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4.勝負眼鏡
しおりを挟む「あれ? 先生、新しい眼鏡に変えたんッスか?」
……えっ、と思って耳を傾けた。
彼は普段から黒縁とワインレッドの眼鏡を併用していたから。
確認のためにスマホを開いて過去の画像を辿った。
ざっと見たけど、確かに黒縁眼鏡の日が多い。体育祭とか文化祭などの行事の日もそう。
だけど、私にはワインレッドの印象が根強い。こんなに黒縁の日が多いのに……。
そこで見つけた一枚の画像。
先生と二人きりの教室で数学のわからない所を聞いていた時にふざけて撮ったもの。
唯一、至近距離で撮れたし、毎日眺めていたからかな。
「ははっ。これは君たちが高校生の頃から使ってるよ」
「へぇ~、見た事ないけど……」
「実はこれ、”勝負眼鏡”なんだ。特別な日にかけるものと決めててね」
……勝負、眼鏡?
どういう意味かな。
「なんッスか、それ。今日かけてるってことは、もしかして、これから特別ななにかが?」
「あはは、それは内緒!」
「えぇーっ!! 勿体ぶらないでなにに勝負するか教えてくださいよ~。……あ、わかった~!! 女ッスよね?」
「こらこら、人をからかうんじゃないよ」
嫌な予感がよぎった。
あの眼鏡に特別な意味が含まれていたなんて。
もしかして、これから恋人にプロポーズでもするのかな。先生ほど素敵な人なら彼女くらいいるよね。それに、もう結婚適齢期だし。
私は当時から自分のことばかり考えてたから全然気づかなかった。
だからあの時フラれたんだね。
そう考えていたら、ワクワクしながら同窓会へ来た自分が恨めしくなった。
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