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4 番
俺たちも所詮 番 ※
しおりを挟む番になって良かったと思うことは、ヒートが他の人にばれないことや抑制剤を飲まなくても大丈夫になったこと。
聖人以外に反応されないから、超楽ちん。
Ωバレを心配しなくてもいいし、襲われるかもって怯えなくてもいい。
何で早く番になっておかなかったんだろ。すっごい便利じゃん、これ。
今日もヒートだから聖人のお迎えで、今週末はこのままお泊まり。
今日は待ちに待ったウフフの日なのさ。
校門から離れた場所に車が見えた、聖人だ。駆け寄ってドアを開けて乗り込む。
「至生さん、お疲れさまです」
「聖人、ありがとう」
バタンと車のドアを締め、車が発進し始めたとたん聖人の涼やかな匂いが、ヒートで感覚センサー倍増の俺の鼻腔いっぱいに広がる。
聖人の匂いでスイッチが入ったのか、俺の心臓はドクンと跳ね上がり、どくどくと鳴り出した。身体もじわりじわりと熱くなってくる。
想定できる、これからの俺予報。
ヒートの熱で顔が赤らみ、目はうるうるになるでしょう。そのあとには股がびしょびしょになり、発情して手のつけられない聖人限定のビッチになるでしょう。
では、よい週末を!
お天気お姉さん風の脳内ナレーションをつけてアホな事を考えていたら、聖人に声を掛けられた。
「……至生さん、昼に抑制剤を飲みませんでしたね」
聖人は俺の強い匂いを嗅いだのか嫌そうな顔をしている。
「――いいじゃん、どうせ聖人と一緒にいるんだし、するんだし……んんっ」
……来た、来た。
じりじりと股の奥が熱くなってくるこの感じ。中もずきずきしてきたぞ。
呼吸も早まってくる。
俺が大きく息を吐いても、熱はちっとも体内から逃げていってくれない。
車のシートに斜めに寄っかかり、緩めたネクタイを引き抜くと胸許のボタンを一つ一つ外していく。
しかし車内の密閉空間だからとはいえ、なに、このフェロモンに対する身体反応。すごすぎるんですけど。
腰の奥がもぞもぞと疼いてきた。
俺は頭がぼやんとしてきて、身体が熱くてたまらなくなってきた。
「あっ……」
中から、とろりと漏れるものがあって思わず声が上がってしまった。
俺はぼやける頭で、ヒートの時の聖人の愛撫を思いだしていた。
――俺の胸の突起に触れる聖人の舌。
にゅるりとした感触が俺の胸許から喉へ這い上がってきた。
指が俺の先走りでぬるついた性器に絡みつき、優しく上下にこすってくる。
ヒートで性器と化した穴に舌や指を這わされる。指の腹で押されながらかき回されると中からあふれ出た愛液が会陰を伝いシーツをぬらしていった。
んぅ……ん。
俺の手はいつの間にかズボンの中に伸び、股間を触っていた。
ちょうど車はマンションの駐車場についたところだった。聖人が車を停車させ後部座席を振り返った時、俺はびくびくと大きく震えていた。
*
「全く、あなたって人は!」
顔を真っ赤にさせた聖人はくの字になって動けなくなった俺を担ぎあげ、部屋に向かう。
俺はヒートだからか賢者にならずに、ぼやっとした気怠い余韻に包まれていた。
振動も腰まで響き……心地がいい。
バタンと乱雑に閉められる玄関ドア。
ドタドタと廊下を突き進む足音。
そのまま寝室のベッドに転がされた。
「俺がですね、……抑制剤を飲んでいなかったら、途中で事故を起こしていましたよ。それだけあなたの誘惑は俺には効くんです。今後、移動の際は必ず抑制剤を飲んでください」
聖人は顔を赤くして俺に怒っている。
でもあの赤らみは怒りだけじゃないはずだ。だって俺に触れた聖人の手は、やけに熱かったのだから。
「はぁ……、だって抑制剤を俺が飲んじゃったら、お互い薬が切れるまで……冷静なままじゃないか。俺、少しでも……早く聖人とぐちゃぐちゃ……したい……」
体内が乱れると言葉もかすれてしまいスムーズに出てこない。
股奥がじんじんと強く疼いてきた。
これはさっき聖人に触れてしまったから余計に反応が強まった気がする。
俺は切なくて涙が滲む目で聖人を見つめ、助けを求める。
「……聖人……つ、つらいよ……助けて」
聖人がぎゅうっと抱きしめてきた。俺は沢山の聖人の匂いに包まれる。
「もう、俺の忍耐を試すようなことをしないでください……。俺はあなたの事だと冷静でいられないんだから……」
俺の髪や顔を撫でながら、苦悶を抱え切なそうに俺を見てくる。聖人のこんな顔は初めてみた。
俺は聖人を試そうなんて思ってなくて、単にエロい事を考えていたら無意識で触ってしまっていたという、ただ、それだけだった。
聖人は何か誤解していたけど、俺の身体の中では酷い暴風雨が吹き荒れていて訂正するどころじゃなかった。
「分かっ……」返事を言っているそばから唇は塞がれてしまい、返答は途中で消えてしまう。
二人を隔たる邪魔な着衣は脱がされ、肌がむき出しになる。
ブリーフは俺が出したもので濡れ色が変わっていた。足を持ち上げ脱がされた時、糸を引いているのが見えた。ヒートじゃなかったら恥ずかし過ぎて悶絶してる。
聖人に抱きしめられ、唇を塞がれる。
聖人の手が全身を這い回り、ヒートで全てが過敏になっている俺は歓喜の声を上げた。
聖人の指が俺のびしょびしょに濡れ性器と化したあそこに触れてくる。ぐちゃぐちゃと中を音を立てながらかき混ぜられると気持ち良すぎて昇天しそうだ。
