僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第4章 僕は療養のためにオリヴァー王国に留まるらしい

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もうそろそろ、ルークと城下町に行く約束をした時間。
オリヴァー王国の食事を食べたり、街を眺めるのは楽しみだ。

ルークはお忍びで行くらしいが、怒られないのかな。
自室でルークを待っていると、ドアをノックする音が聞こえる。
はい、と答えるとルークが入ってきた。

「行こうか、ユヅ」

やさしく背中に手を添え、エスコートしてくれるルーク。
男友達相手にそんなことしなくていいのに、と思い吹き出した。
ルークにはちら、と横目で見られたが特に何も言われなかった。

ルークの愛馬に乗せてもらい、後ろから抱きしめる形でルークが支えてくれる。
アレクサンダーも僕に合わせて、ゆっくりとしたペースで走ってくれた。

「ユヅ、寒くはないか」

ルークと密着した背中が熱を持つ。
上着は乗馬のために羽織っているが、歩く分には不要であり、気候も穏やかで寒くなかった。

「大丈夫だよ」

ぽかぽか、背中が気持ちいい。
もう目の前は城下町が広がっていた。

ルークは馬を止め、先に降りると手を差し出して僕を降ろしてくれた。
馬を預け、街の中心へ向かう。
歩く途中、互いに触れ合う指に僕は少し意識してしまった。

歩いて10分程度。
ある店の前で止まる。
洋服店? ルークは服がほしいのかな。

「……ちがう、ユヅの服だ」

はてなマークを頭に浮かべてルークを見やると仏頂面でそう答えた。
驚いた僕を見て、いたずらっ子のように仏頂面を崩して笑うルーク。

「いいよ、いいよ。そんな、」

結局背中を押され、店内へと入ることになった。





「店主、これで」

ルークが選んだ服を身につける僕。
センスはいいと思うけど、かなり女性的なのでは……。
片側にスリットの入った、白のセーターワンピース。
パステルカラーの紫のショートブーツ。
ブーツと同じような色のカバン。

「似合ってるのかな、これ」

「ユヅは綺麗なものならなんでも似合う」

ニコニコと満足そうに僕を見るルーク。
それならいいけど、と僕はそっぽを向いた。
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