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正史ルート
第13話 謎の卵
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ある日、珍しくノルンが私の家を訪れていた。
いつも通り、雲の上に乗ってぷかぷかと空中に浮かんでいる。まるで自分の足で立つ気がないらしく、まったく地に降りようとしないのだ。
雲の上に座ったり、横になったり、その時々でノルンの姿勢は変化するのだけれど、今日は横になっているパターンらしい。遠目に見ると雲が淡い光を纏い、まるで黄色い絹の上で寝そべっているようにも見える。どこか浮世離れしているというか、これぞ神らしいと言えば神らしいのだろうが……私はどうもこの女神に苦手意識を持っている。
気だるそうな様子で、ノルンが私のほうに片手を伸ばしてきた。
「エリカちゃん、これあげるわん」
私に手渡されたのは手のひら大の赤い卵だった。大抵の卵は白や茶色なので、真っ赤な卵など初めて見る。下から覗き込むように眺めると、殻が艶やかに光を反射しているのがわかり、いかにも“普通じゃない”雰囲気を醸し出していた。
「何の卵なの?」
「秘密よん」
ノルンは相変わらずとぼけた表情で、教えるつもりなど微塵もないらしい。さすが、過去・現在・未来を司る女神とかいう肩書きだけあって、何でも知っていそうで何も語らないのが常だ。
「私にこれをどうしろと?」
「大切に育てて欲しいのよん」
まるで私の都合などおかまいなし、と言わんばかりの言い草で、私は思わずため息をつく。私は“発明の神”だ。家畜を育てる専門家じゃない。けれどノルンは無邪気な笑みを浮かべるばかりで、説得の余地がなさそうだ。
「私は発明の神だもの。管轄外よ」
「エリカちゃんにしか育てられないのよん」
そう言われても困る。なぜ私にしか無理なのかは一切説明してくれない。ノルンは基本的に秘密主義だし、これまでも肝心なことは何一つ明かした試しがないのだから。
「自分で育てなさいよ」
反抗期の娘さながら、つい反発してしまう。どうもこの女神のふわふわした態度が好きになれないのだ。だが、ある意味では親子なのだから、余計に複雑な気分になる。
「エリカちゃん、そんな事言わずに育てて欲しいわん。妾(わらわ)は行かないといけない所があるのよん」
ノルンはどこかへ出かけるつもりらしい。神出鬼没な彼女のことだから、また忘れた頃にふらりとやって来るに決まっている。いつものことだ。私としては、どこで何をしているのか興味もないし、追及するだけ無駄だろう。
「わかったわよ。暖めてあげればいいの?」
「別に暖める必要はないわん。肌身離さず持っていてくれれば、そのうち孵化するわん」
卵というからてっきり温めなきゃいけないのかと思っていたが、そうでもないらしい。手間がかからないのはありがたいけれど、ますますこの卵が何の卵なのか気になるところだ。
「なら、引き受けるわ。ところで、あなたはどこに行くつもりなの?」
私が問いかけても、ノルンはいつものとぼけた表情を崩さない。
「過去、現在、未来と運命を司るのは大変なのよん。やらないといけないことが一杯あるのん」
どうやら教える気などないらしい。私は仕方なく卵を抱えたまま見上げる。
「ねえ、私の過去の記憶について知らないかしら?」
カマをかけてみるが、ノルンは全く表情を変えず、
「知らないわん」
とだけ返して、何も得られない。彼女はもう用は済んだと言わんばかりに雲をふわりと動かし、飛び去ろうとしている。
「ねえ、何で私を生み出したの?」
ノルンの背に核心を突く問いを投げかけると、
「妾がそうしたかったからよん。エリカちゃんは神友だしねん。あと、その子は妾だと思って大切に育ててねん」
振り返りもせず、それだけ言うと、ノルンは遠くの方へ飛んでいってしまった。まったく、勝手もいいところだ。