聖人は枕元をがさがさ言わせると「もう、挿れますよ」と聞いてきた。
そんな事、聞かなくていいから早く挿れて欲しい。ずきずきする中の疼きに切羽詰まっている俺は必死に頷いた。
熱くて硬いものが俺の蕩けた腸壁を広げながらゆっくり体内に収まってくる。
俺は歓喜にぞくぞく震え、嬌声をあげながら聖人の背中に手を回していた。
*
しばらくしてから、俺は抑制剤を飲んだ。
俺が薬を飲めば聖人は抑制剤を飲むのをやめてくれる。俺は聖人の乱れるところが見たいんだ。
ヒートの獣のようなセックスも楽しいけれど、反応が過敏過ぎてしんどくなってしまう。
最近では抑制剤を飲み、長時間裸でいちゃいちゃして、催したら繋がっていた。
*
俺には常々不思議に思っていたことがある。俺は番になる前から聖人の匂いにしか強い反応を示さなかった。
自慰の時も、αの先輩の時も、ヒートらしい反応があったとしても聖人に対する強い反応とは全然違うものだ。
聖人に話すと、うーんと言って腕を抱えていた。
「昔ですね、おねだりされてあなたの首筋を軽く噛んだ事があるんですよ。でもそれって俺がα判定を受ける大分前なんですね」
へぇって思った。
全然覚えてないけど昔の自分をナイスと褒めたたえてやりたい。
「あなたが俺に執着してたのって、それが原因だったのかもしれませんね」
そう言って聖人が少し肩を落とした。
あれ、なんか聖人が少し落ち込んでいるようにみえる。
あれだ、俺は昔から聖人を好きだったけど、その理由を俺が簡易な番にされていたからだと思っている……? そんなこと関係無いのに。
何だか聖人の感情の位置が以前より近い気がする。番になった所為か?
俺は聖人の背後に回って後ろからぎゅっと抱きしめた。
「俺、聖人と番じゃなくても、聖人のこと好きだったと思うよ。俺のことずっと大事にしてくれたじゃん。それだけでも好きにならずにいられないよ」
聖人の顔が俺の腕に触れた。
俺は聖人に対する温かな思いを最大限に膨らまして聖人にぶつけてみた。
聖人に伝わるといいなぁと思いながら。
そんなことを考えていると身体の奥がムズムズしてじんわりと温かくなってくる。
今、俺は抑制剤を飲んでいるけど、無性に聖人としたくなってきた。
「……聖人、やろう」
優しい手が俺の顔に触れてくる。
俺は聖人に顔を触られる事が好きだ。
唇が顔に落ちてくる。
柔らかな唇が俺の皮膚をなぞり、押し当てられる。
俺の背中はそそけ立ち、口からは自分とは思えない甘い声がこぼれ落ちていった。
ジェルを含ませた指が中に入ってくる。
ヒートの名残りでまだ十分柔らかい穴を指でかき混ぜられる。併せて胸の突起を唇ではまれ、唇の感触の合間をにゅるりと舌が這わされてくる。
俺は聖人の頭を抱え悶えていた。
中の強い刺激はむずむずを散らし更なる強い快楽を伝えてくる。
胸からは電流がびりびりと走り腰奥に伝えてくる。
二つは独立しているはずなのに、俺の受け取る快楽は乗算されていた。
「気持ちいいですか?」
「い、いぃ……」
「これは、どうですか?」
「ぁあぁ……あっ、ぐっ」
聖人の指が前立腺をぐにっぐにっと押し込むと、じんとする快楽が全身に広がり、快楽のあまりにのけぞってしまう。勃ち上がった俺の性器は濡れながら揺れていた。
愛撫に感じすぎてぐったりしてきた俺。
足を広げられ熱いものが押し当てられ、ずずっと潤滑剤の滑りを借りて聖人の性器が入ってくる。
俺の中は聖人でいっぱいになる。
俺は聖人の表情が見たくてそろそろと薄目を開けるけれど、聖人にばれて唇で封鎖された。
俺の呼吸が落ちつくと聖人は動き出した。引きの動きは俺をかき乱し、押しの動きは俺を悶えさせる。ぐちゃぐちゃする音と俺から上がる甲高い嬌声が部屋に響いていた。
体勢を変えた時、俺が聖人に聖人が中に入っている感触と喜びを感覚のイメージに凝縮してぶつけてみた。
すると聖人の顔が少し赤らむ気がする。伝わってるのか?
「……聖人、わかる? ……ま、聖人が、俺の中に、入ってる時、は、こんな感じ」
それを指摘すると聖人は恥ずかしがって無言になってしまった。でも、心持ち中が大きくなったような気がした。
俺たちは以前よりも仲良くなった気がした。
番には特別な回路でもあるのだろうか。
番にしか感じないフェロモン。
番に過剰に反応する性感。
番に感じる一体感。
これらは何なのだろう。
抱き合ったことで、さっきの聖人の小さな落ち込みはあっさりと消えてしまったし、俺も聖人と強く結びついたことで、前より凹む事があってもダメージは最小になる気がした。
聖人がいるから他はどうでもいい。
世界中が敵にまわっても聖人は絶対俺の味方。俺の事を信じてくれる存在。
その自信が総じて防御力アップにつながっている。
おでこに唇を落とす聖人。
俺は無性に嬉しくなって聖人に抱きついて自分から唇を合わせた。聖人も嬉しそうな顔をする。それを見るとまた俺も嬉しくなって……繰り返す。これが幸せという概念なんだろうな。
聖人の方が大人で、いつも俺を守ってもらったりしていたけれど、年下の俺でも聖人を支えたり、守れたりすることがあるんじゃないかなとしみじみ思った。
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