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第九章
209.右肩上がりの成績
しおりを挟むーー翔くんと最後のお別れをした日の翌日の月曜日。
一晩中ベッドの中で泣き続けた私は、充血した目のまま学校に向かった。
今朝、保冷剤を包んだタオルで20分ほど目元を冷やしたお陰か、腫れはそんなに酷くならなかった。
だから一見一晩中泣き腫らしたようには見えない。
でも、寝不足で出来たクマが目の下に薄っすらと残っている。
先日行った学年末テストが返却された。
今はもう辞めてしまったけど、塾に通い始めてから成績は右肩上がりだった。
だから、頑張った成果はテストの点数として反映されている。
私が通う私立高校は、通常登校日の明日まで通えば明後日からは自宅学習期間に入って終業式まで休みになる。
午後から咲とファーストフード店でランチをする約束をしている。
今は咲と肩を並べて駅方面に向かってる最中。
翔くんと別れたばかりで気は晴れないけど、咲と一緒に過ごせば少しは気分転換になるかと思った。
でも、昨日翔くんとキスをしたせいか、今日はやけに咲の唇に目がいってしまう。
二人が別れてからも翔くんとの進展話は聞いた事がなかったけど、私と理玖よりも長い期間付き合っていたから、きっとキスくらいはしていたはず。
当人には到底言えるはずがないけど、私達は同じ人と唇が重ねて同じような温もりを感じた。
二人はもう別れてるけど、私は理玖と付き合っている。
誰にも言えない秘密の恋心は、自ら終止符を打った後も自分を苦しめ続けている。
咲には気持ちを吐かせておいて、私は言えない秘密だけが増えていき、人知れず胸が締め付けられるような日々を送る事に。
でも、こうやって罪悪感が身に染みているから、別れという選択肢は間違っていなかっただろう。
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