1 / 6
プロローグ
恋したい
しおりを挟む
「いってきまーす」
十一月上旬。彼女___黒川 椎名はいつも通り、六時に起床し、朝ごはんを食べ、身支度を整えて、自分が通っている中学校に向かうため、家を出た。
椎名は中学三年生。三年生用の下駄箱が置いてある場所に向かう。下駄箱には、今月三度目になる手紙が入っていた。内容は昼休み体育館裏に来てほしい、との事だった。
大方、告白でもされるのだろう。
めんどくさいので、すっぽかしてやろうかと考えたが、流石に相手に失礼だと思い行く事にした。
そして時は周り、昼休み。体育館裏に行くと既に手紙を書いてくれた相手だと思われる男子生徒が緊張した面持ちで待っていた。
「あなたが手紙をくれたの?」
「あ、う、うん!………あ、あ、あの、さ!ぼ、ぼぼ僕と付き合ってください!!」
椎名は疑問に思った。何故、面積もないのに告白をしてきたのか。告白するなら、するで、その前にある程度関係を作るべきではないのか。
「ごめんなさい。」
勿論、椎名の答えはNOである。知らない人に告白されたのだ。断るのは当たり前だろう。
「あー、やっぱり、そうだよね……。あの、聞いてくれてありがとう。じゃ、あ、僕、もう行くね……」
椎名は思う。自分も彼氏が欲しい、と。
なら、さっきの男と付き合えばよかったのに、と思う人もいるかもしれない。
だが、違うのだ。椎名は恋人が欲しい訳ではなく、『恋』が出来る恋人が欲しいのだ。
そう、少女漫画のような『恋』が。例えば、漫画の中では主人公が、恋の相手である男性と接し、『ドキッ』などの表現が描かれていると思う。
まさにそれ。椎名は『ドキッ』としたいのだ。勿論、『ドキッ』とする為に努力はした。
この間は、そこそこイケメンの男友達に壁ドンをしてもらった。してもらったは良いが、まったく『ドキッ』としなかった。むしろ、顔に相手の息がかかり、気持ち悪いとさえ思ったほどだ。
いつまでも此処にいるのは寒いので椎名は自分の教室に帰った。教室の中は暖房が惜しみなく使われていて暖かい。
「しーなー!ねぇねぇ、どうだった!?どうだった!?」
この、自分の近くでギャーギャー騒いでいるのは椎名の数少ない友人の一人、長谷川 舞。椎名と舞はほとんどの行動を共にしており、親友と言っても過言ではない。
彼女が自分に何を聞いているのか一瞬分からなかった椎名は、少し考え、先程の告白の事か、と思った。
「………あぁ、さっきのか。」
「さっきのかって、シーナ興味無さすぎぃ!で、どうだったの!?告白だった!?OKした!?」
「告白だったよ。勿論断った。」
「えぇ~~また断ったの~?!学校一の美女とか言われてる癖に!!ずるい!シーナずるいぃぃ!」
そしてまた騒ぎ出す友人。流石に五月蝿いと思ったので、頭にチョップを御見舞してやった。
「いだっ!」
「五月蝿い」
「いや、チョップする前に先に言おう!?何でチョップが先なのかな!?」
「めんご」
謝ってやったのに、絶対思ってないよね!?などと失礼極まりない事をいつまでもブツブツ言っている友人を置いて、椎名は自分の席に座った。
「シーナは進路決めた?」
いつの間にこちらに来たのか。目の前には舞が立っていた。
「んーん、決めてない。舞は?決めた?」
「もっちろーん!私は神楽坂高校に行く!」
舞は、椎名の目の前で仁王立ちし、いいだろー!的なドヤ顔で立っていた。
神楽坂高校はそこそこ有名な高校だ。ほかの高校と違い、珍しいところは寮生である事と、中学校から大学までエスカレーター式の高校だということころだ。
そして椎名は疑問に思った。神楽坂高校は男子校だったような、と。
「神楽坂って男子校じゃないの?」
「実はねー神楽坂は来年から共学になるの!そこで私は彼氏作る!チヤホヤされたい!!」
人間の欲望丸出しな友人に、椎名は呆れを通り越して感心さえ覚えた。
そもそも、椎名と同等の美少女である舞が何故彼氏が出来ないのか、いや、何故彼氏がいないのか、それは舞の性格故である。舞は基本、テンションが高く、何事にも楽観的だ。その為歴代彼氏達からは君のテンションについていけない、と言われ振られるのだ。
椎名は少しでも落ち着きを持てば彼氏と長く続くのでは?と思ったが、舞がそれは無理、と断言していたので諦めた。
椎名は考えた。その、高校には男子が沢山いる。ならば、私が惚れるような、ドキッとさせてくれるような男子が現れるのでは?と。
「私もそこに行く。」
「ほんと!?やったー!!またシーナと一緒にいられる!………ん?待って!やっぱ来ないで!」
「え、なんで?」
椎名は舞の言葉にショックを受けた。椎名は舞の扱いに関して極めて雑だが、それは信頼の裏返し。こんな扱いをしても自分の友達でいてくれると思うからこそ出来る行為だ。
もしかしたら、それが嫌だったのかもしれない。そう考えた椎名は咄嗟に謝ろうとした。
「ご、ごめ___」
「だって、椎名が来たら、男子全員が椎名好きになっちゃうでしょ!そんなんじゃ私彼氏出来ないじゃん!!って、なんか言った?」
結構、どうでも良かった。
「いでっ!ちょ、何故デコピン!!」
「あ、ごめん、ついイラッとして、ね?あ、高校では私と一緒にいたら男子に積極的に話しかけてもらえると思う。」
「よっし、シーナ、二人で一緒の高校行こーね!!私らズッ友!」
チョロい。
