僕たちは無邪気に遊ぶ

balsamico

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逆襲

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僕は大きな息と一緒に白くどろりとしたものを吐き出す。下腹部の一部の強い刺激と身体の内部から蕩けてしまうような快楽を身に受け続けて。

黒いシリコンが絶えずぐにぐにと僕の内蔵の熟れた箇所をかき回す。胸元には変な器具がつけられ、そいつは常に突起に一定の刺激を与えてくる。

僕は身体の中は熱がくすぶり、指先などの末端まで伝播していく。
身体をのけぞらせ声帯から発せられる切迫感が増した高い声。徐々に上りくる快楽とともに全身にぶわっと吹き出る汗。身体から排出された幾多の液体で全身が濡れている気がした。

講習は何回も続いた。
事前に伝えられていないこの講習の目的は性的快楽をくみ取れるようにすること。またマスターに求められれば即座に行為を提供できるようにすること。ともに快楽を追えることは幸せなことだと教えられた。

講習の前提として、挿入は器具等で行い、僕らを利用した講師自身の欲求解消は一切行われない。
僕らの所有主はマスターのため、講師から個人的な手出しはされてはいなかった。いやらしい事を散々されて、行為に慣らされても、僕らは清らかな処女童貞? のままだ。

実技講習を受けていない二人はマスターに開発を望まれていないらしい。皆、仲間だったのに二人とは見えない距離が生じた気がした。



ある日、声が枯れるくらい攻められた。全てから解き放たれぐったりベッドの上で横になっていると、距離が遠くなかった講師の緩やかな下衣が盛り上がっているように見えた。

あんな一方的に乱れる姿を見て何も感じていないのはおかしいと常々思っていた。

不意に背後から近寄り、手を伸ばして突然講師のモノをつかんでみた。それは手の中で強くこわばり、力強く脈をうっていた。講師は意表を突かれた顔をしていた。無情にもパシッと払いのけられてしまった僕の手。はたかれひりひりとした痛みで熱い。

振り返った講師のその顔は一瞬だけ目が潤み、泳いでいたように見えた。すぐに普段どおりの無表情に戻るも、僕は見逃さなかった。





棗たちに聞いてみる。皆言いにくそうに抑えたトーンで教えてくれた。誰も講師に直接手を出されていない。そしてこの行為はマスターとの幸せ、ひいては自分の幸せにつながると言い聞かせられていた。

ゴム器具で体内をこねくり回されること、ゴム器具を舐めさせられること、マッサージをさせられること、一挙一動を観察されること、これのどこが幸せななわけ? あの画面の向こうで笑っているマスターとどう結びつくのか、僕にはさっぱり理解出来なかった。


反撃の機会は思いのほか早くやってきた。普段は散々いじられてぐったりするのに、今日に限って余裕があった。ぐったりとした振りをして横になり講師の動きを眺めた。

気持ちが落ちついたら自分の処理をした。べたつく潤滑剤やゴム器具によって出された疑似の液体もこぼさないようティッシュで押さえ、拭きとる。そして浴室で洗い流す。

浴室に向かう振りをする。浴室の鏡ごしに映る講師を観察していると自分に背を向けてごそごそと何かをしているようだ。
シャワーの栓を開け水音を響かせた。

忍び足で講師の背後に周るとズボンの中身を出してこすり立てていた。背後からその手をつかみ、にゅるっと濡れたモノを指で強く握った。

講師は固まって動けない。僕は真正面に回り、自分が散々され不本意ながら身につけさせられた手練手管をフルに活用してみた。

口を開けてこわばりを含んでみた。初めて含んだモノは硬くて熱くしょっぱい。口いっぱい使うので呼吸が苦しかった。

口いっぱい含んで相手に目線をむける。頭の中に僕最大級に捏ねあげたいやらしいイメージをぶつけて挑発してみる。これもここで学んだことだ。

濡れた目で僕を見下ろす講師。
身体は汗ばみ顔は赤らんでいる。何かをふっきったのか、彼は僕を抱き上げベッドに運ぶと唇に吸い付いてきた。

分厚い唇がベチャぺちゃと音を立てて口や喉元を這い回る。ぷくりと立ち上がった乳首を唇ではまれ、舌先でなめ回される。今日既に1度経験済みの粘膜の感覚はさらに鋭くなっている。

前回講習との違いはゆっくり時間をかけて行われていたことが、今はやけに性急なこと。胸を吸われながら潤滑剤をのせた指でぐりぐりと中を攻められる。

講師を見るとやけに切迫している。目が合うと更に激しく口を吸われた。僕の口からは呼吸の合間に「うっ、くっ」としか声が出せない。

中をいじられながら、潤滑剤でぬめる手で僕の前もしごかれる。講師に体勢を変えられた。講師は彼の硬く立ちがるモノと僕のモノを併せて扱きだした。

近接する身体。顔や身体にかかる熱い吐息。熱い相手の存在に先走りと潤滑剤でぐちゃぐちゃと粘つく水音。
身体が熱くなる。

一瞬の強めの刺激に僕の体内から急激に熱がせり上がる。相手の手から吹きあがる僕の体液。イっているのに手の動きは止まらない。キツくてもう何もいえない。

僕を開放してしばらくしてから腹の上にぼたたっと散る講師の白濁。僕の腹の上でビクビク揺れながら残滓が吐き出されていく。
はあはあと今まで片側だけの荒い呼吸だったのが、今は二人だ。


ぬるぬるでべたべたの腹。ぐしゃぐしゃのシーツ。思いっきり痕跡が残っている。こんなことは初めてだ。

「……これってさ、いけないんじゃないの?」

僕は髪をかきあげながら、無知を装い状況を言い立てる。講師は無表情に見える表情のまま、困惑しているように見えた。

その日は無言で二人で身体を洗い部屋を後にした。僕は寮監や皆に何も言わなかったし、講師側からの変更の申出も講習の中断もなかった。どうやらあの行為は、二人だけの秘密になったようだ。

それからの講習、僕は自分が優位にたったことを知る。講師は僕と二人きりになると宝物を扱うようにキスをしてくる。僕に好意を抱いているようだ。

僕が嫌がるキツいことはしないし、僕のことをひたすら舐めまくる。最後はいつも性器を併せてこすりあわせる。
それでおしまい。僕は気持ちがいいだけで、特段講師に対して思うことはなかった。

もうじき僕らはここを出ていくのだ。
最後の講習回では講師は目を潤ませていた。僕は何も思いもしなかった。いや、ちょっとだけ面倒くさいなと、思った。
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