ノルンと友になった覚えはないし、どっちかと言えば親子だろう。
私は雲に乗って去っていくノルンの背中をしばらく見つめた。白い空に漂う雲の合間を、あの女神はどこへ向かったのだろう。今日の空は白くてきれいで、ちょっと腹立たしいぐらいに穏やかだ。けれど、後にノルンを目にする機会が訪れないことなど、この時の私には知るよしもなかった。
---
「あんた、変な卵を持ってどうしたのよ?」
私の家にやって来たスクルドが、訝しげな顔で言う。卵を手に入れてから数日経つが、今のところ孵化する気配はない。ノルンからは「肌身離さず持っていればいい」と聞いてはいるが、本当にそれでいいのだろうか、と私も少々不安になってきたところだ。
「この卵は私が育てるのよ」
「食べないの?」
スクルドはすぐ食べ物に結びつける。甘党というイメージが強いが、どうやら卵も食料として見ているらしい。
「食べるわけないでしょう」
「そもそも、何の卵なのよ? 赤い卵なんて見たことないわよ」
確かに、鳥の卵と言えば白か茶色が主流で、真っ赤なものなど聞いたことがない。私も不思議に思ってはいるが、ノルンが何も教えてくれないのだから仕方ない。
「孵化してみれば、わかるんじゃないかしら」
「あんたは本当にいい加減ね。もし蛇だったらどうするのよ?」
スクルドがヨルムンガンドの件を思い出しているのだろうか、嫌そうな顔をしている。私も一瞬、その不吉なイメージが頭をよぎるが……なぜだか今回は大丈夫な気がしている。
「何となく違う気がするのよね」
「また、あんたはテキトーなことを……はあ、もう好きにしなさい」
スクルドは呆れた表情ながらも、さほど否定はしてこない。そうしてしばらくぶつくさ言ったあと、私にあれこれ呆れつつも家を後にするのだった。
---
卵をもらってから10日ぐらい経った頃、やっと孵化の兆しが現れた。ヒビが入ってきたのだ。ずっと割れないように注意しながら、研究や戦闘を控えていた日々がようやく報われる瞬間が来たといえる。
ノルンから押しつけられた赤い卵。面倒だと思いながらも、どこかでワクワクしていた気持ちを認めざるを得ない。
そして今、静かにヒビが大きくなっていく。
「ぴぃー」
かすかな鳴き声が、卵の内側から聞こえた。私は思わず息をのむ。パキリ、と殻が割れ、そこから顔を覗かせたのは小さな赤い鳥――ヒナではなく最初から成鳥に近い姿に見える。
「……鳥、なのかしら」
蛇でなかったことに安堵しつつ、しかしちょっと期待外れな気分も混じる。ドラゴンのような幻獣が出てきても面白かったのに。
ひょっとして……神力2万! ノルンが持ってきたから普通の鳥じゃないと思ったけど、神だったみたいだ。
良く見ると、目が大きくて愛嬌がある。この赤い羽毛の輝きは、ただの生き物とは違う雰囲気を醸している。
「ピイピイ」
その鳥は小さく鳴き声を上げると、まっすぐ私の手を歩いて登ってきた。何だか懐いているようで、肩にとまると、私の首元に頭をすり寄せてくる。
「くすぐったいわよ」
思わず笑みがこぼれる。動物を育てるなんて初めてだが、悪くない。むしろ可愛いものだ。
「よし! あなたは何か赤いし、スザクと名付けることにするわ」
そう語りかけると、
「ピー、ピー!」
まるで喜んでいるように鳴き声を上げた。こんな単純なコミュニケーションだけでも、思わず心があたたまる。
---
「やっぱり鳥だったんだ」
いつの間にかスクルドがやって来ていた。私とスザクの様子を見て、つぶやくように言う。
「ふふふ、スザクと名付けたわ」
私は得意げに報告してみせる。するとスクルドは厳しい顔で、思いも寄らない忠告を口にした。
「あんた、名前なんか付けて……鳥の寿命は短いから、後が辛くなるわよ」
たしかに普通の鳥なら短い寿命だが、こいつはただの鳥じゃない。神なんだから、普通の鳥よりは長く生きるはずだ。
「この子は私が立派に育てあげるわ!」
「あんたは本当に言う事を聞かないんだから……」
