モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている

光命

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第130話 余の作戦に口を出すな! ~ゼドサイド~

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「……うっ……」

最近何やら頭が痛くなることがある。
身体も精神的にもだ。
それもこれも、みんなゾルダのせいだ。
たまにあいつの声が聞こえてくる。
あの下賤な笑い声が頭の中を引っ掻き回す。
本当にあいつが復活してからロクなことがない。

それにクロウやメフィストもあいつに負けた。
アスビモが連れてきたランボという奴もだ。
少しばかり期待した余がバカだった。
駒は所詮駒以上にはならんし、使い物にもならん。

イライラした気持ちと頭痛を治めるためにアスビモが持ってきた薬を飲む。
この薬が結構よく効く。
飲んで数分で頭痛も取れるし、身体にも力がみなぎってくる。
最近少し飲む頻度が増えたような気がするが、そのうちに良くなってくるだろう。

余の部屋から出てから謁見の間に向かうと、そこにはラファエルとクラウディアが控えていた。

「魔王様、ラファエル、クラウディア共に帰還しました」

余が王座に座ると、ラファエルとクラウディアが帰還の報告をする。

「随分と遅かったな」

戻ってくるように言ってからどのくらいたったのか。
時間は正確にはわかっていないが、気持ち的にはだいぶ経ったような気がする。

「大変申し訳ございません」

ラファエルは深々と頭を下げる。
クラウディアも申し訳なさそうにしている。

「謝るぐらいなら、さっさと行動しろ、この馬鹿者めが」

消えぬイライラをラファエルとクラウディアにぶつける。
お前たちも役に立たないな。

「……」

首を垂れたままラファエルとクラウディアは何も言わない。
その態度にも増す増す腹が立つ。
ただ、そこは堪えておこう。
何せこれでお前らも余のためになるんだからな。

「まぁ、いい。
 お前らはお前らなりに余の役に立つことだ」

「はっ」

二人からは力の入った返事が返ってきた。

「お前たちを呼び戻したのは、ゾルダのことだ」

「確か復活されたとお聞きしております」

ラファエルの耳にも話を届いていたようだ。

「えーっ、そうなの?
 あーしは聞いてないよ」

クラウディアは不服そうな顔をしている。
その顔を見たラファエルがクラウディアを窘めている。
余に向かってなんたる態度だとは思うが、こうしている時間も鬱陶しい。
さっさと話を進めるか。

「そのゾルダをお前ら二人で倒してこい」

「あのゾルダ様を?
 あーしら二人で相手になるの?」

そんなことは余にも十分わかっている。
あいつが万全ならお前ら二人でかかってもかなわない。

「まだ封印が完全に解けていないから、お前ら二人いけばなんとかなるだろう。
 それに……」

余としても秘策がある。
あれは、つい先日アスビモのやつが持ってきたあれだ――

『ゼド様、大変喜ばしい物が手に入りました』

そう言ってアスビモが訪ねてきた。

『なんじゃ、余は相当なものでもない限り驚かないぞ』

そういう余に対して、アスビモはニンマリとした顔をする。

『そう言わずに、ご覧ください』

アスビモが手にしたのはなんとも言えない魔力を帯びたソルレットだった。
だいぶ古びているにも関わらず、さびもなくきれいなに整っていた。
ただそれを覆うように全体に得体のしれない魔力を帯びていた。

『これはなんだ。
 余がこんなのを貰って喜ぶと思っているのか?』

この余をバカにして。
こんなもの貰って嬉しくとも何ともない。

『はい、大変いお喜びになるかと。
 よく見てください。
 見覚えがあると思います』

もったいぶった言い方をするアスビモ。
気になるので、つぶさに見てみると、見覚えのある紋章が……

『これがあるということは……』

『そうです。
 ソフィア様たちの部下が封印されているソルレットです」

いつもニコニコしているアスビモの気持ち悪い笑顔が、余計にくしゃくしゃになる。

『でかしたぞ、アスビモ!
 これで、こいつの復活は阻止できる』

他の奴らも復活した今は、あいつの手駒をこれ以上増やさせない。
そのために、躍起になって探していたものだった。
そう思っていたのだが

『これをゼド様にお渡ししますので、どうかゾルダ様ご一行へお渡しいただけると……』

アスビモの奴は何かおかしなことを言い始めた。

『何をわざわざ敵の手駒を増やす手伝いをせねばならんのだ!」

頭に血が上り、怒鳴ってしまう。

『いや、私もわざわざそんなことはしません。
 これには、あるトラップを施しておりますので……』

そう言うと、余の耳元でごにょごにょとトラップのことを話始めた。
それを聞いた余は今までの憂いが消し飛ぶように感じた。

『素晴らしい。
 これをあの二人に持たせて、切り札に使わせよう』

『仰せのままに。
 いかようにもお好きにお使いください』

――そう、余が取り出したのはこの時アスビモから貰ったソルレットだった。

余としてもずっと抱える不安がある。
万が一にもゾルダが完全復活したら、余でも太刀打ち出来ぬかもしれない。
その不安を振り払うためにも、この作戦は絶対に成功させねばならないのだ!
そうしなければ、安心して世界征服など出来ない。

そのソルトレットを二人に渡して、さらに話を続けた。

「お前ら二人だけで不安もあるだろう。
 だから、これをやる。
 ピンチになったら、迷わずこれを勇者に渡せ!」

余の作戦の一端を二人に伝えた。

「しかし、魔王様……
 何故このようなものを、勇者に渡すのでしょうか?
 それが何故切り札なのでしょうか?」

ラファエルは余の作戦に疑問を投げかけてきた。

「なんだその古そーなソルレット。
 これでゾルダ様になんか起きるわけー?」

クラウディアはこともあろうか嘲笑している。
それは余が考えたことに不満があるということか?
それともお前らごときではこの作戦も理解できないことなのか……
本当に頭の悪い部下は困る。

「つっ……」
頭の奥で、再び鈍い痛みが走る。
まるでゾルダの不敵な笑い声が頭蓋をノックしているようだ。

「ごちゃごちゃ言うな!
 余の作戦が気に喰わぬと言うのか!
 お前らは余の言う通りに動いていればいいのだ!」

怒号を二人に浴びせる。
その言葉にビクッとなったラファエルは、さらに下を向いたまま答えた。

「はっ、出過ぎた真似を……」

クラウディアも無言のまま、平伏していた。

「いいから、とっととゾルダを倒してこい。
 絶対に打ち漏らすなよ」

二人は余に一礼をすると謁見の間から立ち去っていった。

「つうっ……」

再び頭痛がする。
先ほど薬を飲んだばかりだというのに……
それにしてもこうも使えない奴らが多くて嘆かわしい。
余一人でやった方がいいのかもしれないな。
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