初コイ@進行中 〜忘れられない初恋相手が親友の彼氏になっていた〜

伊咲 汐恩

文字の大きさ
174 / 226
第八章

172.真相

しおりを挟む


「馬が合わないって、そーゆー意味じゃない。どうして俺がいま馬の話をしなきゃいけないんだ。俺は遥々時間をかけて無駄話をしに来た訳じゃない」

「あんたが先に言ったんだろ。人が真面目な話してんのに……。俺、競馬に興味ねぇし」


「知るか。お前は想像以上に面倒臭い性格だな」

「あんたが馬って言うから話が面倒臭くなったんだろ?」


「……っ!  話を面倒臭くしてるのはどっちだ。俺がいきなり違いな話する訳ねーだろ」

違いだなんて、あんた相当馬にこだわりるんだな。意外とシツコイ性格なんだな」


「…………はぁ」



  どうしてだろう。
  こいつとは何もかもが噛み合わない。
  手の施しようがない返答にため息しか出てこない。



「話は逸れたけど、もしかしてあんた愛里紗の親友の咲ちゃんと付き合ってなかった?」



  理玖は真相が知りたくて再び聞いた。
  すると、翔は疑問の目に変わる。



「……どうしてそれを?」

「いいから、答えろ」


「咲ちゃんとは先日まで付き合ってたけど。……もう別れた」



  翔は後ぐされのある交際に気まずそうに目線を逸らした。
  だが、理玖は別れたというキーワードで目の前が真っ暗に……。



  ーー事態は想像以上に深刻だった。
  愛里紗が長年想いを寄せていた相手が、いま正面にいる《今井》と知り、その《今井》は咲ちゃんと交際していて既に別れたというのだから……。



  理玖は翔の言動でパズルのピースをはめ合わせていくかのように真相が繋ぎ合わさった瞬間、学校を調べてまで会いに来た理由に辿り着いた。

  だから、払い除けるかのように鋭い牙を剥く。



「咲ちゃんと何があったのかは知らないけど、別れたから愛里紗に近付こうとしてる訳?」

「それは違う。俺は愛里紗を忘れた日なんてない。街を離れてから愛里紗からの連絡を待ってた。長年連絡が来なかったから、気持ちを切り替えようと思って咲ちゃんと付き合った。……でも、やっぱり違うなって思って」


「ホントは愛里紗と再会したから別れたんじゃねぇの?」

「それは違う。愛里紗が現れても現れなくても彼女とは別れていた」


「悪いけど、お前の言い分を素直に受け取れない。俺に会いに来たって事は、愛里紗を奪おうとしている魂胆なんだろ」

「……じゃあ、お前はどうなんだ?  他の女に気を持たせるような言い方ばかりして。あいつが知ったら悲しむだろ。泣かせる真似だけは許せない」



  理玖は身勝手な見解に腹が立って翔の胸ぐらを掴み上げると、凍りつく目つきで睨みつけた。



「自分を正当化してんじゃねぇよ。愛里紗を悲しませたのはお前だろ?  見えない鎖で心を締めつけていた事に気付いてないの?  それとも気付いてないフリを?」

「……一体、何の話だ」


「俺があんたを知らないように、あんたも俺を知らないだろ?  どんな根拠があって責め立てるんだよ」



  胸ぐらを掴んでいる指先と、気迫に満ちた瞳。
  理玖は現実に目が向かない翔の心に、氷の矢で突き刺すよう冷たく言った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

処理中です...