スクルドは呆れた様子でため息をつく。まあ、いつものことだ。
「そういえば、この子は何を食べるのかしら?」
「虫とかでしょ。その辺に一杯いるじゃない」
投げやりに言うスクルド。
「虫とかね……捕まえに行くわよ」
「ええー!? あたしは嫌よ」
スクルドは凄く嫌そうな顔で首を振る。虫が苦手なのだろう。
「あなたには言ってないわ。スザクに言ったのよ。ねー?」
「ピピー、ピ、ピ」
スザクが元気よく応えている姿は、なんとも微笑ましい。
「もう帰る!」
スクルドは怒ったように声を上げ、そのままさっさと帰ってしまった。家の扉が閉まる音を聞きながら、私は肩の上でちょこんと座るスザクを眺めるのだった。
---
「さあ、虫を捕まえに世界樹の森へ行きましょうか」
私はスザクを連れて外へ出た。孵化して初めて見たのが私だったから、スザクはすっかり私を親だと思っているようで、私の歩く方向に合わせて小さく羽ばたく。たまに私の手をついばんだり、甘えるように鳴いてみせる姿に、つい笑みがこぼれる。
森に着いてみると虫は結構な数いる。普段なら気にも留めないものだが、こうして探してみるといくらでも見つかるのが不思議だ。
「ほら、いっぱいお食べ」
捕まえた虫をスザクの前に差し出すと、スザクは嬉しそうにバタバタと羽根を揺らし、勢いよく食べ始めた。
赤い卵を押しつけられた時は戸惑ったし、正直面倒だとしか思わなかった。けれど、こうしてスザクが懐いてくれるのを見ると、自分でも意外なほど愛おしいと感じる。
この先、どんなことが起こるかはわからない。それでも私は、この赤い鳥がもたらす新しい生活を悪く思っていないのだ。スザクと共に生きる。そんな日々も、案外悪くない。
---
現在のエリカのステータス
神力……3000(ヘルからの定期的な血液供給による上昇)
特殊能力……発明、暴食、ちょっとだけ未来視、毒耐性、無限成長、再生
いつも通り、雲の上に乗ってぷかぷかと空中に浮かんでいる。まるで自分の足で立つ気がないらしく、まったく地に降りようとしないのだ。
雲の上に座ったり、横になったり、その時々でノルンの姿勢は変化するのだけれど、今日は横になっているパターンらしい。遠目に見ると雲が淡い光を纏い、まるで黄色い絹の上で寝そべっているようにも見える。どこか浮世離れしているというか、これぞ神らしいと言えば神らしいのだろうが……私はどうもこの女神に苦手意識を持っている。
気だるそうな様子で、ノルンが私のほうに片手を伸ばしてきた。
「エリカちゃん、これあげるわん」
私に手渡されたのは手のひら大の赤い卵だった。大抵の卵は白や茶色なので、真っ赤な卵など初めて見る。下から覗き込むように眺めると、殻が艶やかに光を反射しているのがわかり、いかにも“普通じゃない”雰囲気を醸し出していた。
「何の卵なの?」
「秘密よん」
ノルンは相変わらずとぼけた表情で、教えるつもりなど微塵もないらしい。さすが、過去・現在・未来を司る女神とかいう肩書きだけあって、何でも知っていそうで何も語らないのが常だ。
「私にこれをどうしろと?」
「大切に育てて欲しいのよん」
まるで私の都合などおかまいなし、と言わんばかりの言い草で、私は思わずため息をつく。私は“発明の神”だ。家畜を育てる専門家じゃない。けれどノルンは無邪気な笑みを浮かべるばかりで、説得の余地がなさそうだ。
「私は発明の神だもの。管轄外よ」
「エリカちゃんにしか育てられないのよん」
そう言われても困る。なぜ私にしか無理なのかは一切説明してくれない。ノルンは基本的に秘密主義だし、これまでも肝心なことは何一つ明かした試しがないのだから。
「自分で育てなさいよ」
反抗期の娘さながら、つい反発してしまう。どうもこの女神のふわふわした態度が好きになれないのだ。だが、ある意味では親子なのだから、余計に複雑な気分になる。
「エリカちゃん、そんな事言わずに育てて欲しいわん。妾(わらわ)は行かないといけない所があるのよん」
