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本編
⒌ 不思議な鬼ごっこ
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「__それじゃあ院瀬見、これ、職員室までよろくな~」
「はい、わかりました。」
「いやぁ、本当にお前は優等生で助かるわ。」
「ははっ、そんな事ないですよ。」
それはある日の放課後の事。椎名が生徒会室へと向かう途中に、一年C組の担任だと思われる男性教師と爽やかイケメンの院瀬見 要が話しているのを見つけた。どうやら椎名が見る限りでは、院瀬見が教師に頼み事をされているようだった。よく見ると院瀬見の両手には一クラス分のノートが抱えられている。
その現場に遭遇した椎名は咄嗟に物陰に隠れてしまった。
その理由は、簡単に言うと院瀬見が苦手だったからだ。どこが?と問われても具体的には答えることは出来ない。強いて言うなら、その雰囲気。院瀬見が纏っている全体的なオーラが苦手だった。それも、椎名の第六感が危険だと告げていたのだ。
「…………チッ」
その時誰が舌打ちをした音がした。椎名は顔を上げ辺りを見回しす。どうやら、教師は椎名が考え事をしているうちに、何処かに行ってしまったようで、椎名と院瀬見以外周りに人は見当たらない。
椎名はもちろん、舌打ちなんてしていない。
ならば院瀬見が舌打ちを?あの、胡散臭い笑顔をした爽やか風イケメンが?
そこまで考えた時、院瀬見が独り言をブツブツと言い出した。
「………なんで、俺がこんな事……マジめんどくせぇ。あんの、くそ教師、俺以外に頼めっての………」
院瀬見はそう、ブツブツと言いながら、近くに設置された消化器を蹴り上げた。……あ、消化器がへこんだ。
椎名は思った。こいつ、猫がぶりかよ………と。
そして、何故自分が院瀬見に苦手意識を持っているかもわかった。きっと椎名は自身の第六感で感じとっていたのだろう。院瀬見が腹黒野郎だと言うことを……。
その事実を知った椎名は同時にこんな事を思った。
「舞に、教えてあげないと……」
そう、舞に教えようと思ったのだ。どうやら、舞は院瀬見に目をつけていて、自分の彼氏候補にしているらしい。椎名は自分の大切な友人をこんな野郎に任せるのは絶対に嫌だと思い、つい、思った事を口にしてしまったのだ。
大事な事だから二回言おう。椎名は口に出してしまったのだ。
「___あ」
椎名がそれに気づいた時、もう遅い。院瀬見は完全にこちらに気づき、驚いたように目を見開きながら椎名を凝視していた。
院瀬見が椎名に気づいている事に気づいた椎名は、いつもの無表情を崩し、「やっちゃった」的な表情をした。
そして、直ぐにUターンをすると今歩いて来た廊下を全力疾走した。
「……あ、ちょ、黒川さん、なんで逃げるの~?」
椎名が全力疾走を開始すると、院瀬見は両手に持っていたノートを床に投げ捨て、椎名を追いかけてきた。
なんで追いかけてくるんだコンチクショウ、と思いながら全力で足を動かす黒川椎名、15歳。
胡散臭い笑顔を浮かべながら追いかけてくる院瀬見要15歳。
「……逃げてない。これは戦略的撤退。」
「いや、それ、逃げてるよね?」
「違う。」
椎名は全力で走っているのだが、やはり男女の身体能力的な差がある。そのせいか、どんどん椎名と院瀬見の距離は縮まっていった。
案の定椎名は院瀬見に追いつかれ、腕を掴まれると一瞬で壁に追いやられた。それから、院瀬見は壁にドンと手をつきながら、ドヤ顔していた。
所詮、壁ドンと言うやつである。
