ギフテッド・サークル

HAKOdateあんこ

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第1話 追われる日常

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「今日は何食べようかな。」
僕は、ぼーっとして、数秒間、お昼ご飯に悩んでいた。この唐揚げ定食でいいかな。こうして、今日も午前の授業終わりの12時30分、食券を押した。そして、食堂のカウンターの方へ足を運ぼうとした。その時、軽やかで優しそうな女の子の声が聞こえた。

「やぁ駒込くん!元気?」

そこには幼馴染の顔があった。僕に話しかけたのは、大学の同学年であり、年は18で僕より一つ下の上植桜だった。

「元気だよ、たぶん。いつも通りには。」
ぼくはいつもこんな感じだ。

「たぶんってなによ、もっと元気出さなきゃ!」
いや、今日も元気なんだけどな。
「なに悩んでんの?」
上植さんは頭を傾けて、不思議そうな表情を浮かべた。
「何もないよ、ちょっと考え事してた。」
なに食べるか悩んでただけなんだよな。
「ふーん、そっか!」
納得してくれた。ここで話の流れを変えないとな。
「ところで、上植さん、午前中の数学の授業どうだった?」
午前中、彼女は授業を取っている事が多かったはずだ。
「うん、面白かったよ!看護学の授業だったの、ちょっと難しかったけど」
「それと、何か変わったことは?」
「なにも、無いよ!大丈夫だよっ!」
そうか、それならよかった。
何事も無い事が一番だもんな。こうやって彼女がしていたことを聞いてその反応を楽しむのが僕の日課になっていた。そうだ、それより、上植さんは、学食一緒に食べるのかな。ちょっと聞いてみようかな。

「ねぇ、駒込くん一緒にご飯食べようよ!」
やっぱり食べるんだ。
「ありがとう。」
こうやって、今日もお昼を一緒にする、僕のひとときの楽しみだった。彼女は、うどんの食券を押していた。
「ちょっと、人気のないあっちの席にしようよ」
「あっちにしようか。」
そういって、食堂を、出て外のベンチに食事の乗ったお盆を置く。

「ねぇ、最近、帝国政府の監視が強くなってきているの知ってる?」
「あぁ、知ってる。ネットニュースで見た。また、刑務所送りなんだってね。」
実際は、どうなってるか分からないが。恐らく、政府によって殺されてると思うが。
「ま、大丈夫でしょ!」
あんまり、緊張感なさそうだな。
「こうして僕らが、世界教を信じているのがバレるのも時間の問題かもな。」
「大丈夫だって!まだ、この大学で政府に捕まった人はいないみたいだし。」
まぁ、たしかに。
「それにさ、この大学でサークルも作ったけど、それもまだバレてないし!」
「それも、そうだな。表向きは、超常現象研究会になってるからな。実際は、ただの信者サークルだけど。」
「だだの、は余計だよ!もう!」
怒られた。
「それより、メシ、食べよう、冷めるし。」
「そうだね!話が長くなっちゃた、いただきます!」
そういって、上植さんは、うどんを箸でずずっとすすった。
「なに見てんの?駒込くんもご飯、食べなよ!」
「ごめん。いただきます。」
僕も定食の唐揚げを箸で掴み、口に頬張った。美味いな。この平和な日常がずっと続いて欲しい。そう思った。

「ん、、、?」
なんだろう、緊張感のような身体に刺さる気配を感じた。遠くの方から誰かに見られているようなこの気配。
「っ、、。上植さん、ごめんちょっと触る。」
「えっ!?」
殺気を感じた。僕は自身の個聖、『空間移動(テレポーテーション)』を使い、建物の陰に上植さんと身を隠した。
「駒込くん、何か感じたの?政府の監視官かな?」
「分からない。でも、気配というか、殺気を感じた。」


『空間移動』は、自分の立ち位置から半径10メートル圏内について、自分と自分の手で触れたものを転移させる能力だ。


「…殺気が消えたな。」

「そう?」
「なんだったんだろうな…。」

そう言って、あたりを見回す。建物の屋上や木の陰を見回したが誰もいなかった。
「それより、こ、駒込くん、この手を離してもらえると、、助かるかな、、!」

うん?あっやってしまった、咄嗟に掴んだ彼女の手首を強く握ったままだった。彼女の顔は少し赤くなっていた。僕は慌てて手を離した。

でも、今の気配、何だったんだろう。心に不安がよぎった。

「ベンチに戻ろうか。」
「…そうだね!それと、、さっきはありがとう」

そういって、僕は食べかけの唐揚げを口に入れた。今日は、一度この事についてサークルで話し合った方が良いかもな。
「今日、授業終わり、サークル集合な。」
「うんっ!」
そういって今日のお昼は終了となった。
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