ノルンはどこかへ出かけるつもりらしい。神出鬼没な彼女のことだから、また忘れた頃にふらりとやって来るに決まっている。いつものことだ。私としては、どこで何をしているのか興味もないし、追及するだけ無駄だろう。
「わかったわよ。暖めてあげればいいの?」
「別に暖める必要はないわん。肌身離さず持っていてくれれば、そのうち孵化するわん」
卵というからてっきり温めなきゃいけないのかと思っていたが、そうでもないらしい。手間がかからないのはありがたいけれど、ますますこの卵が何の卵なのか気になるところだ。
「なら、引き受けるわ。ところで、あなたはどこに行くつもりなの?」
私が問いかけても、ノルンはいつものとぼけた表情を崩さない。
「過去、現在、未来と運命を司るのは大変なのよん。やらないといけないことが一杯あるのん」
どうやら教える気などないらしい。私は仕方なく卵を抱えたまま見上げる。
「ねえ、私の過去の記憶について知らないかしら?」
カマをかけてみるが、ノルンは全く表情を変えず、
「知らないわん」
とだけ返して、何も得られない。彼女はもう用は済んだと言わんばかりに雲をふわりと動かし、飛び去ろうとしている。
「ねえ、何で私を生み出したの?」
ノルンの背に核心を突く問いを投げかけると、
「妾がそうしたかったからよん。エリカちゃんは神友だしねん。あと、その子は妾だと思って大切に育ててねん」
振り返りもせず、それだけ言うと、ノルンは遠くの方へ飛んでいってしまった。まったく、勝手もいいところだ。
ノルンと友になった覚えはないし、どっちかと言えば親子だろう。
私は雲に乗って去っていくノルンの背中をしばらく見つめた。白い空に漂う雲の合間を、あの女神はどこへ向かったのだろう。今日の空は白くてきれいで、ちょっと腹立たしいぐらいに穏やかだ。けれど、後にノルンを目にする機会が訪れないことなど、この時の私には知るよしもなかった。
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「あんた、変な卵を持ってどうしたのよ?」
私の家にやって来たスクルドが、訝しげな顔で言う。卵を手に入れてから数日経つが、今のところ孵化する気配はない。ノルンからは「肌身離さず持っていればいい」と聞いてはいるが、本当にそれでいいのだろうか、と私も少々不安になってきたところだ。
「この卵は私が育てるのよ」
「食べないの?」
スクルドはすぐ食べ物に結びつける。甘党というイメージが強いが、どうやら卵も食料として見ているらしい。
「食べるわけないでしょう」
「そもそも、何の卵なのよ? 赤い卵なんて見たことないわよ」
確かに、鳥の卵と言えば白か茶色が主流で、真っ赤なものなど聞いたことがない。私も不思議に思ってはいるが、ノルンが何も教えてくれないのだから仕方ない。
「孵化してみれば、わかるんじゃないかしら」
「あんたは本当にいい加減ね。もし蛇だったらどうするのよ?」
スクルドがヨルムンガンドの件を思い出しているのだろうか、嫌そうな顔をしている。私も一瞬、その不吉なイメージが頭をよぎるが……なぜだか今回は大丈夫な気がしている。
「何となく違う気がするのよね」
「また、あんたはテキトーなことを……はあ、もう好きにしなさい」
スクルドは呆れた表情ながらも、さほど否定はしてこない。そうしてしばらくぶつくさ言ったあと、私にあれこれ呆れつつも家を後にするのだった。
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卵をもらってから10日ぐらい経った頃、やっと孵化の兆しが現れた。ヒビが入ってきたのだ。ずっと割れないように注意しながら、研究や戦闘を控えていた日々がようやく報われる瞬間が来たといえる。
ノルンから押しつけられた赤い卵。面倒だと思いながらも、どこかでワクワクしていた気持ちを認めざるを得ない。
