僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第4章 僕は療養のためにオリヴァー王国に留まるらしい

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お腹いっぱいになってしあわせな僕は、ルークに手を繋がれて買い物を楽しむ。
この素敵なピンク色の髪飾りは姉さまに買っていこう。
ルークにもなにかお礼の品を買わないと。
何がいいだろうか。
この時計なんて、いいかもしれない。
シンプルで邪魔にもならず、どんな服装でも使いやすいだろう。
少し値が張るが、してもらったことへのお返しと思えば安いものだった。




夕方になり、あれだけ食べたパンケーキも消化され、お腹の虫が鳴き出した。
次はどこへ連れて行ってくれるのだろう。
握られた手には違和感が残るけど、あまり気にはならなかった。

「ユヅ、次はオリヴァー王国料理の専門店へ行こうか」

やさしく尋ねるルークに、僕は大きく頷く。
ルークの大きな手をきゅっと握った。

オリヴァー王国の料理といえば、ナイフとフォークを使って上品に食べる料理。
王家となれば堅苦しい店で最高級の料理をいただくイメージがあるが、なんと言っても今日はお忍びだ。
気兼ねなく入れるお店を選んでくれただろう。
とてもたのしみだな。

ルークに案内されたのは、小洒落ているがカジュアルなお店であった。
カップルが多いため、男二人だと浮いている気がしないでもないが、この際気にしないことにした。

「どれにしようか」

僕にメニュー表を開いて渡してくれるルーク。
しばらく悩んでみるが、どれも美味しそうで決められない。

「……ルークのおすすめとか知りたいな」

「それもそうか」

目尻を下げて笑うルークに、僕も笑って返す。
ルークとメニューを見比べて、ようやく決められた。

優しい友人と美味しい料理に囲まれた、とてもとても、楽しい食事の時間だった。
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