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第三章
47.テスト結果
しおりを挟むーー中間テスト結果一覧表を受け取った日の夕方。
帰宅してからテスト結果を楽しみにしている母に恐る恐る頭を下げながら震える両手で紙を差し出すと……。
「勿体ぶらないで早くテスト結果を渡しなさい!」
「あっ……」
母はパシッと勢いよく結果表を取り上げてマジマジと目を通すと表情が一変する。
結果は言うまでもない。
母の深いため息が全てを物語っている。
愛里紗は鳥肌で全身の毛を逆立たせながらも、母の腕を掴んでウルウルと切実な目を向けた。
「お母さんお願い。次こそ絶対に頑張るから。塾なんて行きたくない」
「ダメよ! もうお父さんと決めたの。以前、中間テストの結果次第で塾に通うかどうか決めるって約束してたでしょ」
トータル順位は上からよりも下から数えた方が早い。
勉強をサボって遊び呆けてた事が仇となってしまった。
母は制止する愛里紗を振り切ると、目処をつけていた塾の夏期講習の予約の電話を入れた。
はぁ、ヤダなぁ。
塾なんて高校受験の時に散々通ったじゃん。
しかも、中二から通い始めて死ぬ気で勉強したのに、制服が可愛くて有名な第一志望の公立高校には落ちたし。
あの時は、雨の日だって雪の日だって休まず通ったのに、あの緊迫した雰囲気が耐えられないんだよね。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
「咲は中間テストの結果、どうだった?」
ーーテスト結果が返却された日の翌日の昼休み。
屋上のベンチに腰をかけている愛里紗は最近バイトを始めたばかりの咲に聞いた。
「出来はイマイチだったかな。クラス順位は二位くらい下がったから」
「えっ! 前回のテスト結果がクラスで三位だったから、今回は五位って事?」
「あー、うん。……やっぱりバイトが成績に響いたかな」
エヘヘと苦笑いする咲だけど、バイトをしつつもしっかり勉強をしている。
私なんてバイトもしていないのに、毎回こんな悪い点数を取って……。
母が怒るのも無理はない。
「クラスで五位なんてすごいじゃん!」
「そんな事ないよ。第一志望のK大に合格するにはまだ全然追いつけないし」
「私なんてさぁ、テストの出来が悪くて夏休みから夏期講習に通う事になったの」
「あっ、私も夏期講習に行くかも。英語の点数がちょっと悪かったから……」
咲の夢は教師。
中学生の頃に憧れの先生に出会えた事がキッカケだとか。
咲は一見頼りなさそうに見えるけど、しっかり現実を見ている。
「愛里紗の夢は決まった?」
「私はまだ……」
将来の夢がハッキリしている咲とは違い、私はまだ夢が見つかっていない。
時間だけは刻一刻と過ぎて行くのに……。
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