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第3章 旅立ち
第25話 奥の手
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「最後に、最後にもう一回、兄ちゃん、一生のお願いやぁ。」
泣いて赤い目を向け俺に懇願してくる。
「もう駄目だって、さっき最後っていっただろ。」
「せやねんけどぉ、ホントに最後の最後やからぁ。」
うーん、困ったなぁ、何回やっても同じなんだけどなぁ。まだ封印は3分くらい残ったままだし。
「でも、もう掛けるものないでしょ?今日はもうお開きにしようよ。なんなら晩御飯おごるから、ね?」
小さい子供に話し掛けるみたいにこの子を諭す。
「そんな情けなんかいらんねん、最後にもう一回だけやからぁ、最後は絶対勝てる、奥の手があるねん。」
「ただの腕相撲なら何回でもしてあげるけど、賭けはもう無理でしょ、賭けるものないし。」
「何かを賭けた真剣勝負やないと意味がない!」と、言うと涙を拭き立ち上がり、周りの野次馬に声を掛ける。
「この中に奴隷商人さんは、いてはりませんかぁ?頼みたいことがあるから出てきてぇや。」
野次馬どもの奥の方から身なりの小綺麗な立派な紳士が出てきた。
「なんの御用かなお嬢さん、私は奴隷商を営んでいるセルゲイと言うものだが。」
「出てきてくれてありがとう、オッチャン。オッチャンから見てウチの商品としての値段はいくらや?」
「ほほぅ、そうですねぇ、、、いま鑑定の水晶が手元にないので幾つか質問させて頂いても宜しいかな?」
「ええで、なんでもきいてや。」
「年齢とレベルが高いスキルを二つお教え願えますか。」
「歳は16、スキルは腕力が4で大剣が3や。」
奴隷商のセルゲイさんは女の子を上から下まで舐め回すように見ている。歳は16歳かぁ、一つ下だな。さっきは見てなかった下の服装だが、ホットパンツに膝下まであるブーツを履いている。ホットパンツとブーツの間の黄金領域が眩しい。健康的な身体にハッキリとした性格、でもちょっと押しが強そう。少しニガテな感じかも。
「では、最後にですが、値段を決める重要な質問です。貴女は男性経験はおありですか?」
「なっ!こんな人前で。」
聞いてる俺が恥ずかしくなり声を出してしまった。周りの男どももザワザワしている。
「かまへん!ウチはマダや。経験あれへん。」
「そうですか、お答えありがとうございます。そうですねぇ、安く見積もって300万、オークションに出れば400から500はつくかもですねぇ。」
「そうか、助かったでオッチャン、ちょっと待っててな。」
少し下がったセルゲイさんから俺に向き直り、
「聞いてたか兄ちゃん、ウチ最低300万や。でもそっちは300じゃなくていい、ウチから取った35万と大剣賭けて勝負や。」
ウチから取ったって人聞きわるいなぁ。
「君は君自身を賭けるってこと?」
「そや、もし兄ちゃんが勝ったらそこの奴隷商人さんに売ればええ。」
「いやいやいや、ちょっとやり過ぎだって!」
セルゲイさんを見ると目が仕事の目になってる。
「私や周りの人達が証人になってみております。どうぞ最後の勝負、お楽しみ下さい。」
わぁ、周りの人間も巻き込んで逃がす気ないな。
「さぁ、兄ちゃんやるで、これがホンマの最後の最後やぁ!」
俺の手を取りテーブルへと乗せる、真剣な目。もう逃げられないのか。俺も腹を括る。
「さぁ、僭越ながら私が開始の合図を出させて頂きます。お二人とも準備は宜しいですね?」
なぜか場を仕切るセルゲイさん。
「俺は不本意だけど、いつでもいいよ。」
「こっちもええで、兄ちゃん手加減できひんけどゴメンやで。」
うん?今まで手加減なんかしてたか?握った手からもう一度鑑定をしてみる。
セキア ♀ 鬼人族 ??歳
スキル 【大剣術Ⅲ】【腕力Ⅳ】【身体能力Ⅲ】【再生Ⅲ】【格闘術Ⅱ】【走力Ⅱ】
ユニークスキル 【鬼神化Ⅲ】
加護称号 鬼神の加護
あ、ヤバい、封印術が切れてる。
「いくで奥の手、【鬼神化】や!」
「ちょちょちょ、待って!それヤバいやつじゃないの?」
只でさえ封印術が切れ握った手から凄い力を感じるのに、まだまだ威圧感が上昇する。
女の子の白目が紅く染まる。上に向いていた左側の角が大きく前を向きこちらを威嚇する。チャームポイントだった八重歯が伸び凶悪な獲物を狙う表情になる。見えている肌から刺青のような紋章が浮かび上がり、紋章から出る湯気が紅いオーラとなり全身を覆う。
「ウオオオォォー!」
女の子の変化に目を見開いているセルゲイさんが開始の合図を出す。
「レディーゴウッ!」
ヤバいヤバすぎ、これ手加減が出来ないとかのレベルではなく、腕千切れるレベルだって!握った手が超熱い。勝負は一瞬で決まる、向こうが力を入れる前に何とかしないと!
