格闘ゲーマーの異世界転生 チートスキルの封印術~あれ?思ってたのとなんか違う~

tatamiya

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第6章 ゴブリン討伐

第41話 魔法

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「イズミ、もういけるで!」

 セキアをみるとしっかりとした足取りで立ち上がっていた。もう大丈夫そうなセキアの力を借りることにしようか。

「セキア!俺のコンボの終わりにセキアのコンボを重ねて放って!」

「いいけど、うちのコンボ、出るかどうかわからんで?」

 不安そうに答えるセキア。

「大丈夫、あと出来れば20秒ほど時間稼いで欲しい」

「了解や、タイミングは任せるで」

 この少ない言葉のやり取りで俺が何かをするとセキアは理解してくれる。ほんと感のいい子だ。

 俺は無暗矢鱈と鉈を振るうゴブ将軍の隙を窺う。横凪ぎの一閃、スラッシュをバックステップでかわすと同時に相手の目を狙いライトニードルを放つ。

 流石に目への攻撃はヤバいと感じたのか何も持っていない左手で顔を庇う。視界が遮られる、その瞬間に俺はゴブ将軍の懐へ入りコンボを繰り出す。

「四連撃五連突きスクリュートラッシュ!」

 俺の鉄剣が光り、剣撃に補正が入る。一回二回三回とゴブ将軍の胸元を切りつける。俺に向かって鉈を振るおうとしている右肩へと四連突き、そして足を踏みかえ威力のある突きで鉈を弾く。手にまだ鉈は握られたままだが正面胸元ががら空きになる。後ろからくる気配を感じ、大きく右後方へと下がる。

 セキアが覇山剣を振りかぶりゴブ将軍の胸元へと武技を発動、斬りかかる。その剣は一度しか光らずコンボにはならないが、武技の威力が乗った力強い振り下ろし。ゴブ将軍の皮膚を切り裂いた。

 しかし、強靭な筋肉の鎧まで切ることは出来ず、痛みで呻き声を上げさせはしたが、致命傷にはならなかった。

「ウウオォォォォォ!」

 胸元の大きな切傷、それを見たゴブ将軍が怒りの声を上げる。完全にぶちギレモード、ターゲットがセキアへと移り、鉈を振るう。

 セキアは俺と違い、強力なゴブ将軍の攻撃を覇山剣で受け止め、さらに打ち合う。激しい打ち合いの音が辺りに響く。

 今のところ五分の打ち合いをしているが、やはり体力差がありこのままだとセキアが打ち負けるだろう。セキアが稼いでくれたこの時間、俺は魔法の準備に入る。

 普通の火の魔法ではあの分厚い皮膚を焼くことが出来ない。より魔力を込めた高温高威力の魔法、スキル魔法には無い、オリジナルの生活魔法。ふうっと息を調え体内の魔力を高速で循環させる。

 左手で光属性の魔力を生成、バスケットボール大の光りの殻を造る。右手を殻上へ乗せその内側へと火の魔力を注ぎ込み殻の中で魔力を循環させる、プロミネンスをイメージ。光りの殻で魔力が外部へ漏れ出ず内側で対流し、込める魔力により徐々に温度を上げる。初めは赤かった光殻がオレンジに。そして黄、白と色を変える。まだ、まだゴブ将軍の皮膚を焼くには温度が足りない。セキアには悪いがもう少し時間を貰う。

 スキル【魔力循環】をフルに使い、更に魔力を注ぐ。青白さを通り越し、まばゆく光り輝く。

 そこには太陽があった。

 ウソ、ゴメン。太陽は言い過ぎた。太陽の温度はたしか6000度とか。この光殻は1800度ほどだと思う。しかし鉄すら溶かす温度だ。これが当たればゴブ将軍の皮膚や筋肉を焼き骨をも溶かすはずだ。

 俺はこの魔法を、太陽の元、覇道を往く力があると想い、覇道球と名付けた。王道を進む俺には過ぎた力だと戒める為に、あえてこの名前だ。

 左足を前に、力強く大地を踏みしめ、丹田の辺りに光殻を上下に添えた手で維持。

「セキア!離れて!」

 打ち合っていたセキアは俺の声を聞き、後方へと飛ぶ。

 セキアが離れたのを確認し、両手を前へ突き出し光殻を飛ばす。

「ハドウケン!」

 あ、言っちゃった。ハド〇ケンって言っちゃった。長々とそれっぽく名前の説明したけど、結局はあの有名2D格闘ゲームの主人公が使う、レバーを下から前へ+パンチボタンのコマンドのアレをイメージした魔法。

 スキルの補正がないのでそれほど速くはないが、セキアへの怒りで俺を見ていなかったゴブ将軍には避けられないタイミングで放ったハドウ〇ン。

 避けられはしないが、ゴブ将軍は迫る光殻を鉈で対応、斜めから光殻を二つに切り裂く。

 しかしそれは悪手だ。殻から溢れ出た炎がゴブ将軍の顔左側と右脇腹辺りに纏わりつく。超高温の炎が分厚い皮膚を焼き、筋組織を崩壊させる。辺りに生き物が焼けた臭いが立ち込める。

 ゴブ将軍はわめき散らしながら炎を消そうとする。鉈を放り出し手で顔と脇腹をはたく。その手すらも焦げるがお構い無しだ。

無防備になったゴブ将軍を見てセキアに声を掛ける。

「セキア!」

 これだけでセキアはゴブ将軍へと走り出す。後方へと大剣を構え武技を込める。

 二つの光が線となり、真上からゴブ将軍へと振り下ろされる。

「いくで!パワーブレイクや!」

 先程とは違う、空気を震わす剣戟がゴブ将軍の筋肉を切り裂き骨を砕く。切り裂かれた体から血が吹き出す。

 ゴブ将軍は膝から崩れ落ち、目から光が消えた。
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