椎名は常日頃から少女漫画のような恋愛をしたいと思っている。そのため、勿論壁ドンも知っている。今まで読んできた数他の少女漫画でも壁ドンの描写があった。その度に主人公は「ドキッ」としていたのを思い出す。
そして椎名は自分に問う。「自分はドキッとしているか?」と。答えは否である。
まったく、これっぽっちも「ドキッ」としない。前に、男性の友人に壁ドンをしてもらった時も「ドキッ」としなかった。
椎名はたまに思う。自分には一生「ドキッ」と出来ないのではないか、と。
「……手間かけさせやがって。なぁ、黒川さん?」
そう言いながら、顎クイをしてくる目の前の男に椎名は鳥肌がたった。そして、こんな気持ち悪い事をよく堂々と出来るな……と椎名の心情は関心半分、呆れ半分といった感じだった。
まぁ、気持ち悪い事には変わりないので椎名の顎に添えられている院瀬見の手を、はたいて叩き落とす。
「触んないで。鳥肌がたつ。」
と、言い終わると同時に椎名は院瀬見の顎を下から思いっきり殴った。
「グハッ……!!」
顎を殴られた院瀬見は壁に突き出していた腕を咄嗟に離し、殴られた顎を手で覆いながら痛みに悶えていた。
椎名はその隙を見逃さずに、一目散に逃げ出した。
「……あんのクソ女……!!待て!!」
数十秒後、時間と共に顎の痛みが少し和らいだ院瀬見は、いつもの爽やかフェイスを崩し、顔面に青筋を浮かべながら椎名を追いかけた。
___あれは、まさしく………『修羅』だった……
顔面に青筋を浮かべた院瀬見を見かけた男子生徒は、後にこう語ったと言う……。
……………
…………
………
椎名が今走っている廊下はちょうど一年のクラスが並ぶ階層だ。そんなところで走っていたら当然同じ学年の人に会うかもしれないわけで………
「えぇっ?椎名ちゃんなんで走ってんの?!……あ、ちょ、無視しないで!!俺泣いちゃうよ?!」
椎名が一年A組の前を通る時、狙ったかのようにA組の教室から、コミュ力チャラ男の八重樫 海斗が現れた。八重樫はカバンを持っていることから、どうやら帰るつもりだったらしい事が分かる。
そして、教室から出たところ椎名が走っているところを発見したらしい。
椎名も八重樫に気づき、声をかけられた事にも気づいていたが、今はコミュ力チャラ男に構っている暇なんてない、と八重樫を気にせず走り去った。
「待て、黒川!逃げるんじゃねぇーよ!!」
「え、要?ちょ、なんで椎名ちゃん追いかけてんの?!てか、顔怖っ」
そして、椎名に無視されて落ち込んでいる八重樫の前を、顔面凶器と化している、院瀬見が通り過ぎた。
八重樫と院瀬見は小学校からの付き合いだったりするので、院瀬見が猫かぶりなのは既に知っていた為、特に驚く事はない。
だが、院瀬見が椎名を追いかけているのには心底驚いた。しかも院瀬見は顔面に青筋を浮かべて、めちゃくちゃご立腹だ。
「あぁっもう!だから、無視すんなってぇ!!泣くぞ!?俺マジで泣いちゃうぞ!?」
院瀬見は八重樫に気づいたが、椎名同様構っている暇はないと切り捨て、八重樫の前をはしりさった。
椎名と院瀬見に無視された八重樫は若干涙目だ。
「てか、なんで椎名ちゃん追いかけてんだろ……」
八重樫は椎名と院瀬見が嵐のように通り過ぎて行き、再び静けさが戻った廊下でそんな事を呟いた。
「しかも要怒ってたし……椎名ちゃん、なんかしたのかな?」
そして、八重樫は同時にこんなことを思った。自分が椎名を助けたら好感度爆上がりなのでは??と。
「よっし!椎名ちゃんを助けよう!!」
八重樫はその言葉を言い終わる前に、持っていたカバンを投げ捨て、椎名と院瀬見を追いかける為に走り出した。
こうして不思議な鬼ごっこメンバーに、八重樫が加わったのだった………。
……………
…………