十一月上旬。彼女___黒川 椎名はいつも通り、六時に起床し、朝ごはんを食べ、身支度を整えて、自分が通っている中学校に向かうため、家を出た。
椎名は中学三年生。三年生用の下駄箱が置いてある場所に向かう。下駄箱には、今月三度目になる手紙が入っていた。内容は昼休み体育館裏に来てほしい、との事だった。
大方、告白でもされるのだろう。
めんどくさいので、すっぽかしてやろうかと考えたが、流石に相手に失礼だと思い行く事にした。
そして時は周り、昼休み。体育館裏に行くと既に手紙を書いてくれた相手だと思われる男子生徒が緊張した面持ちで待っていた。
「あなたが手紙をくれたの?」
「あ、う、うん!………あ、あ、あの、さ!ぼ、ぼぼ僕と付き合ってください!!」
椎名は疑問に思った。何故、面積もないのに告白をしてきたのか。告白するなら、するで、その前にある程度関係を作るべきではないのか。
「ごめんなさい。」
勿論、椎名の答えはNOである。知らない人に告白されたのだ。断るのは当たり前だろう。
「あー、やっぱり、そうだよね……。あの、聞いてくれてありがとう。じゃ、あ、僕、もう行くね……」
椎名は思う。自分も彼氏が欲しい、と。
なら、さっきの男と付き合えばよかったのに、と思う人もいるかもしれない。
だが、違うのだ。椎名は恋人が欲しい訳ではなく、『恋』が出来る恋人が欲しいのだ。
そう、少女漫画のような『恋』が。例えば、漫画の中では主人公が、恋の相手である男性と接し、『ドキッ』などの表現が描かれていると思う。
まさにそれ。椎名は『ドキッ』としたいのだ。勿論、『ドキッ』とする為に努力はした。
この間は、そこそこイケメンの男友達に壁ドンをしてもらった。してもらったは良いが、まったく『ドキッ』としなかった。むしろ、顔に相手の息がかかり、気持ち悪いとさえ思ったほどだ。
いつまでも此処にいるのは寒いので椎名は自分の教室に帰った。教室の中は暖房が惜しみなく使われていて暖かい。
「しーなー!ねぇねぇ、どうだった!?どうだった!?」
この、自分の近くでギャーギャー騒いでいるのは椎名の数少ない友人の一人、長谷川 舞。椎名と舞はほとんどの行動を共にしており、親友と言っても過言ではない。
彼女が自分に何を聞いているのか一瞬分からなかった椎名は、少し考え、先程の告白の事か、と思った。
「………あぁ、さっきのか。」
「さっきのかって、シーナ興味無さすぎぃ!で、どうだったの!?告白だった!?OKした!?」
「告白だったよ。勿論断った。」
「えぇ~~また断ったの~?!学校一の美女とか言われてる癖に!!ずるい!シーナずるいぃぃ!」
そしてまた騒ぎ出す友人。流石に五月蝿いと思ったので、頭にチョップを御見舞してやった。
「いだっ!」
「五月蝿い」
「いや、チョップする前に先に言おう!?何でチョップが先なのかな!?」
「めんご」
謝ってやったのに、絶対思ってないよね!?などと失礼極まりない事をいつまでもブツブツ言っている友人を置いて、椎名は自分の席に座った。
「シーナは進路決めた?」
いつの間にこちらに来たのか。目の前には舞が立っていた。
「んーん、決めてない。舞は?決めた?」
「もっちろーん!私は神楽坂高校に行く!」
舞は、椎名の目の前で仁王立ちし、いいだろー!的なドヤ顔で立っていた。
神楽坂高校はそこそこ有名な高校だ。ほかの高校と違い、珍しいところは寮生である事と、中学校から大学までエスカレーター式の高校だということころだ。
そして椎名は疑問に思った。神楽坂高校は男子校だったような、と。
「神楽坂って男子校じゃないの?」
「実はねー神楽坂は来年から共学になるの!そこで私は彼氏作る!チヤホヤされたい!!」
人間の欲望丸出しな友人に、椎名は呆れを通り越して感心さえ覚えた。
そもそも、椎名と同等の美少女である舞が何故彼氏が出来ないのか、いや、何故彼氏がいないのか、それは舞の性格故である。舞は基本、テンションが高く、何事にも楽観的だ。その為歴代彼氏達からは君のテンションについていけない、と言われ振られるのだ。
椎名は少しでも落ち着きを持てば彼氏と長く続くのでは?と思ったが、舞がそれは無理、と断言していたので諦めた。
椎名は考えた。その、高校には男子が沢山いる。ならば、私が惚れるような、ドキッとさせてくれるような男子が現れるのでは?と。
「私もそこに行く。」
「ほんと!?やったー!!またシーナと一緒にいられる!………ん?待って!やっぱ来ないで!」
「え、なんで?」
椎名は舞の言葉にショックを受けた。椎名は舞の扱いに関して極めて雑だが、それは信頼の裏返し。こんな扱いをしても自分の友達でいてくれると思うからこそ出来る行為だ。
もしかしたら、それが嫌だったのかもしれない。そう考えた椎名は咄嗟に謝ろうとした。
「ご、ごめ___」
「だって、椎名が来たら、男子全員が椎名好きになっちゃうでしょ!そんなんじゃ私彼氏出来ないじゃん!!って、なんか言った?」
結構、どうでも良かった。
「いでっ!ちょ、何故デコピン!!」
「あ、ごめん、ついイラッとして、ね?あ、高校では私と一緒にいたら男子に積極的に話しかけてもらえると思う。」
「よっし、シーナ、二人で一緒の高校行こーね!!私らズッ友!」
チョロい。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる