を開くと、そこには去年起きた落雷事故のニュースが載っていた。
  その事故とは、市街地を走行中の車が落雷被害に遭って炎上してしまい、2名の死者を出していた。

  なぜその記憶が残ってたかというと、事故現場が私の自宅から2キロ圏内だったから。
  あの日は救急車のサイレンと眩い光が街を包み込んでいた。
 
  あれから1年経ったんだなぁと思いながら再び新聞を眺めた。



「車の走行中に落雷に遭うなんて避けようがないから怖いな。大人2名が亡くなったんだ。恋人かな、それとも夫婦かな。……えっと、名前は……」

  バサッ……


  両手に持った新聞をマジマジと見て読み上げていると、急に新聞が上部へと引き離された。
  背後に振り返ると、そこには帰宅したばかりの日向の姿が。
  しかも、今まで見た事もないくらいの剣幕で見ている。



「人の部屋に勝手に入って何してんの?」

「ごっ、ごめん……。ミカちゃんがかくれんぼを始めたから追いかけた弾みで部屋に入っちゃった」


「俺の忠告を忘れたの?」

「ううん!!  忘れてないけど、ミカちゃんをお風呂に入れなきゃいけないから早く連れて行かなきゃと思ってて……」



  身振り手振りをしながらみっともないくらい言い訳をした。
  あれだけ入らないでと忠告されていたにもかかわらず、彼の気持ちを無視して部屋に入った挙句に室内のものに勝手に触れてしまったのだから。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

処理中です...