どうしてそうなるんだよ!!!

藤沢茉莉

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同じて和せず-2

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 普通教室や職員室がある本館と、主に特別教室がある西館は渡り廊下で繋がっている。ただこの渡り廊下というのが厄介で、二階と三階にしかないのである。つまり、一年生の教室がある本館五階から生徒会室がある西館五階へ行くには、三階まで下りてから再び五階に上がらなくてはならない。とんだ欠陥建築だが、ほとんどの生徒が西館の三階以上に用がないとなれば仕方がないのかもしれない。
 食堂か購買か、あるいは図書室に行くときくらいでないと通らない渡り廊下を進み、見慣れない校舎を歩きながら階段を探す。食堂や図書室は一、二階をぶち抜いた吹き抜け状になっているため勝手が違うのだ。
 うろうろと周囲を見回しながら壁沿いを歩いていれば、少し開けた空間が現れる。ちらと覗くと正面の窓際にベンチが置かれている。ちょっとした休憩所かなにかだろうか、と思いつつ視線をめぐらせると、左奥に階段があった。どうやらただの広い踊り場だったらしい。
 本館の方もシンプルとは言い難いが、直感的にわかりやすく過ごしやすい。建てられた時期や設計者など知らないが、同じように作ってくれればよかったのに、と階段を上りながらため息をつく。
 踊り場の窓からは閑散とした中庭がよく見えた。

 五階に着いたところで問題になるのが、生徒会室の場所である。踊り場から顔を覗かせて左右を見ると、真っ直ぐ続く廊下には重厚そうな扉と、その横に四角いプレートがついていた。おそらく部屋の名前が書いてあるのだろう。
 さすがにその辺りは親切で助かった。木の板を彫って作られたらしいプレートの枠は繊細な模様が施されていて芸術的だ。これで書いてある文字がもっと読みやすければ完璧なのだけれど。
 プレートに彫り込まれた部屋名を確認しながら廊下を進む。ようやく生徒会室の文字が見えた時には、廊下の端に着いていた。
 こうなるなら、あの時白鷺に生徒会室の場所をちゃんと聞いておくべきだったと反省しつつ、軽くノックをしてから扉を開ける。

「理仁さん!」
 瞬間、正面から飛び込んできた影に不意を突かれて後ずさる。よろける程度で済んだのは勢いがそれほどなかったことと、あまり体重をかけていなかったからだろう。
「…………蓮?」
 影——昨日出会った迷子、園部蓮はにこにこと無邪気な笑みを浮かべていた。
「は、なん……え?」
 なぜ蓮がいるのか。ここは生徒会室で、それは先程しっかり確認したから間違いはないはず。そもそも、彼は天学の生徒なのだろうか。着ている制服は違うし、でも部外者がこんなところにいることの方が理解できない。
 混乱するオレの前に、同じ顔が並ぶ。
「蓮、先輩困ってるよ」
「あ、ごめんなさい……!」
「昨日はありがとうございました」
 蓮をやんわり引き剥がしながらにこりと微笑んでいるのは蓮の双子の兄弟、蘭だ。蘭に続いてぺこりと頭を下げた蓮は、にっこり笑ってこちらを見上げている。見れば見るほどそっくりで、双子って本当に存在するんだ……なんていう場違いな思考を強制終了させるように、手を打ち鳴らす乾いた音が室内に響いた。

「じゃあほぼ全員揃ったってことで、始めるぞ」
 ハッとしてようやく室内に目を向けると、目の前の蓮と蘭以外に五人の生徒がそこにいた。双子に両腕を引っ張られながら部屋の中央へ向かう。ちらと視線を巡らせれば、入って正面にある窓を背にした大きな机と、それを囲むように左右に置かれた長机、奥にはソファやローテーブルがあるのが視界の端に映った。机に囲まれた空間まで連れてこられると、机の脇に立っている男子生徒が集まったメンバーをぐるりと見回して、にかりと笑顔を見せる。
「よし、じゃあ現生徒会長から挨拶!」
 そう言って彼が視線を向けた先、正面の机に座っている人物は有名人に疎いオレでも知っている。生徒会長の幸田征之だった。
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