………
現在椎名は一年のクラスが並ぶエリアを通り終わる頃だった。少し後ろを振り返れば、相変わらず顔面に青筋を浮かべて追いかけてくる院瀬見と、その後ろから何故かニヤニヤしながら追いかけてくる八重樫がいた。
椎名はなんで八重樫に追いかけられてるんだ?と思いながら、八重樫の好感度を少し下げつつ、必死に足を動かしていた。
しばらく走ると職員室が見えてきた。職員室は一年の教室と同じ階層にある。職員室の前を通るのは教員に見られそうで嫌だったが、後ろから猫かぶりとチャラ男が追いかけてくる為、引き返す事が出来ないのだ。
椎名はそのまま止まらずに走り続けた。誰にも見つかりませんように、と何度も心の中で願いながら……。
「ん?黒川?」
職員室の扉の前を通り過ぎた時、またもや狙ったかのように職員室の扉が空いた。そして、その扉を開けた人物は、今、最も椎名が会いたくない暑苦しい生徒会長、五十嵐漆間、その人である。
何故、最も会いたくないのか。それは絶賛生徒会サボり中だからだ。そして、もっとやばい事はただ今絶賛廊下を全力疾走中だからである。この暑苦しい生徒会長は廊下を走っている生徒なんて見かけたら絶対に教員以上に注意する、そう思った為である。
「むむ?何故黒川は廊下を走っているんだ!!あ、こらっ、待て!」
ほら、やっぱり。
捕まったら絶対に面倒臭いのでここは戦略的撤退あるのみ。……………まぁつまり、問題を先送りしただけである。
「む?!一年B組院瀬見要!一年A組八重樫海斗!何故廊下を走っているだ!」
「「げっ、生徒会長」」
椎名が五十嵐を完全に通り過ぎたところで、五十嵐は院瀬見と八重樫に気づき、これまた椎名と同じように注意した。院瀬見と八重樫も五十嵐に気づくと、「やべぇっ」的な顔をした後、そのまま止まらずに五十嵐の前を走り去った。
これも、後から絶対に怒られる事は変わらないので、唯々問題を先送りにしただけである。
無視された五十嵐はと言うと………
「これは生徒会長である俺がしっかりと注意せねば!!」
と言いながら、自分も走り去って行った椎名達三人を注意するべく走り出した。
生徒会長は自分も廊下を走っている事に気づいていない。もしかしたら我らが生徒会長は暑苦しいバカなのかもしれない………
こうして、不思議な鬼ごっこメンバーに五十嵐が加わったのだった………。
椎名が逃げて、院瀬見がそれを追いかけて、八重樫がその二人を追いかけて、五十嵐がその三人を追いかける……
なんともカオスな鬼ごっこの誕生である。
「はい、わかりました。」
「いやぁ、本当にお前は優等生で助かるわ。」
「ははっ、そんな事ないですよ。」
それはある日の放課後の事。椎名が生徒会室へと向かう途中に、一年C組の担任だと思われる男性教師と爽やかイケメンの院瀬見 要が話しているのを見つけた。どうやら椎名が見る限りでは、院瀬見が教師に頼み事をされているようだった。よく見ると院瀬見の両手には一クラス分のノートが抱えられている。
その現場に遭遇した椎名は咄嗟に物陰に隠れてしまった。
その理由は、簡単に言うと院瀬見が苦手だったからだ。どこが?と問われても具体的には答えることは出来ない。強いて言うなら、その雰囲気。院瀬見が纏っている全体的なオーラが苦手だった。それも、椎名の第六感が危険だと告げていたのだ。
「…………チッ」
その時誰が舌打ちをした音がした。椎名は顔を上げ辺りを見回しす。どうやら、教師は椎名が考え事をしているうちに、何処かに行ってしまったようで、椎名と院瀬見以外周りに人は見当たらない。
椎名はもちろん、舌打ちなんてしていない。
ならば院瀬見が舌打ちを?あの、胡散臭い笑顔をした爽やか風イケメンが?
