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アナタが居なければ
第一話
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私が過去に望んだ事はもはや叶うはずも無い事、魔法使いとしてではなく、普通の女としての望み、そんなささやかな望みすらこの世界は叶えてくれません。
幸せになるという事がそれほど罪な事なのでしょうか、ただ愛する人と共に過ごしたいという願いすら、私には分不相応という事でしょうか。
目を覚ますとそこは何処かの集落の家でした。先程までハルワイブ王国の城に居り、戦っていたはずです。
これは一体どういう事でしょうか。幻覚? それにしては出来すぎです。
「おいマリア、いつまで寝てんだ」
「バルトロマイ! ここは一体」
私がそう聞くと、彼は眉を顰めて首を大きく傾げました。何を言ってるんだ? と言わんばかりの顔です。気を失っていたとか、そんな感じではありません。
「いえ、だから先程まで……」
「だから何言ってんだ?」
彼は本当に何も覚えていませんでした、いえ覚えていないと言うよりかは、そんな事があったのかすら怪しいと思えるほどいつも通りでした。
彼は綺麗に整えた顎の髭を撫でながら、疲れているんだな、と私の頭を撫でてきました。この彼がどんな状況下の彼かなんて事はすぐに分かりました。
「あぁ、そうか……もう十年か。やっぱまだ抜け出せねぇよな」
ふと、彼は日付の書いた紙を目にしてそう意味深にそう呟きました。十年、今日の十年前に一体何があったと言うのでしょうか?
「何かあった日なのですか?」
「……はぁ、今日はアイリスの命日だろうが」
アイリスの、命日? それが十年前の今日の出来事? まずい、幻覚に取り込まれてしまいます。このままでは帰れなくなってしまう。それを阻止しようと私は自分に魔法をかけようとしました。
しかし、魔法は一切発動しません。魔力すら体の中から感じ取られないのです。
「それにしても、アイリスが死んでから大変だったよな、いきなり魔法が使えなくなってよ」
アイリスが死んだ日から魔法が使えなくなった、お母様から聞いた話でしたねそういえば。
ですが、ここが幻の世界ではないとすれば一体、夢の中? いえ、幻でも何にせよ、もしそうだとすれば私は弾き返せるはずです。現実? 有り得ません。しかし、アイリスが死んで魔法が使用不可になるなど、それこそ過去に戻らないと不可能、別世界ということは無いでしょう。あぁ、考えれば考えるほどに何か沼のようなモノに落ちてゆく感覚、心地の良いものではありませんね。
「バルトロマイ、アイリスが死んだ時の事を、話してくれませんか? 少し、曖昧なのです」
「ん、あぁ、そうだな、確か──」
──なるほど、アイリスの処刑の日、ですか。そこで私がバルトロマイを助け出し、アイリスの救助に間に合わなかった、という事ですね。
その後私達は南方大陸から中央大陸に移り住み、十年の月日が流れたそうです。
あまり長居はしたくないはずなのですが、戦争も何もない穏やかな日常、しかもそこにはバルトロマイが居る。これ以上幸せな事はないのです。
「そうでしたね……」
変わったのはアイリスが処刑されバルトロマイが生き残った、という事。そこから大きく変わっています。
以前とある文献で目にした事があります。とある時点から分岐し並行しつつ存在するもう一つの世界、パラレルワールド。
詳しい事は分かりませんがこんな世界へと飛ばす、フェーゲラインの知識や腕を素直に認めざるを得ません。もし時代が違えば、おとぎ話になるほどですかね。
さて、どういった世界なのかは分かりました、後は戻り方ですね。
異世界へ飛ばすということはかなりの魔力を消費するはずで、だからこそ魔法ではなく古い魔道を使用したのでしょう。ならば再び同じ術を発動し、向こうの世界に帰るという手段しかないでしょうね。向こう側から引っ張り上げられるのが一番早いのでしょうが、それは難しいでしょうね。
となると、やはり術を使用した本人を探すのが手っ取り早いでしょう。この世界では敵対していませんから、何とかしてくれれば嬉しいのですが。最悪、自分で調べて発動する、という手段もありますがこれは時間がかかりすぎるので後回しです。
という事で、素早く行動しましょうか。
中央大陸は帝国の都市があるということもあり、他の大陸とは違い道もしっかりと整備されており、人通りも多く賑わっていました。
現在私達は冒険者が多く集まるアシュタドラという町にて、宿を取っていました。ここは以前ミエリドラに行く前に通った事がありますね。
しかし、あの時と違うのは人が多すぎるという事です。様々な地域の方達が仲良く肩を組んで飲んでいる光景すら、あの世界にはまだありませんでした。
「あの世界での十年後は、こうなっているのでしょうかね……」
ふとそう考えてしまいます。全てが北方大陸のように行く訳ではありません。東方大陸のように、滅んでしまった場所も少なくありません。しかし、確実に争いが減っていっているのは、間違いありません。国家間の戦争が無くなり、魔帝に対抗しうるのは帝国のみ。その帝国を飲み込んでしまえば、この戦争は終わります。
そしてそれを成すためには、アイリスが立ち直らなければなりません。ドラクルが戦死した事は、私にとってもとても悲しい出来事でした。ですが、だからと言って悲しみに明け暮れるなんて事は出来ません、生きている者が進まなくては、死んだ者に顔向けが出来ませんし、私達には成し遂げなければならない事があるんです。
アイリスは私達の事が大好きで、私達もアイリスの事が大好きなんです。故にそこが弱点であり、強みでもあるんです。
こればかりは彼女の心の強さを信じるしかありませんが……勿論、支えも必要でしょうから、その為の私達です。
さて、アシュタドラから帝都は距離があります。物流拠点であるからには、帝都へ荷を運ぶ馬車の一つや二つはあるでしょう。それに乗せてもらう事にしました。
その道中、荷馬車の後ろでバルトロマイとのんびりとしていました。長閑で素敵な時間です。
「それにしても、ここら辺は昔と違って随分と様変わりしちまったもんだ。前はもっと怪しい商人やらなんやらが居たんだが……平和になっちまったなぁ」
バルトロマイは懐かしむように荷車から、揺れる景色を眺めていました。勿論、私も懐かしいんですが、幼い頃の記憶はどうにも好きになれないのです。
「そういやこの彫りもん、まだ消さねぇのか?」
彼は私の首から覗く自作の魔術の式をなぞり、そう問い掛けてきました。少しくすぐったいので彼の指を掴みながらはい、と頷きました。
この魔術式は私が魔法使いであったという証拠であり、努力の結晶であり、私の全てでした。今となってはただの趣味の悪いタトゥーとなってしまいましたがね。
「……えぇ、まだ、全てを捨てられるわけではありませんので」
「まぁ、そうだわなぁ」
「ですが今の生活は、これはこれで気に入っているんですよ? 私は魔法の使えないただの女になってしまいましたが……その代わり、とても優秀な騎士様が傍らに居るので」
私は私の肌をなぞるバルトロマイの指を掴み、そう言いました。すると照れているのを隠すように頭を掻きながら、バッキャローとそっぽを向いたバルトロマイがとても愛おしく見えてしまいました。
数日間ほど荷馬車に揺られていると、御者とも仲良くなり私達は他愛のない会話を交わしつつ、帝都の手前にあるクレヴィという町で降ろしてもらうことにしました。
御者にお礼にお金を払いつつ、眼前に広がる大きな町に驚いていました。流石帝都近辺、町の大きさが一つの国と同等とは。
クレヴィは元々犯罪者達を収容する為に作られた町であり、この町を治める者は代々看守長を兼任しているそうです。
