僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第2章 僕はオリヴァー王国第一王子の誕生会に出席したくない

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「ほら、結月。そろそろ始まるわよ」

雪姉さまの声で漸く顔を上げる。

会場の明かりは消え、スポットライトが一点に当たった。
ライトに照らされた司会者の挨拶とともに、オーケストラの音楽が鳴り始める。


司会者が挨拶を終え、一礼して舞台袖へ戻っていく。
段々と照明が明るくなっていった。
オーケストラの音楽も勢いを増していき、クライマックスへ。
大広間の奥に設置されている大きな階段上には陛下、皇后、第一王子の姿が。

「王子様、すてきだなぁ……」

僕はほぅ、と溜息をついた。
金色の髪の毛に薄い緑の瞳。スッと通った鼻筋に、微笑みを浮かべた薄い唇が印象的だった。
刺繍が施してあるグレーのロングスーツは、とても彼に似合っていた。
周りから歓声が上がり、王子のスピーチが始まる。
高い声色の僕とは真逆の低くて落ち着いた声だった。

「あら、結月も負けてないわよ」

可愛く姉さまが微笑む。
それと同時に周りの男性の目線が集まるのを感じた。

「ほら、そろそろダンスも始まるみたい」

鳴り出した音楽とともに姉さまに両手を取られる。

「ほら、ステップ踏んで。私と踊りましょう」

周りの男性の、視線がいたい。

「う、うん……」

くるり、くるりと華麗に回り、軽快なステップを踏む。
僕は、踊りは好きだった。
姉さまと踊っていれば一曲なんてすぐに終わってしまう。

「ありがとう、結月」

お互いにお辞儀をする。
しかしすぐに、お姉さまは別の若い男性に誘われてしまい、一緒に踊れなくなってしまった。
途方に暮れて一人でとぼとぼと歩き出す。

ふと、強い香水の匂いが鼻を刺した。
ギャーギャー喚く女性の声も聞こえる。
喧嘩だろうか。
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