そこまで考えた時、院瀬見が独り言をブツブツと言い出した。
「………なんで、俺がこんな事……マジめんどくせぇ。あんの、くそ教師、俺以外に頼めっての………」
院瀬見はそう、ブツブツと言いながら、近くに設置された消化器を蹴り上げた。……あ、消化器がへこんだ。
椎名は思った。こいつ、猫がぶりかよ………と。
そして、何故自分が院瀬見に苦手意識を持っているかもわかった。きっと椎名は自身の第六感で感じとっていたのだろう。院瀬見が腹黒野郎だと言うことを……。
その事実を知った椎名は同時にこんな事を思った。
「舞に、教えてあげないと……」
そう、舞に教えようと思ったのだ。どうやら、舞は院瀬見に目をつけていて、自分の彼氏候補にしているらしい。椎名は自分の大切な友人をこんな野郎に任せるのは絶対に嫌だと思い、つい、思った事を口にしてしまったのだ。
大事な事だから二回言おう。椎名は口に出してしまったのだ。
「___あ」
椎名がそれに気づいた時、もう遅い。院瀬見は完全にこちらに気づき、驚いたように目を見開きながら椎名を凝視していた。
院瀬見が椎名に気づいている事に気づいた椎名は、いつもの無表情を崩し、「やっちゃった」的な表情をした。
そして、直ぐにUターンをすると今歩いて来た廊下を全力疾走した。
「……あ、ちょ、黒川さん、なんで逃げるの~?」
椎名が全力疾走を開始すると、院瀬見は両手に持っていたノートを床に投げ捨て、椎名を追いかけてきた。
なんで追いかけてくるんだコンチクショウ、と思いながら全力で足を動かす黒川椎名、15歳。
胡散臭い笑顔を浮かべながら追いかけてくる院瀬見要15歳。
「……逃げてない。これは戦略的撤退。」
「いや、それ、逃げてるよね?」
「違う。」
椎名は全力で走っているのだが、やはり男女の身体能力的な差がある。そのせいか、どんどん椎名と院瀬見の距離は縮まっていった。
案の定椎名は院瀬見に追いつかれ、腕を掴まれると一瞬で壁に追いやられた。それから、院瀬見は壁にドンと手をつきながら、ドヤ顔していた。
所詮、壁ドンと言うやつである。
椎名は常日頃から少女漫画のような恋愛をしたいと思っている。そのため、勿論壁ドンも知っている。今まで読んできた数他の少女漫画でも壁ドンの描写があった。その度に主人公は「ドキッ」としていたのを思い出す。
そして椎名は自分に問う。「自分はドキッとしているか?」と。答えは否である。
まったく、これっぽっちも「ドキッ」としない。前に、男性の友人に壁ドンをしてもらった時も「ドキッ」としなかった。
椎名はたまに思う。自分には一生「ドキッ」と出来ないのではないか、と。
「……手間かけさせやがって。なぁ、黒川さん?」
そう言いながら、顎クイをしてくる目の前の男に椎名は鳥肌がたった。そして、こんな気持ち悪い事をよく堂々と出来るな……と椎名の心情は関心半分、呆れ半分といった感じだった。
まぁ、気持ち悪い事には変わりないので椎名の顎に添えられている院瀬見の手を、はたいて叩き落とす。
「触んないで。鳥肌がたつ。」
と、言い終わると同時に椎名は院瀬見の顎を下から思いっきり殴った。
「グハッ……!!」
顎を殴られた院瀬見は壁に突き出していた腕を咄嗟に離し、殴られた顎を手で覆いながら痛みに悶えていた。
椎名はその隙を見逃さずに、一目散に逃げ出した。
「……あんのクソ女……!!待て!!」
数十秒後、時間と共に顎の痛みが少し和らいだ院瀬見は、いつもの爽やかフェイスを崩し、顔面に青筋を浮かべながら椎名を追いかけた。
___あれは、まさしく………『修羅』だった……
顔面に青筋を浮かべた院瀬見を見かけた男子生徒は、後にこう語ったと言う……。
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椎名が今走っている廊下はちょうど一年のクラスが並ぶ階層だ。そんなところで走っていたら当然同じ学年の人に会うかもしれないわけで………
「えぇっ?椎名ちゃんなんで走ってんの?!……あ、ちょ、無視しないで!!俺泣いちゃうよ?!」
椎名が一年A組の前を通る時、狙ったかのようにA組の教室から、コミュ力チャラ男の八重樫 海斗が現れた。八重樫はカバンを持っていることから、どうやら帰るつもりだったらしい事が分かる。
そして、教室から出たところ椎名が走っているところを発見したらしい。