そしてこの町が賑わう理由は、この町で行われる一つのイベントが影響していました。それは囚人同士をどちらかが死ぬまで戦いを続けさせる、公開処刑にも似た娯楽です。それが毎日のように行われているのです。
「ちょいと見て行くか?」
町の中央にある円形闘技場からは大きな歓声が聞こえ、今まさに戦いが行われているのだと理解出来ました。
私達は闘技場に移動し観客の熱を浴びながら席に座りました。
血がビッシリとこびりついた凄惨さを語るステージには、二人の囚人が睨み合っていました。
一人は大柄の筋骨隆々な男、武器はその剛腕でしょう。そしてもう一人は女性としては背の高い細身の女、遠くからですが彼女が誰か、という事は分かります。
試合のゴングが鳴り響くと両者共同時に動き、男は女を一捻りにしようと掴みかかろうとしました。
しかし、女は自身の胴体ほどある男の腕を縫うように懐に潜り込むと、腰にぶら下げたサーベルを抜刀し男の腕の切断を試みました。
男はいち早く女の動きに勘づいたのか、伸ばした腕を引きつつ、もう片方の手で女のサーベルを掴みました。
そこで一度動きの止まった両者を見て、バルトロマイに問い掛けました。どちらが勝ちそうかと。
「まぁ、見たまんまで言うと男の方だな。得物が封じられた女がどう出るかが問題だ、このまま至近距離で殴り合うか……まぁ普通にやり合って、力で劣る女が勝てる道理なんざありゃしねぇな」
確かに、私も同意見です。しかし、あの女の事です。何かやるに違いありません。
そう予想していると、女はサーベルから手を離し男のズボンのベルトに手をかけ、足を払うような動作の後男をいとも容易く投げてしまいました。
瞬く間に、という言葉がここまで似合う光景など後にも先にもないことでしょう。その後、倒れた男の首を強く蹴り、骨をへし折った女は勝利の余韻に浸ることも無く、建物の中へと入っていきました。
「うへぇ……おっかねぇな」
「彼女は誰に対してもそうですよ。ただ一人を除いて、ですが」
何故彼女がこんな所に居るのか、その理由を突き止めなければなりませんね。
湧き上がる観客達の間を縫うように移動し、近くにいた兵士に声をかけました。
「すいません、先程の女の囚人と面会したいのですが」
「申し訳ないがクレヴィに収監されている囚人に会うことは許されていない」
帝国の兵士は首を横に振り、そう断ってきました。しかし、だがと言葉を続けました。
「看守長であるレオンハルト少将閣下に面会ならば可能であるが」
レオンハルト? なるほど。彼がここの──ふふ、良い事を聞きました。ではお会いするとしましょうか、看守長殿に。
幸せになるという事がそれほど罪な事なのでしょうか、ただ愛する人と共に過ごしたいという願いすら、私には分不相応という事でしょうか。
目を覚ますとそこは何処かの集落の家でした。先程までハルワイブ王国の城に居り、戦っていたはずです。
これは一体どういう事でしょうか。幻覚? それにしては出来すぎです。
「おいマリア、いつまで寝てんだ」
「バルトロマイ! ここは一体」
私がそう聞くと、彼は眉を顰めて首を大きく傾げました。何を言ってるんだ? と言わんばかりの顔です。気を失っていたとか、そんな感じではありません。
「いえ、だから先程まで……」
「だから何言ってんだ?」
彼は本当に何も覚えていませんでした、いえ覚えていないと言うよりかは、そんな事があったのかすら怪しいと思えるほどいつも通りでした。
彼は綺麗に整えた顎の髭を撫でながら、疲れているんだな、と私の頭を撫でてきました。この彼がどんな状況下の彼かなんて事はすぐに分かりました。
「あぁ、そうか……もう十年か。やっぱまだ抜け出せねぇよな」
ふと、彼は日付の書いた紙を目にしてそう意味深にそう呟きました。十年、今日の十年前に一体何があったと言うのでしょうか?