そして今、静かにヒビが大きくなっていく。
「ぴぃー」
かすかな鳴き声が、卵の内側から聞こえた。私は思わず息をのむ。パキリ、と殻が割れ、そこから顔を覗かせたのは小さな赤い鳥――ヒナではなく最初から成鳥に近い姿に見える。
「……鳥、なのかしら」
蛇でなかったことに安堵しつつ、しかしちょっと期待外れな気分も混じる。ドラゴンのような幻獣が出てきても面白かったのに。
ひょっとして……神力2万! ノルンが持ってきたから普通の鳥じゃないと思ったけど、神だったみたいだ。
良く見ると、目が大きくて愛嬌がある。この赤い羽毛の輝きは、ただの生き物とは違う雰囲気を醸している。
「ピイピイ」
その鳥は小さく鳴き声を上げると、まっすぐ私の手を歩いて登ってきた。何だか懐いているようで、肩にとまると、私の首元に頭をすり寄せてくる。
「くすぐったいわよ」
思わず笑みがこぼれる。動物を育てるなんて初めてだが、悪くない。むしろ可愛いものだ。
「よし! あなたは何か赤いし、スザクと名付けることにするわ」
そう語りかけると、
「ピー、ピー!」
まるで喜んでいるように鳴き声を上げた。こんな単純なコミュニケーションだけでも、思わず心があたたまる。
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「やっぱり鳥だったんだ」
いつの間にかスクルドがやって来ていた。私とスザクの様子を見て、つぶやくように言う。
「ふふふ、スザクと名付けたわ」
私は得意げに報告してみせる。するとスクルドは厳しい顔で、思いも寄らない忠告を口にした。
「あんた、名前なんか付けて……鳥の寿命は短いから、後が辛くなるわよ」
たしかに普通の鳥なら短い寿命だが、こいつはただの鳥じゃない。神なんだから、普通の鳥よりは長く生きるはずだ。
「この子は私が立派に育てあげるわ!」
「あんたは本当に言う事を聞かないんだから……」
スクルドは呆れた様子でため息をつく。まあ、いつものことだ。
「そういえば、この子は何を食べるのかしら?」
「虫とかでしょ。その辺に一杯いるじゃない」
投げやりに言うスクルド。
「虫とかね……捕まえに行くわよ」
「ええー!? あたしは嫌よ」
スクルドは凄く嫌そうな顔で首を振る。虫が苦手なのだろう。
「あなたには言ってないわ。スザクに言ったのよ。ねー?」
「ピピー、ピ、ピ」
スザクが元気よく応えている姿は、なんとも微笑ましい。
「もう帰る!」
スクルドは怒ったように声を上げ、そのままさっさと帰ってしまった。家の扉が閉まる音を聞きながら、私は肩の上でちょこんと座るスザクを眺めるのだった。
---
「さあ、虫を捕まえに世界樹の森へ行きましょうか」
私はスザクを連れて外へ出た。孵化して初めて見たのが私だったから、スザクはすっかり私を親だと思っているようで、私の歩く方向に合わせて小さく羽ばたく。たまに私の手をついばんだり、甘えるように鳴いてみせる姿に、つい笑みがこぼれる。
森に着いてみると虫は結構な数いる。普段なら気にも留めないものだが、こうして探してみるといくらでも見つかるのが不思議だ。
「ほら、いっぱいお食べ」
捕まえた虫をスザクの前に差し出すと、スザクは嬉しそうにバタバタと羽根を揺らし、勢いよく食べ始めた。
赤い卵を押しつけられた時は戸惑ったし、正直面倒だとしか思わなかった。けれど、こうしてスザクが懐いてくれるのを見ると、自分でも意外なほど愛おしいと感じる。
この先、どんなことが起こるかはわからない。それでも私は、この赤い鳥がもたらす新しい生活を悪く思っていないのだ。スザクと共に生きる。そんな日々も、案外悪くない。
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現在のエリカのステータス
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