「封印術!」
右手が光を帯び封印術が発動する。コッソリしてる余裕がなかった。
「ガガガァァ、、、あぁ?」
鬼神に変化していた風貌が徐々に女の子本来の姿に戻っていく。獸の様な声を上げていたが自己を取り戻したのか、何が起こったのかわからない、といった声になる。
「あれ?なんでや?」
女の子が茫然としている間に決着をつける。腕をテーブルにつけられ傾いたまま硬直している。
「勝負あり。こちらの男性の勝利!」
静まり反っていた野次馬から歓声が上がる。みんなが見ている前で勝ってしまった。こらからどうなるんだろう。
泣いて赤い目を向け俺に懇願してくる。
「もう駄目だって、さっき最後っていっただろ。」
「せやねんけどぉ、ホントに最後の最後やからぁ。」
うーん、困ったなぁ、何回やっても同じなんだけどなぁ。まだ封印は3分くらい残ったままだし。
「でも、もう掛けるものないでしょ?今日はもうお開きにしようよ。なんなら晩御飯おごるから、ね?」
小さい子供に話し掛けるみたいにこの子を諭す。
「そんな情けなんかいらんねん、最後にもう一回だけやからぁ、最後は絶対勝てる、奥の手があるねん。」
「ただの腕相撲なら何回でもしてあげるけど、賭けはもう無理でしょ、賭けるものないし。」
「何かを賭けた真剣勝負やないと意味がない!」と、言うと涙を拭き立ち上がり、周りの野次馬に声を掛ける。
「この中に奴隷商人さんは、いてはりませんかぁ?頼みたいことがあるから出てきてぇや。」
野次馬どもの奥の方から身なりの小綺麗な立派な紳士が出てきた。
「なんの御用かなお嬢さん、私は奴隷商を営んでいるセルゲイと言うものだが。」
「出てきてくれてありがとう、オッチャン。オッチャンから見てウチの商品としての値段はいくらや?」
「ほほぅ、そうですねぇ、、、いま鑑定の水晶が手元にないので幾つか質問させて頂いても宜しいかな?」
「ええで、なんでもきいてや。」
「年齢とレベルが高いスキルを二つお教え願えますか。」
「歳は16、スキルは腕力が4で大剣が3や。」
奴隷商のセルゲイさんは女の子を上から下まで舐め回すように見ている。歳は16歳かぁ、一つ下だな。さっきは見てなかった下の服装だが、ホットパンツに膝下まであるブーツを履いている。ホットパンツとブーツの間の黄金領域が眩しい。健康的な身体にハッキリとした性格、でもちょっと押しが強そう。少しニガテな感じかも。
「では、最後にですが、値段を決める重要な質問です。貴女は男性経験はおありですか?」
「なっ!こんな人前で。」
聞いてる俺が恥ずかしくなり声を出してしまった。周りの男どももザワザワしている。
「かまへん!ウチはマダや。経験あれへん。」
「そうですか、お答えありがとうございます。そうですねぇ、安く見積もって300万、オークションに出れば400から500はつくかもですねぇ。」
「そうか、助かったでオッチャン、ちょっと待っててな。」
少し下がったセルゲイさんから俺に向き直り、
「聞いてたか兄ちゃん、ウチ最低300万や。でもそっちは300じゃなくていい、ウチから取った35万と大剣賭けて勝負や。」
ウチから取ったって人聞きわるいなぁ。
「君は君自身を賭けるってこと?」
「そや、もし兄ちゃんが勝ったらそこの奴隷商人さんに売ればええ。」
「いやいやいや、ちょっとやり過ぎだって!」
セルゲイさんを見ると目が仕事の目になってる。
「私や周りの人達が証人になってみております。どうぞ最後の勝負、お楽しみ下さい。」
わぁ、周りの人間も巻き込んで逃がす気ないな。
「さぁ、兄ちゃんやるで、これがホンマの最後の最後やぁ!」
俺の手を取りテーブルへと乗せる、真剣な目。もう逃げられないのか。俺も腹を括る。
「さぁ、僭越ながら私が開始の合図を出させて頂きます。お二人とも準備は宜しいですね?」
なぜか場を仕切るセルゲイさん。
「俺は不本意だけど、いつでもいいよ。」
「こっちもええで、兄ちゃん手加減できひんけどゴメンやで。」
うん?今まで手加減なんかしてたか?握った手からもう一度鑑定をしてみる。
セキア ♀ 鬼人族 ??歳
スキル 【大剣術Ⅲ】【腕力Ⅳ】【身体能力Ⅲ】【再生Ⅲ】【格闘術Ⅱ】【走力Ⅱ】
ユニークスキル 【鬼神化Ⅲ】
加護称号 鬼神の加護
あ、ヤバい、封印術が切れてる。
「いくで奥の手、【鬼神化】や!」
「ちょちょちょ、待って!それヤバいやつじゃないの?」
只でさえ封印術が切れ握った手から凄い力を感じるのに、まだまだ威圧感が上昇する。
女の子の白目が紅く染まる。上に向いていた左側の角が大きく前を向きこちらを威嚇する。チャームポイントだった八重歯が伸び凶悪な獲物を狙う表情になる。見えている肌から刺青のような紋章が浮かび上がり、紋章から出る湯気が紅いオーラとなり全身を覆う。
「ウオオオォォー!」
女の子の変化に目を見開いているセルゲイさんが開始の合図を出す。
「レディーゴウッ!」
ヤバいヤバすぎ、これ手加減が出来ないとかのレベルではなく、腕千切れるレベルだって!握った手が超熱い。勝負は一瞬で決まる、向こうが力を入れる前に何とかしないと!
「封印術!」
右手が光を帯び封印術が発動する。コッソリしてる余裕がなかった。
「ガガガァァ、、、あぁ?」
鬼神に変化していた風貌が徐々に女の子本来の姿に戻っていく。獸の様な声を上げていたが自己を取り戻したのか、何が起こったのかわからない、といった声になる。
「あれ?なんでや?」
女の子が茫然としている間に決着をつける。腕をテーブルにつけられ傾いたまま硬直している。
「勝負あり。こちらの男性の勝利!」
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