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第3話
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「僕もね…」
今度は猫が語り始めた。
僕が気づいた時。
辺りは雪がシンシンと降っていて、とにかく寒かった。街の木や建物はイルミネーションで彩られていて、その中を恋人達が甘いムードを出して流れていく。
このままでは、死んでしまう。誰かに助けて貰わなきゃ。と思った僕は、とにかく叫んだ。「助けて」と。
でも、その声は小さく誰の耳にも入らない。こんなにも人が通っているというのに…
本当にここで死ぬのか。
諦めかけた。
その時だった。
一人の女の人が僕が入っているダンボールの中を覗き込んだ。
「あら…猫ちゃん。大丈夫?凍えてしまうわ」
助かったと思った。
この人に一生感謝しようと思った。
僕はその女の人に抱き抱えられて温められた。
あたたかい。
ああ。今僕は生きてるんだ。
実感した。
だけど、その時間もあっという間に終わった。
僕と女の人の方に向かって1台の車が突っ込んできた。
女の人は僕を咄嗟に自分の鞄にいれて、その鞄を自分の体で包み込んだ。
そう。僕を庇ったのだ。
車が彼女にぶつかり、「ドスッ」という重い音が響く。道路に彼女の血が流れる。
「キャーーー」と叫び声があがり、すぐに救急車という乗り物に彼女は連れられていかれた。
ねぇえ…この人はどうなっちゃうの?
不安でいっぱいだった。
その時。彼女が寝ている部屋に何か叫びながらやってくる少年がいた。
出ていけ!と叫んだが、その少年の叫び声によって掻き消された。
彼女の命が尽きると、少年は僕を抱えてどこかに向かった。
僕が「離せ!!」と訴えても、まるで何もかもが聞こえていないかのように無心で歩き続ける。
「これが僕と君のお母さんとの出会いだよ」
「僕もう寝るね…」
「うん」
猫は察してくれたのか、何も言わずに眠りについた。
朝がやってくる。
今日は命日。クリスマスだ。
もちろん僕にプレゼントなんてない。
ベッドから起きて、トイレに向かおうとする。
隣には猫が自分の頭に赤いリボンを付けていた。
「何してるの?猫」
猫は恥ずかしそうにして言った。
「僕が君のプレゼントさ。君は愛を望んだ。僕はその愛を君にあげる」
「ね…こ…」
僕の目から一筋の涙が零れた。
「だから、僕にも名前を頂戴。僕は猫じゃない」
「そうだな。じゃあルフはどうかな?」
僕は目に溜まった涙を手で拭いながら答える。
「ルフ…いい名前だ。僕は気に入った」
「そうか。よかった」
「これで、僕の猫だな」
「そうだね。でも僕は、そうたのお母さんの猫でもあるんだよ。僕を助けてくれたのは、あのクリスマスのイブの日。そうたのお母さんが拾ってくれたからだからね」
猫もまた、お母さんが死んだ事を悲しみながらも、僕とルフの間に出来た絆に対しても泣いていた。
「それにしても、そのリボンどうしたんだ?」
「なっ!これ付けるの大変だったんだよ!」
僕がルフをからかうと、ルフは足をバタバタさせて答えた。
その姿が面白くて、笑った。
とにかく笑った。
笑い疲れた頃に僕はルフに言った。
「これからは、お互い一人じゃなくなるね。ルフ」
「そうだね。そうた」
そうして、一人と一匹はまた笑いあった。
これは、クリスマスの中で一番の贈り物で、この日は一人と一匹にとって最高の日となっただ。
おわり────
今度は猫が語り始めた。
僕が気づいた時。
辺りは雪がシンシンと降っていて、とにかく寒かった。街の木や建物はイルミネーションで彩られていて、その中を恋人達が甘いムードを出して流れていく。
このままでは、死んでしまう。誰かに助けて貰わなきゃ。と思った僕は、とにかく叫んだ。「助けて」と。
でも、その声は小さく誰の耳にも入らない。こんなにも人が通っているというのに…
本当にここで死ぬのか。
諦めかけた。
その時だった。
一人の女の人が僕が入っているダンボールの中を覗き込んだ。
「あら…猫ちゃん。大丈夫?凍えてしまうわ」
助かったと思った。
この人に一生感謝しようと思った。
僕はその女の人に抱き抱えられて温められた。
あたたかい。
ああ。今僕は生きてるんだ。
実感した。
だけど、その時間もあっという間に終わった。
僕と女の人の方に向かって1台の車が突っ込んできた。
女の人は僕を咄嗟に自分の鞄にいれて、その鞄を自分の体で包み込んだ。
そう。僕を庇ったのだ。
車が彼女にぶつかり、「ドスッ」という重い音が響く。道路に彼女の血が流れる。
「キャーーー」と叫び声があがり、すぐに救急車という乗り物に彼女は連れられていかれた。
ねぇえ…この人はどうなっちゃうの?
不安でいっぱいだった。
その時。彼女が寝ている部屋に何か叫びながらやってくる少年がいた。
出ていけ!と叫んだが、その少年の叫び声によって掻き消された。
彼女の命が尽きると、少年は僕を抱えてどこかに向かった。
僕が「離せ!!」と訴えても、まるで何もかもが聞こえていないかのように無心で歩き続ける。
「これが僕と君のお母さんとの出会いだよ」
「僕もう寝るね…」
「うん」
猫は察してくれたのか、何も言わずに眠りについた。
朝がやってくる。
今日は命日。クリスマスだ。
もちろん僕にプレゼントなんてない。
ベッドから起きて、トイレに向かおうとする。
隣には猫が自分の頭に赤いリボンを付けていた。
「何してるの?猫」
猫は恥ずかしそうにして言った。
「僕が君のプレゼントさ。君は愛を望んだ。僕はその愛を君にあげる」
「ね…こ…」
僕の目から一筋の涙が零れた。
「だから、僕にも名前を頂戴。僕は猫じゃない」
「そうだな。じゃあルフはどうかな?」
僕は目に溜まった涙を手で拭いながら答える。
「ルフ…いい名前だ。僕は気に入った」
「そうか。よかった」
「これで、僕の猫だな」
「そうだね。でも僕は、そうたのお母さんの猫でもあるんだよ。僕を助けてくれたのは、あのクリスマスのイブの日。そうたのお母さんが拾ってくれたからだからね」
猫もまた、お母さんが死んだ事を悲しみながらも、僕とルフの間に出来た絆に対しても泣いていた。
「それにしても、そのリボンどうしたんだ?」
「なっ!これ付けるの大変だったんだよ!」
僕がルフをからかうと、ルフは足をバタバタさせて答えた。
その姿が面白くて、笑った。
とにかく笑った。
笑い疲れた頃に僕はルフに言った。
「これからは、お互い一人じゃなくなるね。ルフ」
「そうだね。そうた」
そうして、一人と一匹はまた笑いあった。
これは、クリスマスの中で一番の贈り物で、この日は一人と一匹にとって最高の日となっただ。
おわり────
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