「何かあった日なのですか?」
「……はぁ、今日はアイリスの命日だろうが」
アイリスの、命日? それが十年前の今日の出来事? まずい、幻覚に取り込まれてしまいます。このままでは帰れなくなってしまう。それを阻止しようと私は自分に魔法をかけようとしました。
しかし、魔法は一切発動しません。魔力すら体の中から感じ取られないのです。
「それにしても、アイリスが死んでから大変だったよな、いきなり魔法が使えなくなってよ」
アイリスが死んだ日から魔法が使えなくなった、お母様から聞いた話でしたねそういえば。
ですが、ここが幻の世界ではないとすれば一体、夢の中? いえ、幻でも何にせよ、もしそうだとすれば私は弾き返せるはずです。現実? 有り得ません。しかし、アイリスが死んで魔法が使用不可になるなど、それこそ過去に戻らないと不可能、別世界ということは無いでしょう。あぁ、考えれば考えるほどに何か沼のようなモノに落ちてゆく感覚、心地の良いものではありませんね。
「バルトロマイ、アイリスが死んだ時の事を、話してくれませんか? 少し、曖昧なのです」
「ん、あぁ、そうだな、確か──」
──なるほど、アイリスの処刑の日、ですか。そこで私がバルトロマイを助け出し、アイリスの救助に間に合わなかった、という事ですね。
その後私達は南方大陸から中央大陸に移り住み、十年の月日が流れたそうです。
あまり長居はしたくないはずなのですが、戦争も何もない穏やかな日常、しかもそこにはバルトロマイが居る。これ以上幸せな事はないのです。
「そうでしたね……」
変わったのはアイリスが処刑されバルトロマイが生き残った、という事。そこから大きく変わっています。
以前とある文献で目にした事があります。とある時点から分岐し並行しつつ存在するもう一つの世界、パラレルワールド。
詳しい事は分かりませんがこんな世界へと飛ばす、フェーゲラインの知識や腕を素直に認めざるを得ません。もし時代が違えば、おとぎ話になるほどですかね。
さて、どういった世界なのかは分かりました、後は戻り方ですね。
異世界へ飛ばすということはかなりの魔力を消費するはずで、だからこそ魔法ではなく古い魔道を使用したのでしょう。ならば再び同じ術を発動し、向こうの世界に帰るという手段しかないでしょうね。向こう側から引っ張り上げられるのが一番早いのでしょうが、それは難しいでしょうね。
となると、やはり術を使用した本人を探すのが手っ取り早いでしょう。この世界では敵対していませんから、何とかしてくれれば嬉しいのですが。最悪、自分で調べて発動する、という手段もありますがこれは時間がかかりすぎるので後回しです。
という事で、素早く行動しましょうか。
中央大陸は帝国の都市があるということもあり、他の大陸とは違い道もしっかりと整備されており、人通りも多く賑わっていました。
現在私達は冒険者が多く集まるアシュタドラという町にて、宿を取っていました。ここは以前ミエリドラに行く前に通った事がありますね。
しかし、あの時と違うのは人が多すぎるという事です。様々な地域の方達が仲良く肩を組んで飲んでいる光景すら、あの世界にはまだありませんでした。
「あの世界での十年後は、こうなっているのでしょうかね……」
ふとそう考えてしまいます。全てが北方大陸のように行く訳ではありません。東方大陸のように、滅んでしまった場所も少なくありません。しかし、確実に争いが減っていっているのは、間違いありません。国家間の戦争が無くなり、魔帝に対抗しうるのは帝国のみ。その帝国を飲み込んでしまえば、この戦争は終わります。
そしてそれを成すためには、アイリスが立ち直らなければなりません。ドラクルが戦死した事は、私にとってもとても悲しい出来事でした。ですが、だからと言って悲しみに明け暮れるなんて事は出来ません、生きている者が進まなくては、死んだ者に顔向けが出来ませんし、私達には成し遂げなければならない事があるんです。
アイリスは私達の事が大好きで、私達もアイリスの事が大好きなんです。故にそこが弱点であり、強みでもあるんです。
こればかりは彼女の心の強さを信じるしかありませんが……勿論、支えも必要でしょうから、その為の私達です。
さて、アシュタドラから帝都は距離があります。物流拠点であるからには、帝都へ荷を運ぶ馬車の一つや二つはあるでしょう。それに乗せてもらう事にしました。
