僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第2章 僕はオリヴァー王国第一王子の誕生会に出席したくない

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「ルーク様と踊るのは私!!」
「いいえ、私よ!!」
「厚かましいわね! あなたなんて相手にしないわ!!」

わずらわしい。
だからこういうパーティーは嫌なんだ。

私に群がる女、女、女。
自分の見目が多くの女性の好みであることも分かっているし、自分の身分も相まって我先に嫁にと思っている女性が多いことも分かっている。
だが、こんな卑しい人間に付きまとわれるのはもうごめんだ。

「もうやめてくれないか」

呆れ顔で女性達に告げるが、意味はない。
私の話を聞いてくれ。
こんな品のない女性達よりも、もっと、可憐で、純粋で。

一人の少女の姿を思い出す。
白銀の透き通るような可愛らしい少女。
もう10年も昔の記憶だ。
それでも、また、会いたい。

溜息をつき、ふと横に視線を向けた。

「……君は、」

白銀の少女?少年?だ。
あの時と変わらなく、優しげで、儚げで、それでいて柔らかくて。
僕に目を向けることなく通り過ぎていく。
いくな、まってくれ。
急いで取り巻きを振り払い、あの子の後を追った。
もう少しで、手が届く。
が、すんでのところで邪魔が入る。

「これはこれは、ユヅキ殿……」

「……イーサン宰相、」

不安そうな彼の声色。
だめだ、こんな下衆と踊ってくれるな、ユヅ。
君は僕の、。
ユヅ?それはあの白銀の少女の名前だっただろうか。朧気な記憶が少しずつ解けていく。

「私と踊ってくれるかね。ユヅキ殿」

イーサン宰相の厭らしい声色に怯えたユヅの顔。
腰に手を回し、今にもユヅの臀部に触れようとしていた。
咄嗟に止めに入った。

「宰相、何をしている」

イーサンは私の存在に気が付き、手を離した。

「これはこれは、ルーク王子。彼が美しかったもので、つい」

私はフンっと息をつくと、柔らかなユヅの手を握って歩き出した。
悲鳴を上げる女性たちの声なんて知ったものか。

「……ほぅ、これはこれは」

後ろで面白いものを見るような目で見つめるイーサン宰相に気が付きもせず、舞台の中央へと向かった。
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