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鬱屈
しおりを挟む2ヶ月ごとに訪れるヒートに合わせて男に抱かれる櫂さんに抱かれる。それとは別に性欲に明かした男に抱かれる。尻が痛い。腹が痛い。痛いだらけだ。
「ほんとはヒート時にお前とやりたい。お前、色気あるし気持ち良さそうだし、いい匂いだからな」
「へえ、そうなんだ」
身体を重ねると気やすさが生まれる。行為後には男と軽口を交わすようになっていた。
男が僕の匂いに反応していたのは意外だった。
ヒート時にそんな惑わされたなんて素振りも見せてこなかったし。吉田さんでも匂いを感じると近づいて来ないからオメガあるあるなのかも。
「櫂はヒート期のお前を俺には絶対やらせないからな」
「ベータだから?」
「俺は一応アルファだ。妊娠を恐れてるんじゃないか? お前、俺に全く反応しないけどな」
そう言われれば男はアルファらしい。体型も容姿も立派だ。櫂さんのセフレ? なだけはある。
彼とは知的な会話を交わした事などないから、そこは分からないけど。
立派の部類と思われる男を前にしても櫂さんに感じるような興奮や沸き立つものを感じない。
ひざ上に抱き寄せられたけど下から見上げて言う。
「そうだね、貴方からは何も感じないよ」
そう言うと男は少し哀しそうな顔を浮かべたので、少し驚いた。
「まあ、身体で感じさせるから覚悟しろ」
そういう男に服はあらかた脱がされてしまった。
*
唾液やローション類でぐちょぐちょの愛撫。身体中を舐められ、何本の太い指で中をかき回される。
僕の身体は男によって作り替えられていた。
精嚢裏にある弾力ある器官には太い指て
後ろから抱かれ刺される。太いそれをのみ込んだ。以前よりは慣れで苦しさがマシになっている。
入り口とイッた直後はきついけど、しばらくじっとしていると時折中が疼いてくる。
「ゆっくり動いてよ」
「お前が言うなんて珍しい、明日は雨が降るかも」
「うるさい、動いて」
「動いてくださいだろ、ほら」
そう言って男は素早く腰を打ちつけてきた。
「あっ」
速い抽挿はキツくて耐えられない。僕は涙ながらお願いをした。
「お願い、ゆっくりして……」
「ちゃんと、言えるじゃない、可愛いな」
男は腰をゆっくりと動かし僕の良いところに当ててくる。違和しかなかった器官は、回数に応じて少しは気持ちよさが汲み取れるものになっていった。
喉の奥まで迫るような強い圧迫に熱い息と甘い悲鳴が漏れる。入り口まで引かれ、浅く前後する動きに前立腺が押され、感覚が…翻弄される。
背後からの手が僕の胸を摩り、乳首をいじってくる。胸と腰はつながっているようで、腰の奥がきゅうっとして男を締め付けた。
口を強く吸われ、こぼれた唾液が顎から喉へ伝っていった。
体勢を仰向きに返され浅く抽送される。前立腺を突かれ僕は頭が真っ白になった。
身体は確実に快楽を汲み取れるようになっている。ただ男に抱かれた後は動けなくなる。
その都度、吉田さんに世話になり恥をさらしている。この状況、男を止めない櫂さんはどんなつもりなんだろう。
もう一つの困惑。定期的に本館に呼び出さる。
僕の年の近い年頃の子から年輩の複数の女性たちの前で、櫂さんとの情交の様子を語るよう求められる。こちらに拒否権はない。
男の存在は櫂さんの名誉に関わるため話さない。僕にはマスターに対する忠誠心がまだあるのだ。
妊娠したか確認したいだけのくせに、それなら検査結果を吉田さんや古平さんから聞けば十分だろう。
「どのような体勢で挿れられたのか」
「櫂は貴方に感じているようか」
これは何かの罰かと思う。あまりにも僕らに対する尊厳がなさすぎる。櫂さんが僕をどんな風に抱いて自分の中に何回射精したかを言うなんて。
質問に答えるのもホントバカらしい。ポルノ鑑賞のネタにされているみたいで本当に不快だ。
最初は不快過ぎて言葉も出なかったけど、相手が望むとおりに少しは話せるようになってきた。話すからには話を盛りに盛ってやる。
「先日は目隠しをされ僕の背後から何度も挿入されました」
「櫂さんは絶倫過ぎるので僕は感じ入って毎回失神してしまいます」
「ヒートなのでお互い身体が熱くなって気がついたら身体中が精液まみれでベタベタです」
僕が発言するたびに見えないキャーという悲鳴が上がっているような気がする。
年が近い女の子が僕を見て顔を赤らめてる。身内の性行為の内容を聴かされれば誰だってそうなるだろう。
雰囲気が櫂さんに似ている。兄妹なのだろうか。目線があうとぱっと目を逸らされた。
あの娘にも僕のような「お部屋さん」が付くのかもしれない。その可能性を感じ入ってそっと目を
伏せた。
*
屋敷で受けた屈辱を抱え部屋に戻る。櫂さんは好きだ。惹かれる。櫂さんとのヒート時の性交は気持ちがいい。淫らな櫂さんを見るのは好きだ。
だけどそれ以外にはうんざりしていた。性交目的に訪れる男にもうんざり。櫂さんは自分の男が他人と寝ていても気にならないのか。
ヒート時のみしか僕を抱けない櫂さんに抱かれること。本館に呼び出されることによって僕がこの屋敷に迎えられた理由を心底理解した。
僕に望まれているのは櫂さんの子ども、かつ、アルファ性をもつ子どもを産むことだ。
きっと僕がアルファの子どもを産めば櫂さんも僕も役目から解放されるんだろう。それまでふざけたこの茶番劇は続く。
ずっと閉じ込められて、子どもを産むよう強要される。
櫂さんの男の相手までさせられて、本館のばばあ達相手にポルノ独演会をさせられてプライバシーもあったもんじゃない。
櫂さん自身もヒート以外には連絡もなく素っ気ない。今さらながら自分の扱いがとても酷いと思った。
櫂さんにお願いして屋敷内の散歩や裁量の範囲は広がってきたけれども、自由にはほど遠いものだった。
僕は検診にくる古平さんに愚痴をこぼし、抱きにくる尻男に暴言を吐き、徐々に性に大胆に奔放にそして淫乱になっていく自分に怯えては、吉田さんに時々あたってなんとなく生きていた。
あの日まで。
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