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人生のシャボン玉
しおりを挟むそっと、優しく
そしてほんのり温かく……
新しく命を吹き込まれたシャボン玉は
虹色に光り輝き
歪だった形を球体になるように形を整ながら
ただただ風に身を任せ……
吹き込まれた力の勢いで宙へと高く舞った
空高く泳ぎ始めたシャボン玉は
太陽の光で輝きを保ち続け
透き通った姿で虹色に輝き
立ちはだかる数々の障害を乗り越え…
次々と命が吹き込まれたシャボン玉と共に
風に揺られていった
……ところが
空高く舞っていたはずのシャボン玉は
時間と共に力を失い次々と弾け出し
隣り合わせだったシャボン玉の泡と泡が
お互い勢いよくぶつかり合って重なった時
脆く……
儚く……
僅かな音すら立てずに弾いて消え去った
ストローから命が吹き込まれたシャボン玉は
映し出していた瞳の中で
揺られるように
ゆっくりかすみながら徐々に滲んでいき……
カッと熱くなった目頭と共に
すっかり歪んで見えなくなった
力を失い弾けて消え去ってゆくシャボン玉は、
まるで彼と出会ったあの日から今日までの
私の人生を物語っているかのよう
瞳に映しているシャボン玉が
跡形もなく消え去ってしまった瞬間
彼を失い空虚感に襲われている自分の姿と重なり……
とても切なく深い悲しみに包まれた
会いたい
明日、もし彼に会えるのなら……
今日よりもっと強くなれるのに
でも……
長い歳月と共にいつしか忘れてしまった
恋に焦がれた彼の香り
そう、恋の香りを……
奇しくもその懐かしい香りが
高二になった私の鼻をかすめ
その香りが
ずっと探し求めていた彼の香りだと確信した時
目の前に突きつけられた現実と
向き合わなければいけなくなり
親友
家族
幼馴染
元彼
多種多様なハードルが
現実に直面したばかりの私に立ちはだかり
彼の香りを忘れてしまった代償を
一気に払う事になった
※この物語はフィクションです。
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