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第4章 奴隷
第26話 奴隷商館
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「勝負あり。こちらの男性の勝利!」
勝ってしまった。でも、あの一瞬の出来事、命の危険を感じ体がまだ強ばっている。
女の子はというと、まだ何が起こったのかわからない様子で「そんなあほな、奥の手が、。」と呟き立ち尽くしている。
動けない俺達に代わりセルゲイさんが場を納める。
「さぁ、今回のショーはお開きです、私共は手続きの為下がらせて頂きます。」
手をパンパンと叩き野次馬に解散を促す。周りが開けるまで俺はまだ動けずにいた。
「さて、お二人ともお名前を聞かせて貰っても宜しいですかな?」
「ああ、俺はイズミだ。」
「ウチはセキアや。」
「改めて自己紹介させて頂きます。今回の手続きをさせて頂きます、奴隷商のセルゲイと申します。もし宜しければ当商館まで御越しください。」
俺達はセルゲイさんの後に続き北へ歩いていく、歩きながらこの街の事を少し聞いてみる。奴隷商館は北部西側にあり、セルゲイさんのお店以外にも四軒あるらしい。奴隷商館の道路向かい、西部ギルド街北側には色街があり、そこに奴隷を卸してたりもするそう。
色街に奴隷を卸すのところで、少し後ろにいる女の子、、、セキアがビクッとした気がするが、多分気のせいだろう。
今回の原因?のスリについても聞いてみた。
この街、リッツカルトは他の街に比べて非常に治安もよく衛兵もしっかりしているので犯罪組織とかもないんだけど、人の往来が多いのでスリ、置引き等の軽犯罪はどうしても無くならないみたい。せっかく街に着てスリに会うなんて、この街を代表して謝罪します。とセルゲイさんに謝られた。いやいや、セルゲイさんのせいじゃないのに。
そうこう話してる間にセルゲイさんの奴隷商館に着いた。奴隷商館ってもっとジメジメしてドス暗いイメージがあったのだけど、セルゲイさんのお店は凄く清潔で店内も明るく、入り口を入った所ではメイド服や執事服を着た人達に挨拶をされた。この人達全員が奴隷らしいのだけど、普通の従業員にしかみえないな。
入り口を抜け商談室と書かれた部屋へ通される。
「ささ、此方へお座り下さい。」と、柔らかいソファーに進められ座る。
セルゲイさんが手を叩くとドアから執事服を着た25歳くらいの男の人がティーセットを持って入ってきた。男の人が流れるような所作でカップを並べ紅茶を注いでいく。作業が終わると一例して退室していく。
「すみません、いまの方も奴隷でらっしゃるのです?よくできた執事の方でなく?」
「ええ、今の者も当商館の商品で御座います。当商館では見た目の清潔感は元より、お客様の購入目的に応じた教育もしております。まぁ、その分何も出来ない奴隷よりお値段は高くなりますが。」
「へー、そうなのですねぇ。」
「イズミさんは奴隷のご購入に興味がおありで?」
「へ?いえいえ、俺みたいな田舎から出てきたばかりの者が奴隷を持つなんて滅相もない。」
「失礼ですが、どちらのご出身で御座いますか?」
「ん?ケープ村から出てきました。」
「ケープ村?で御座いますか?」
「あぁ、この街から馬車で10日程北へ行った魔物の森近くの開拓村になります。」
「北へ10日程というと、、、コーンウェル領ですかな。」
「そうです、そうです!コーンウェル領にある唯一の村がケープ村です。」
「ふむふむ、これは大変失礼致しました。以後覚えておきます。」
「いえいえ、すんごい田舎なので仕方がないですよ。」
「イズミさんは、そのケープ村からリッツカルトへどの様な目的でお越しになられたのです?」
「え?あー、特に目的はないんですが、強いていうと冒険者登録と村以外の場所を見て回ろうかと。」
それにしてもグイグイくるな。セルゲイさんからしたら俺みたいな田舎者、とるに足らないだろうに。この人、プライドを持って仕事してそうだし悪い人でな無さそうなんだけど、色々詮索されてるみたいで嫌だなぁ。雑談は止めて本題に入るか。
「すみません、セルゲイさん。あのですねぇ、今回の賭けの件なのですが、商館まで連れてきていただいてお茶まで頂いたのですが、なかった事にしようと思うのですが、、。」
「契約をなかった事に、ですか?」
眉をひそめ、聞き返してくる。
「そうです。何故か流れでああいった事になりましたが、俺はここまで大事にするつもりはなかったので大剣を返しお金も半分返そうと思っています。」
「そうですか、、、うーむ。」
紅茶に口をつけ考えている。商売の種が無くなったのは申し訳ないけど、女の子に身を売らす訳にはいかないよね。
「イズミさん、それは契約を反故にする、ということで宜しいのですか?」
「契約?反故?あの場での口約束なのにそんな大袈裟な。」
「広場にいた公衆の面前、それに商人の私が仲介に入った時点で『契約神の庇護の下の契約』となり、それを反故にした場合、カルマを科せられます。」
