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第六章
145.DEATH料理
しおりを挟むはっきり言ってマズい……。
香りと味のハーモニーがあまりにも斬新過ぎる。
物体を口に含んだ瞬間、一瞬にして吐き気がもよおすと、口に含んだものを勢いよく2メートル先へと放出された。
「ブーーッ……。ペッペッ……何だコレ! 臭せぇ上にマズすぎる! 俺を殺す気だろ……。ちなみに何をイメージした」
「酷い! 見ればわかるでしょ。チャーハンだよ、中華料理のチャーハン!」
「こんな白っぽいのがチャーハンなワケないだろ。何を入れたらこんなクソマズくなるんだ!」
「何よ! 和葉が愛情をたっぷり込めて一生懸命作ったのにマズイだなんて」
拓真は激マズ料理を口にして機嫌を損ねると、感謝どころか反抗的な態度を見せた。
文句を言われた和葉も、当然いい気がしない。
何よ……。
慣れない包丁を握って指に傷を負いながらも栄養を考えながら一生懸命作ったのに。
しかも、作ってくれた張本人に対してクソマズイとかさ。
普通の男なら、少しくらい口に合わなくてもお世辞の一つくらい言うでしょ。
作ってもらったクセに怒る意味がわかんない。
すっかり拗ねた和葉はグーに握りしめた拳をテーブルに置いた。
一方の拓真は、まるでテイスティングしているかのように厳しい目つきでお皿の中の具をスプーンでかき分けて、不揃いに切られた具材を確認している。
「一生懸命作ったのはわかった。因みに何を入れたらこんなに臭くなるんだ。しかも、奇妙な味がする。鼻から香りが抜け出すのを拒否している。怒らないから正直に話せ」
「もう怒ってるじゃない……。えーっとね、具材はベーコンに、玉ねぎに、ネギに、卵に……」
「ふんふん」
「チーズに、納豆に、サツマイモに、セロリに、にんにくに、ゴボウに、鯖の缶詰に、牛乳に……。あー、栄養を考えて品数を豊富にしたからそれ以上思い出せない」
拓真は話の途中まで腕を組んで頭を頷かせていたが、チャーハンとしてあり得ない食材が次々耳に飛び込んでくると、再び怒りへと導き出された。
「チャーハンっていうのは、フツー鯖の缶詰や牛乳なんて入ってない。皿の上で臭い匂い同士がケンカしてるぞ。さっき妙に生臭かったのは鯖缶が原因だったのか……」
「それでね、最後に彩不足だからパセリで仕上げようと思ったんだけど、冷蔵庫でパセリが見つからなかったから、庭に生えてたヨモギを採って入れてみたの」
「……は?」
「それと、デザートがてらに缶詰のパイナップルも入れてみたよ。パイナップルってさぁ、ピザの具として入ってるから、きっと相性抜群でしょ。フルーツを入れると流石に味が甘過ぎるかなっと思ったから、少し調和しようと思ってタバスコを入れたの」
ヨモギ
パイナップル
タバスコ
栄養を考えてくれたとは言え、フライパンに混入した食材が破茶滅茶過ぎる。
チャーハンとして成立しない食材がこの皿の中に……。
これは、紛れもなくDEATH料理。
悪びれるどころか自信たっぷりに語っている姿を見てたら、怒るどころか気力が一気に失せた。
頭の中では緊急のサイレンが鳴りっ放しだと言うのに……。
「作ってもらって悪いけど、これだけはどう我慢しても食えない」
「好き嫌いしちゃダメよ! ビタミンもタンパク質も摂れて栄養満点だから長生きできるかも」
しきりに漂う悪臭により苦しくてむせ込んでいる拓真に対して、和葉は楽観的に語る。
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