車好きが現実世界に似た異世界に行く話

薄野藍

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提案

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試乗会から3日が経った頃、4人が再び店に訪れていた。

「実は今日はみんなに相談があるんだ」
俺は、一通り車の物色を終えて、のんびりしている4人に向かって口を開いた。

「どうしたんですか?改まって」
みんなが不思議そうな顔で俺を見る。

「俺はここにある車を元にして日本だけの車、日本車を作りたいと思っている。その為にどうすれば良いか案を聞きたいんだ」

「良いと思うッス!ウチも考えるッス!」

「そうですね~、ここの車を広げたいという気持ちは良く分かります~」

「ん、私も良いと思う」

「私も賛成ですが、そう簡単に案なんて浮かびませんよー」
みんな協力的な返事をくれたが、柿野さんの言う通り簡単に案なんて浮かばない

「うーん」

「そうッスねー・・・」

「あ、思いついた」
そう言う根之木さんの案を聞くと、複数の町工場に車を持って行き、それぞれで各部品を作る事だった。
しかし、その案は直ぐに却下された。大量の部品を使う車を複数の町工場に依頼するだけでかなりの費用が掛かってしまう上に、どこに依頼したら良いのかなんて全く分からないからである。

「じゃあ~、こんなのはどうでしょう~」
陽目さんの提案は現実味があり、成功率もそこそこあるだろうと思える内容だった。

「でも、私たち次第になりますね」

「ん、頑張る」

「ウチも頑張るッス!」

「良いのかい?君たちに協力してもらって」
俺は遠慮しながらも、確認する為に言葉を発する。

「任せてくださいよ!」

「もし成功したら~報酬をいただきますからね~」

「もちろんッス!」

「ん、任せてほしい」

「ありがとう、本当にありがとう」
俺は4人に頭を下げながら何度も感謝の言葉を繰り返した。
陽目さんの提案の内容は、日本車でレースに出場して結果を出しまくる、そして知名度を上げた後、大きな企業に日本車を売り込みを行う、簡単に説明するとこんな感じでかなりの難易度を誇るミッションだ。

(たが、上手くいけば日本車を間違い無く広げる事が出来る、やるしか無い)

「当然、日本車を使ってもらわないと意味がないからな、日本車を貸し出すよ」

「やったッス!シビックに乗りたいッス!」

「私は~WRXstiにもう一度乗りたいです~」

「私はGR86があるもん!」

「私は、色々な車に乗りたい」

(4人ともやる気十分で頼もしい限りだ)
俺たちは、参加者募集中のレースに早速エントリーをして記念すべき第1戦に臨むための準備を行うのだった。

俺たちの初戦はそう遠くはない。
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