椎名も八重樫に気づき、声をかけられた事にも気づいていたが、今はコミュ力チャラ男に構っている暇なんてない、と八重樫を気にせず走り去った。
「待て、黒川!逃げるんじゃねぇーよ!!」
「え、要?ちょ、なんで椎名ちゃん追いかけてんの?!てか、顔怖っ」
そして、椎名に無視されて落ち込んでいる八重樫の前を、顔面凶器と化している、院瀬見が通り過ぎた。
八重樫と院瀬見は小学校からの付き合いだったりするので、院瀬見が猫かぶりなのは既に知っていた為、特に驚く事はない。
だが、院瀬見が椎名を追いかけているのには心底驚いた。しかも院瀬見は顔面に青筋を浮かべて、めちゃくちゃご立腹だ。
「あぁっもう!だから、無視すんなってぇ!!泣くぞ!?俺マジで泣いちゃうぞ!?」
院瀬見は八重樫に気づいたが、椎名同様構っている暇はないと切り捨て、八重樫の前をはしりさった。
椎名と院瀬見に無視された八重樫は若干涙目だ。
「てか、なんで椎名ちゃん追いかけてんだろ……」
八重樫は椎名と院瀬見が嵐のように通り過ぎて行き、再び静けさが戻った廊下でそんな事を呟いた。
「しかも要怒ってたし……椎名ちゃん、なんかしたのかな?」
そして、八重樫は同時にこんなことを思った。自分が椎名を助けたら好感度爆上がりなのでは??と。
「よっし!椎名ちゃんを助けよう!!」
八重樫はその言葉を言い終わる前に、持っていたカバンを投げ捨て、椎名と院瀬見を追いかける為に走り出した。
こうして不思議な鬼ごっこメンバーに、八重樫が加わったのだった………。
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現在椎名は一年のクラスが並ぶエリアを通り終わる頃だった。少し後ろを振り返れば、相変わらず顔面に青筋を浮かべて追いかけてくる院瀬見と、その後ろから何故かニヤニヤしながら追いかけてくる八重樫がいた。
椎名はなんで八重樫に追いかけられてるんだ?と思いながら、八重樫の好感度を少し下げつつ、必死に足を動かしていた。
しばらく走ると職員室が見えてきた。職員室は一年の教室と同じ階層にある。職員室の前を通るのは教員に見られそうで嫌だったが、後ろから猫かぶりとチャラ男が追いかけてくる為、引き返す事が出来ないのだ。
椎名はそのまま止まらずに走り続けた。誰にも見つかりませんように、と何度も心の中で願いながら……。
「ん?黒川?」
職員室の扉の前を通り過ぎた時、またもや狙ったかのように職員室の扉が空いた。そして、その扉を開けた人物は、今、最も椎名が会いたくない暑苦しい生徒会長、五十嵐漆間、その人である。
何故、最も会いたくないのか。それは絶賛生徒会サボり中だからだ。そして、もっとやばい事はただ今絶賛廊下を全力疾走中だからである。この暑苦しい生徒会長は廊下を走っている生徒なんて見かけたら絶対に教員以上に注意する、そう思った為である。
「むむ?何故黒川は廊下を走っているんだ!!あ、こらっ、待て!」
ほら、やっぱり。
捕まったら絶対に面倒臭いのでここは戦略的撤退あるのみ。……………まぁつまり、問題を先送りしただけである。
「む?!一年B組院瀬見要!一年A組八重樫海斗!何故廊下を走っているだ!」
「「げっ、生徒会長」」
椎名が五十嵐を完全に通り過ぎたところで、五十嵐は院瀬見と八重樫に気づき、これまた椎名と同じように注意した。院瀬見と八重樫も五十嵐に気づくと、「やべぇっ」的な顔をした後、そのまま止まらずに五十嵐の前を走り去った。
これも、後から絶対に怒られる事は変わらないので、唯々問題を先送りにしただけである。
無視された五十嵐はと言うと………
「これは生徒会長である俺がしっかりと注意せねば!!」
と言いながら、自分も走り去って行った椎名達三人を注意するべく走り出した。
生徒会長は自分も廊下を走っている事に気づいていない。もしかしたら我らが生徒会長は暑苦しいバカなのかもしれない………
こうして、不思議な鬼ごっこメンバーに五十嵐が加わったのだった………。
椎名が逃げて、院瀬見がそれを追いかけて、八重樫がその二人を追いかけて、五十嵐がその三人を追いかける……
なんともカオスな鬼ごっこの誕生である。
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