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分かれ道
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元々怪しい家として張り込まれていたんだと思う。
俊英さんが出入りしていた時から。
家そのものはぱっと見は普通だけど、雲嵐さんが張って、宇然叔父さんが上塗りした結界で守られていたし、幼少期の俺は外出しなかったから、中に王子である俺がいることは気付かれていなかったんだろう。
結界も、俊英さんが自分の隠れ家に張ったものだと思われていたのかもしれない。
そして外に出るようになった俺は色付きのメガネを掛けていたし、何より魔族にはあるまじきスピードで成長していたから見逃されていたんだと思う。
だけど、俊英さんの息子の白英が暮らし始めたことで、この家の注目度が上がった。
雲嵐さんの動向も見張られていただろうし、それは俺もだっただろう。
そんな時にいつもとは違う、一人分ではない量の朝ご飯の買い出し。
しかも瓜や苺まで。
そして俊英さんの帰宅。
さらに大量の昼ご飯の買い出し。
何かが起こりましたよ、って言ってるようなもんだ。
狙われているなんて思っていなかったが、それでも用心しいの俊英さんは俺たちにも用心させた。
まず白英を先に表玄関から行かせてから、自分は裏口から出た。
何事も騒ぎが起こっていないのを確認してから朱里を連れて家を出た俺は、頭上で小さな『縛』という声を聞いた直後、体が動かなくなって意識が遠退くのを感じた。
朱里の手を離さないことだけを強く念じて、俺は意識を手放した。
先を行った白英が道を聞かれた相手から刃物を突き付けられて連れ去られていたことも、裏から出た俊英さんが手練れと対峙していて動きが取れなかったことも、まだ家の中に居たはずの雲嵐さんがどこへ行ったのかも知らずに。
覚醒した朱里の中の山の気が、意識を保ったまま気絶している振りをして、俺と朱里を守ろうとしてくれていたことも。
そしてその時雲嵐さんは、一際強い結界で隠してあった魔界への入口を抜けて、約束の場所へと走っていたのだった。
俊英さんが出入りしていた時から。
家そのものはぱっと見は普通だけど、雲嵐さんが張って、宇然叔父さんが上塗りした結界で守られていたし、幼少期の俺は外出しなかったから、中に王子である俺がいることは気付かれていなかったんだろう。
結界も、俊英さんが自分の隠れ家に張ったものだと思われていたのかもしれない。
そして外に出るようになった俺は色付きのメガネを掛けていたし、何より魔族にはあるまじきスピードで成長していたから見逃されていたんだと思う。
だけど、俊英さんの息子の白英が暮らし始めたことで、この家の注目度が上がった。
雲嵐さんの動向も見張られていただろうし、それは俺もだっただろう。
そんな時にいつもとは違う、一人分ではない量の朝ご飯の買い出し。
しかも瓜や苺まで。
そして俊英さんの帰宅。
さらに大量の昼ご飯の買い出し。
何かが起こりましたよ、って言ってるようなもんだ。
狙われているなんて思っていなかったが、それでも用心しいの俊英さんは俺たちにも用心させた。
まず白英を先に表玄関から行かせてから、自分は裏口から出た。
何事も騒ぎが起こっていないのを確認してから朱里を連れて家を出た俺は、頭上で小さな『縛』という声を聞いた直後、体が動かなくなって意識が遠退くのを感じた。
朱里の手を離さないことだけを強く念じて、俺は意識を手放した。
先を行った白英が道を聞かれた相手から刃物を突き付けられて連れ去られていたことも、裏から出た俊英さんが手練れと対峙していて動きが取れなかったことも、まだ家の中に居たはずの雲嵐さんがどこへ行ったのかも知らずに。
覚醒した朱里の中の山の気が、意識を保ったまま気絶している振りをして、俺と朱里を守ろうとしてくれていたことも。
そしてその時雲嵐さんは、一際強い結界で隠してあった魔界への入口を抜けて、約束の場所へと走っていたのだった。
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