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プロローグ
白
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昔から周りには誰かが居た。しかし、それは、私を認めて、居るのではない。私というモノの存在がその誰かを周りに引き寄せているに過ぎない。だが、私はそれを、受け入れる事しか出来ない。私の中には何も無いのだから。
その女は空虚だった。中身が無い、真っ白だ。だが、中身がないということは何にでも染まる。何でも受け入れる。何でにも変わる。
だからこそ、彼に出会ったのは女神の加護なのか、それとも女神の呪いなのか。
女が立っているのは荒野のとある場所にある水の湧き出る小さな泉。荒野を吹き付ける風と自身の吐息しか聞こえないほどの静かだった。
女は何故こんな場所に居るのか、何故自分の名前が思い出せないのか、記憶が混濁していた。だが女は意外と楽観的だった。
「思い出せないのなら、思い出せなくてもいい、かな?」
女は空っぽだった。どこか乾いていた。
目的も思い出せず、女は泉の辺で空を仰いでいた。どんなに世界が悲惨でも自分には関係の無い、そんな事は関係の無いのだ。
女は陽気に歌い始めた。透き通るような声色だった。そんな綺麗な歌声におびき寄せられたのか部隊からはぐれた機甲兵が姿を現した。
この荒野で魔法使いか機甲兵以外の人間を目にするのは希だ。隊商や旅人ならいざ知れず、ただの、それも美しい女が一人で荒野を彷徨くなんて、自殺行為だった。
戦地に赴いていた兵士が女を見るとどうなるだろうか、それもか弱く、周りには誰もいない、声を出しても誰もいない。そんな状況になれば犯すだろう。
「見ろよ。女だ」
「上玉じゃねぇか。どうせ本隊に戻れねぇんだし、楽しんじまおうぜ」
女は機甲兵達に気付かず歌い続けた。そしてしばらくすると機甲兵に異変が起きた。
「な、なんだ……体が……」
「っぁ、頭がいてぇ……」
体の一部に痛みを感じるようになっていた。次第にそれは強くなっていき徐々にそれが表面に現れてきた。
「ぐあああっ! 頭がっ!」
「う、腕がァ!」
機甲兵は戦闘服越しでもわかるほど、痛む部分が肥大化していった。そして最後には、まるで風船に針でも刺したように破裂した。
その破裂音でようやく機甲兵だったものに気付いた女はそちらの方に振り向いた。女の目線にあるのは、血を噴水のように流しながら倒れている機甲兵達の姿だった。
「なんだろ、あんな所に死体なんてあったかな?」
女は首を傾げて不思議そうにそれを見ていた。しかし、女はすぐに興味をなくした。彼女には関係の無いモノだから。
世界は残酷だ。だが、だからこそ美しい。
白と黒以外にも色がある。赤や青、黄、世界を彩るのには白と黒だけでは足りない。だが、黒で塗りつぶす者がいる。白で全ての色に変わる者がいる。
それが彼と彼女だ。
「……おい、女。名は」
「……白」
偶然出会ってしまった白と黒。
「記憶がねぇんだろ? なら一緒に探してやるよ」
その女は空虚だった。中身が無い、真っ白だ。だが、中身がないということは何にでも染まる。何でも受け入れる。何でにも変わる。
だからこそ、彼に出会ったのは女神の加護なのか、それとも女神の呪いなのか。
女が立っているのは荒野のとある場所にある水の湧き出る小さな泉。荒野を吹き付ける風と自身の吐息しか聞こえないほどの静かだった。
女は何故こんな場所に居るのか、何故自分の名前が思い出せないのか、記憶が混濁していた。だが女は意外と楽観的だった。
「思い出せないのなら、思い出せなくてもいい、かな?」
女は空っぽだった。どこか乾いていた。
目的も思い出せず、女は泉の辺で空を仰いでいた。どんなに世界が悲惨でも自分には関係の無い、そんな事は関係の無いのだ。
女は陽気に歌い始めた。透き通るような声色だった。そんな綺麗な歌声におびき寄せられたのか部隊からはぐれた機甲兵が姿を現した。
この荒野で魔法使いか機甲兵以外の人間を目にするのは希だ。隊商や旅人ならいざ知れず、ただの、それも美しい女が一人で荒野を彷徨くなんて、自殺行為だった。
戦地に赴いていた兵士が女を見るとどうなるだろうか、それもか弱く、周りには誰もいない、声を出しても誰もいない。そんな状況になれば犯すだろう。
「見ろよ。女だ」
「上玉じゃねぇか。どうせ本隊に戻れねぇんだし、楽しんじまおうぜ」
女は機甲兵達に気付かず歌い続けた。そしてしばらくすると機甲兵に異変が起きた。
「な、なんだ……体が……」
「っぁ、頭がいてぇ……」
体の一部に痛みを感じるようになっていた。次第にそれは強くなっていき徐々にそれが表面に現れてきた。
「ぐあああっ! 頭がっ!」
「う、腕がァ!」
機甲兵は戦闘服越しでもわかるほど、痛む部分が肥大化していった。そして最後には、まるで風船に針でも刺したように破裂した。
その破裂音でようやく機甲兵だったものに気付いた女はそちらの方に振り向いた。女の目線にあるのは、血を噴水のように流しながら倒れている機甲兵達の姿だった。
「なんだろ、あんな所に死体なんてあったかな?」
女は首を傾げて不思議そうにそれを見ていた。しかし、女はすぐに興味をなくした。彼女には関係の無いモノだから。
世界は残酷だ。だが、だからこそ美しい。
白と黒以外にも色がある。赤や青、黄、世界を彩るのには白と黒だけでは足りない。だが、黒で塗りつぶす者がいる。白で全ての色に変わる者がいる。
それが彼と彼女だ。
「……おい、女。名は」
「……白」
偶然出会ってしまった白と黒。
「記憶がねぇんだろ? なら一緒に探してやるよ」
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