僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

文字の大きさ
上 下
41 / 59
第7章 僕は女の嫉妬が一番怖い

1

しおりを挟む
うつら、うつらと居眠りをする。
首が前後に傾き、姿勢を崩したところで結月は目を醒ました。

後ろから押し殺したような笑い声が聞こえ、結月はぼんやりと後ろを振り返った。

「いや、すまない、」

ルークだった。
口元を手で覆っているルークをジト目で見つめる結月。
ルークは結月に近づき、そっと手を取った。
ソファまでエスコートすると、そこにルークが座り込む。
どういう意味だろう、と結月は困った表情を浮かべた。

「……なぁに? 」

問いかける結月にたいして、ルークは自身の膝を2回叩いた。
働かない頭ではあったがなんとなく理解し、結月はルークの膝の上に座った。

ルークは結月を抱きしめると、かたわらに置いてあったブランケットで彼の身体を包み込む。
むき出しのおでこに唇を落とすと、愛しそうにそっと結月の頭を撫でたのだった。

「ルーク、すき……」

ルークの目を見て、ふにゃりと微笑む結月。
結月はそのまま目を閉じると、また深い眠りに落ちていった。

腕の中で、無防備にも可愛い寝顔を晒す結月。
胸が温かくなる感覚を覚え、ルークは頬を緩めた。









信じられない!
なんなの、あのユヅキとかいう男。
ルーク様の膝に乗るなんて、ありえないわ!

わたくしはルーク様の妻となるべく育て上げられた、公爵家の娘。
謂わば、ルーク様の嫁候補なのである。
地位も美貌も芸も兼ね備えたわたくしが、あんな男に負けるわけにはいかなかった。

「……潰すしか、ないわ」

徹底的に潰してやる。
辱めて、汚して、二度とルーク様に会えないような身体にしてやる。
わたくしは勢いよく振り返ると、控えていた男達に命令した。

「……いいこと? あのユヅキとかいう男を汚してきなさい。……失敗したら、わかっているかしら」

男たちはニタニタしながら頷く。
わたくしは、フンと鼻を鳴らして踵を返した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

アルファな彼とオメガな僕。

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:661

【完結】温泉に行こう★猫たちも一緒♪

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:21

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:38,117pt お気に入り:5,362

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:95

処理中です...