「契約神?カルマを科せられるぅ?」
勝ってしまった。でも、あの一瞬の出来事、命の危険を感じ体がまだ強ばっている。
女の子はというと、まだ何が起こったのかわからない様子で「そんなあほな、奥の手が、。」と呟き立ち尽くしている。
動けない俺達に代わりセルゲイさんが場を納める。
「さぁ、今回のショーはお開きです、私共は手続きの為下がらせて頂きます。」
手をパンパンと叩き野次馬に解散を促す。周りが開けるまで俺はまだ動けずにいた。
「さて、お二人ともお名前を聞かせて貰っても宜しいですかな?」
「ああ、俺はイズミだ。」
「ウチはセキアや。」
「改めて自己紹介させて頂きます。今回の手続きをさせて頂きます、奴隷商のセルゲイと申します。もし宜しければ当商館まで御越しください。」
俺達はセルゲイさんの後に続き北へ歩いていく、歩きながらこの街の事を少し聞いてみる。奴隷商館は北部西側にあり、セルゲイさんのお店以外にも四軒あるらしい。奴隷商館の道路向かい、西部ギルド街北側には色街があり、そこに奴隷を卸してたりもするそう。
色街に奴隷を卸すのところで、少し後ろにいる女の子、、、セキアがビクッとした気がするが、多分気のせいだろう。
今回の原因?のスリについても聞いてみた。
この街、リッツカルトは他の街に比べて非常に治安もよく衛兵もしっかりしているので犯罪組織とかもないんだけど、人の往来が多いのでスリ、置引き等の軽犯罪はどうしても無くならないみたい。せっかく街に着てスリに会うなんて、この街を代表して謝罪します。とセルゲイさんに謝られた。いやいや、セルゲイさんのせいじゃないのに。
そうこう話してる間にセルゲイさんの奴隷商館に着いた。奴隷商館ってもっとジメジメしてドス暗いイメージがあったのだけど、セルゲイさんのお店は凄く清潔で店内も明るく、入り口を入った所ではメイド服や執事服を着た人達に挨拶をされた。この人達全員が奴隷らしいのだけど、普通の従業員にしかみえないな。
入り口を抜け商談室と書かれた部屋へ通される。
「ささ、此方へお座り下さい。」と、柔らかいソファーに進められ座る。
セルゲイさんが手を叩くとドアから執事服を着た25歳くらいの男の人がティーセットを持って入ってきた。男の人が流れるような所作でカップを並べ紅茶を注いでいく。作業が終わると一例して退室していく。
「すみません、いまの方も奴隷でらっしゃるのです?よくできた執事の方でなく?」
「ええ、今の者も当商館の商品で御座います。当商館では見た目の清潔感は元より、お客様の購入目的に応じた教育もしております。まぁ、その分何も出来ない奴隷よりお値段は高くなりますが。」
「へー、そうなのですねぇ。」
「イズミさんは奴隷のご購入に興味がおありで?」
「へ?いえいえ、俺みたいな田舎から出てきたばかりの者が奴隷を持つなんて滅相もない。」
「失礼ですが、どちらのご出身で御座いますか?」
「ん?ケープ村から出てきました。」
「ケープ村?で御座いますか?」
「あぁ、この街から馬車で10日程北へ行った魔物の森近くの開拓村になります。」
「北へ10日程というと、、、コーンウェル領ですかな。」
「そうです、そうです!コーンウェル領にある唯一の村がケープ村です。」
「ふむふむ、これは大変失礼致しました。以後覚えておきます。」
「いえいえ、すんごい田舎なので仕方がないですよ。」
「イズミさんは、そのケープ村からリッツカルトへどの様な目的でお越しになられたのです?」
「え?あー、特に目的はないんですが、強いていうと冒険者登録と村以外の場所を見て回ろうかと。」
それにしてもグイグイくるな。セルゲイさんからしたら俺みたいな田舎者、とるに足らないだろうに。この人、プライドを持って仕事してそうだし悪い人でな無さそうなんだけど、色々詮索されてるみたいで嫌だなぁ。雑談は止めて本題に入るか。
「すみません、セルゲイさん。あのですねぇ、今回の賭けの件なのですが、商館まで連れてきていただいてお茶まで頂いたのですが、なかった事にしようと思うのですが、、。」
「契約をなかった事に、ですか?」
眉をひそめ、聞き返してくる。
「そうです。何故か流れでああいった事になりましたが、俺はここまで大事にするつもりはなかったので大剣を返しお金も半分返そうと思っています。」
「そうですか、、、うーむ。」
紅茶に口をつけ考えている。商売の種が無くなったのは申し訳ないけど、女の子に身を売らす訳にはいかないよね。
「イズミさん、それは契約を反故にする、ということで宜しいのですか?」
「契約?反故?あの場での口約束なのにそんな大袈裟な。」
「広場にいた公衆の面前、それに商人の私が仲介に入った時点で『契約神の庇護の下の契約』となり、それを反故にした場合、カルマを科せられます。」
「契約神?カルマを科せられるぅ?」
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