その道中、荷馬車の後ろでバルトロマイとのんびりとしていました。長閑で素敵な時間です。
「それにしても、ここら辺は昔と違って随分と様変わりしちまったもんだ。前はもっと怪しい商人やらなんやらが居たんだが……平和になっちまったなぁ」
バルトロマイは懐かしむように荷車から、揺れる景色を眺めていました。勿論、私も懐かしいんですが、幼い頃の記憶はどうにも好きになれないのです。
「そういやこの彫りもん、まだ消さねぇのか?」
彼は私の首から覗く自作の魔術の式をなぞり、そう問い掛けてきました。少しくすぐったいので彼の指を掴みながらはい、と頷きました。
この魔術式は私が魔法使いであったという証拠であり、努力の結晶であり、私の全てでした。今となってはただの趣味の悪いタトゥーとなってしまいましたがね。
「……えぇ、まだ、全てを捨てられるわけではありませんので」
「まぁ、そうだわなぁ」
「ですが今の生活は、これはこれで気に入っているんですよ? 私は魔法の使えないただの女になってしまいましたが……その代わり、とても優秀な騎士様が傍らに居るので」
私は私の肌をなぞるバルトロマイの指を掴み、そう言いました。すると照れているのを隠すように頭を掻きながら、バッキャローとそっぽを向いたバルトロマイがとても愛おしく見えてしまいました。
数日間ほど荷馬車に揺られていると、御者とも仲良くなり私達は他愛のない会話を交わしつつ、帝都の手前にあるクレヴィという町で降ろしてもらうことにしました。
御者にお礼にお金を払いつつ、眼前に広がる大きな町に驚いていました。流石帝都近辺、町の大きさが一つの国と同等とは。
クレヴィは元々犯罪者達を収容する為に作られた町であり、この町を治める者は代々看守長を兼任しているそうです。
そしてこの町が賑わう理由は、この町で行われる一つのイベントが影響していました。それは囚人同士をどちらかが死ぬまで戦いを続けさせる、公開処刑にも似た娯楽です。それが毎日のように行われているのです。
「ちょいと見て行くか?」
町の中央にある円形闘技場からは大きな歓声が聞こえ、今まさに戦いが行われているのだと理解出来ました。
私達は闘技場に移動し観客の熱を浴びながら席に座りました。
血がビッシリとこびりついた凄惨さを語るステージには、二人の囚人が睨み合っていました。
一人は大柄の筋骨隆々な男、武器はその剛腕でしょう。そしてもう一人は女性としては背の高い細身の女、遠くからですが彼女が誰か、という事は分かります。
試合のゴングが鳴り響くと両者共同時に動き、男は女を一捻りにしようと掴みかかろうとしました。
しかし、女は自身の胴体ほどある男の腕を縫うように懐に潜り込むと、腰にぶら下げたサーベルを抜刀し男の腕の切断を試みました。
男はいち早く女の動きに勘づいたのか、伸ばした腕を引きつつ、もう片方の手で女のサーベルを掴みました。
そこで一度動きの止まった両者を見て、バルトロマイに問い掛けました。どちらが勝ちそうかと。
「まぁ、見たまんまで言うと男の方だな。得物が封じられた女がどう出るかが問題だ、このまま至近距離で殴り合うか……まぁ普通にやり合って、力で劣る女が勝てる道理なんざありゃしねぇな」
確かに、私も同意見です。しかし、あの女の事です。何かやるに違いありません。
そう予想していると、女はサーベルから手を離し男のズボンのベルトに手をかけ、足を払うような動作の後男をいとも容易く投げてしまいました。
瞬く間に、という言葉がここまで似合う光景など後にも先にもないことでしょう。その後、倒れた男の首を強く蹴り、骨をへし折った女は勝利の余韻に浸ることも無く、建物の中へと入っていきました。
「うへぇ……おっかねぇな」
「彼女は誰に対してもそうですよ。ただ一人を除いて、ですが」
何故彼女がこんな所に居るのか、その理由を突き止めなければなりませんね。
湧き上がる観客達の間を縫うように移動し、近くにいた兵士に声をかけました。
「すいません、先程の女の囚人と面会したいのですが」
「申し訳ないがクレヴィに収監されている囚人に会うことは許されていない」
帝国の兵士は首を横に振り、そう断ってきました。しかし、だがと言葉を続けました。
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